引っ越し後に年金の住所変更は必要?判断基準や手続きに必要なものを解説!


引越後に年金の住所変更は必要? マイナンバーと連携していれば必要ない?
引っ越しをすると、住民票の変更やライフラインの手続きなど、やるべきことがたくさんあります。その中で見落としがちなのが、年金の住所変更です。 「会社員だから勤務先に伝えれば大丈夫?」「マイナンバーがあれば手続きは不要?」と、疑問を持つ人も多いのではないでしょうか? 実際には、マイナンバーと年金情報が紐づいていれば住所変更が不要なケースもありますが、条件次第では手続きが必要になることもあります。 この記事では、年金の住所変更が必要なケースや変更手続きする際に必要なもの、マイナンバーとの関係について解説します。
- 目次
- 引っ越ししたら年金の住所変更は必要?
- 年金情報がマイナンバーに紐付けしてあれば住所変更は不要
- 住所変更が必要なケース
- 年金の住所変更手続きの方法
- 受給中の人は年金事務所や街角の年金相談センターに必要書類を提出する
- 自営業者などの第1号被保険者は役所に必要書類を提出する
- 会社員などの第2号被保険者は勤務先の会社に連絡する
- 第3号被保険者は配偶者の勤務先の会社に連絡する
- 引っ越し後に年金の住所変更をしないとどうなる?
- 老齢基礎年金を満額もらえなくなる可能性がある
- 年金受給額の把握ができなくなる
- 受給開始手続きに時間がかかる
- 年金の住所変更に関するQ&A
- Q:年金の住所変更手続きは郵送でも可能?
- Q:年金の住所変更手続きは代理人でも可能?
- Q:住民票の住所を変更すると年金の住所も自動で変更される?
- Q:変更内容は住所変更手続き後にすぐに反映される?
- Q:引越し前の住所の納付書は使える?
- まとめ・引っ越しをした際は必要に応じて年金の住所変更手続きを!
引っ越ししたら年金の住所変更は必要?

引っ越しをすると、市区町村への転出・転入届など、さまざまな手続きが必要です。その中で気になるのが「年金に関する住所変更は必要なのか?」ということ。年金は、マイナンバーとの連携状況によって手続きの要否が異なります。
年金情報がマイナンバーに紐付けしてあれば住所変更は不要
年金の基礎年金番号とマイナンバーが紐づけられている場合、日本年金機構で住民票の異動情報が自動的に反映されるため、原則として年金に関する住所変更手続きは必要ありません。
紐づけされているかどうかを確認したい場合は、「ねんきんネット」で確認可能です。
「ねんきんネット」での確認方法
- 「マイナポータル」にログインする
- 「年金」を選択する
- 「ねんきんネット」の「利用者情報」にある「マイナンバー(個人情報)収録状況」が「収録済」と表示されていれば、マイナンバーとの紐づけは完了している
ただし、「ねんきんネット」では住所変更手続きをオンラインで行うことはできません。確認が可能なだけで、住所変更の手続きは別の方法で行う必要があるため、注意しましょう。
なお、マイナンバーとの紐づけられているかどうかは、年金事務所でも確認することが可能です。
住所変更が必要なケース
以下のいずれかに該当する場合は、年金の住所変更手続きが必要になります。
住所変更が必要なケース
- マイナンバーに年金情報を紐づけしていない人
- 成年後見制度を利用している人
- マイナンバーを有していない海外居住者
マイナンバーと基礎年金番号が紐づけられていない場合は、引っ越し後も年金記録に旧住所が残るため、年金の住所変更が必要です。
同様に、成年後見を受けている人や海外在住でマイナンバーを持っていない人も、年金の住所変更手続きが必要になるため、注意しましょう。
※2:日本年金機構|年金に加入している方が引越したときの手続き
※3:日本年金機構|3-1:被保険者の住所に変更があったとき
※4:日本年金機構|国民年金第1号被保険者の住所・氏名変更手続き
年金の住所変更手続きの方法

年金の住所変更の手続きの方法は、年金の種別によって、手続きの場所や方法が異なります。
受給中の人は年金事務所や街角の年金相談センターに必要書類を提出する
年金を受給中の人は、「年金受給権者住所変更届」を年金事務所もしくは街角の年金相談センターに提出します。
「年金受給権者住所変更届」は、日本年金機構のHPからもダウンロード可能です。
自営業者などの第1号被保険者は役所に必要書類を提出する
自営業者などの国民年金第1号被保険者は、市区町村の役所で住所変更の手続きを行います。
引っ越しによって市区町村が変わる場合は、引っ越し後14日以内に新しい市区町村の国保年金課へ「年金受給権者住所変更届」を提出する必要があります。
引っ越し前後で市区町村が変わらない場合は、現在の市区町村の「国民年金担当課」で手続きを行えば完了です。自治体によっては、住民票の住所変更手続きを行う際に国民年金の住所も自動的に変更されることがあります。
住所変更手続きに必要なもの
住所変更手続きに必要なものは以下の通りです。
住所変更手続きに必要なもの
- 国民年金手帳
- 印鑑
- マイナンバーカード・運転免許証などの本人確認書類
自治体によって必要書類が異なる場合があるため、手続きに行く前には事前に窓口へ問い合わせしましょう。
会社員などの第2号被保険者は勤務先の会社に連絡する
厚生年金に加入している会社員などの第2号被保険者は、勤務先の人事・総務担当者などに「被保険者住所変更届」を提出します。
書類は会社から受け取れますが、日本年金機構のHPでもダウンロード可能です。
引っ越しが決まった段階で、早めに会社へ申し出るようにしましょう。
第3号被保険者は配偶者の勤務先の会社に連絡する
配偶者の扶養に入っている国民年金第3号被保険者は、配偶者の勤務先の人事・総務担当者などに「被保険者住所変更届」を提出します。
引っ越し後に年金の住所変更をしないとどうなる?

マイナンバーに年金情報を紐づけしていない人が引っ越しをした際は、住民票の住所変更だけでなく年金の住所変更手続きも必要です。
たとえ市区町村が変わらない場合であっても、年金に関する住所変更は手続きが必要となります。手続きを怠ると将来の年金受給に影響がでる可能性があるため、注意しましょう。
老齢基礎年金を満額もらえなくなる可能性がある
住所変更手続きをしないまま放置してしまうと、国民年金の保険料の納付状況が正しく反映されず、未納期間が発生してしまう可能性があります。
未納期間があると、将来的に受け取れる年金額が減少してしまい、老齢基礎年金を満額受け取れません。老後に安心して年金を受け取るためにも、早めに住所変更の手続きを行うことが大切です。
年金受給額の把握ができなくなる
日本の年金制度では、加入者に向けて毎年「ねんきん定期便」が送付されます。ねんきん定期便はこれまでの加入実績や将来の年金見込額などが記載されている重要な書類です。
しかし、住所変更を行っていないとねんきん定期便が届かなくなり、年金の受給額や納付状況を正確に把握することができなくなってしまいます。
ねんきん定期便の見方を徹底解説!いつ届く?基礎年金番号とは?
受給開始手続きに時間がかかる
年金の受給が始まる際には、日本年金機構から「年金請求書」や「請求手続きの案内」が自宅に郵送されます。
しかし、住所変更をしていないとこれらの書類が届かず、手続きに遅れが生じてしまい、年金を受け取り始めるまでに余分な時間がかかることになってしまいます。
スムーズに年金を受け取るためにも、引っ越し後は速やかに住所変更の手続きを行いましょう。
年金の住所変更に関するQ&A

最後に、年金の住所変更に関するQ&Aをご紹介します。
Q:年金の住所変更手続きは郵送でも可能?
A:第1号被保険者の年金の住所変更手続きは、郵送でも可能です。郵送時は、必要書類の不足や記入漏れがないように注意しましょう。
Q:年金の住所変更手続きは代理人でも可能?
A:第1号被保険者の年金の住所変更手続きは、代理人でも可能です。代理人による手続きの場合は、以下の書類が必要になります。
代理人による年金の住所変更手続きに必要な書類
- 本人の国民年金手帳
- 本人が署名・押印した委任状
- 代理人の印鑑および本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
Q:住民票の住所を変更すると年金の住所も自動で変更される?
A:第1号被保険者は、原則として住民票の住所を変更すると年金の住所も自動で変更されます。
役所で住民票の転出転入手続きをすると、その情報が年金機構にも反映されるため、あらためて国民年金の住所変更届を提出する必要はありません。
ただし、自治体や個人の状況によって異なる場合もあるため、住民票の変更手続きの際に、念のため確認しましょう。
※5:日本年金機構|引っ越しをしました。住所変更の手続きは必要ですか。
Q:変更内容は住所変更手続き後にすぐに反映される?
A:住所変更の反映は、手続き後1〜2か月程度かかるのが一般的です。
特に月末や年度末などは処理が混み合うことがあるため、余裕をもって手続きを行うようにしましょう。
Q:引越し前の住所の納付書は使える?
A:有効期限内であれば、引っ越し前の住所の納付書も使用可能です。国民年金保険料の納付書は、住所に関係なく有効期限内であればそのまま使用することができます。
まとめ・引っ越しをした際は必要に応じて年金の住所変更手続きを!
引っ越し後の年金の住所変更手続きの要否は、マイナンバーとの紐づけ状況によって異なります。第1号被保険者は役所に、第2号・第3号被保険者は勤務先で、受給中の人は年金事務所で手続きを行いましょう。
手続きを忘れてしまうと未納期間が発生したり書類が届かなかったりするため、将来受け取れる年金額が減ってしまう可能性もあります。
老齢基礎年金を満額受け取るためにも、自分の年金区分を確認し、必要に応じて正しく手続きを行うことが大切です。
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参考資料
日本年金機構|ねんきんネット
日本年金機構|年金に加入している方が引越したときの手続き
日本年金機構|3-1:被保険者の住所に変更があったとき
日本年金機構|国民年金第1号被保険者の住所・氏名変更手続き
日本年金機構|引っ越しをしました。住所変更の手続きは必要ですか。
この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。