管理栄養士の平均年収はいくら?病院・給食センター・公務員でどう変わる?


【2025年】 管理栄養士の平均年収はいくら?
管理栄養士は「安定して働ける仕事」として人気のある職業ですが、平均年収はどのくらいなのでしょうか? 管理栄養士の年収は性別や経験年数、病院・介護施設・公務員などの勤務先によっても大きな差が生じます。 この記事では、管理栄養士の年収をさまざまな角度から解説し、年収を上げるための方法についても紹介します。
- 目次
- 管理栄養士の平均年収はいくら?
- 管理栄養士を含む栄養士全体の平均年収は約394.2万円
- 男性の平均年収は約438.8万円・女性の平均年収は約390.6万円
- 短時間勤務の管理栄養士を含む栄養士の平均時給は1,519円
- ケース別の管理栄養士の平均年収をチェック!
- 【初任給・5年目・10年目・15年以上】勤続年数別の平均年収は?
- 【20代・30代・40代・50代・60代】年代別の平均年収・賞与額は?
- 【病院・給食センター・公務員】所属施設別の平均年収は?
- 地域別平均年収ランキング
- 管理栄養士の平均年収は他の職種と比較して低い?
- 【年収1,000万円は目指せる?】管理栄養士が年収を上げるための方法
- 公認スポーツ栄養士や認定管理栄養士などの資格を取得する
- 専門性を高めて転職する
- 栄養士を活かした副業を行う
- まとめ・管理栄養士の平均年収は全職種平均よりやや低め
管理栄養士の平均年収はいくら?

まずは、管理栄養士全体の平均年収を確認してみましょう。
なお、この記事では、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に年収を解説していますが、「令和6年賃金構造基本統計調査」では「管理栄養士」単独のデータは存在せず、「栄養士」として記載されています。
一般的には、栄養士より管理栄養士の方が年収は高い傾向にあります。そのため、実際の管理栄養士の年収はこの記事で紹介する数値より高い可能性があることをご了承ください。
管理栄養士を含む栄養士全体の平均年収は約394.2万円

管理栄養士を含む栄養士全体の平均年収は、約394.2万円(3,942,600円)です。
基本給の平均額
- 男性:306,100円
- 女性:271,400円
- 全体:274,000円
賞与の平均額
- 男性:715,600円
- 女性:649,800円
- 全体:654,600円
全職種の平均年収が約526万円であることを踏まえると、やや低い水準といえるでしょう。
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男性の平均年収は約438.8万円・女性の平均年収は約390.6万円
管理栄養士を含む栄養士の年収を男女別に見ると、男性は約438.8万円、女性は約390.6万円と、約50万円の差があることがわかります。
■男女別の管理栄養士を含む栄養士の平均年収
基本給 | 賞与 | 年収 | |
---|---|---|---|
男性 | 306,100円 | 715,600円 | 4,388,800円 |
女性 | 271,400円 | 649,800円 | 3,906,600円 |
管理栄養士は女性が多数を占める職業ですが、男性の方が役職や責任あるポジションに就きやすいため、平均年収は高くなる傾向があります。
ただし、男性と女性の差は約50万円とそれほど大きくなく、他の職種に比べて女性の年収が安定した職種であることがわかります。
短時間勤務の管理栄養士を含む栄養士の平均時給は1,519円
栄養士として働く人の中には、フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務やパート勤務を選ぶ人も少なくありません。
管理栄養士を含む栄養士全体の平均時給は1,519円で、これは労働者全体の平均時給1,476円を上回っています。
短時間勤務でも比較的安定した収入を得られるため、子育てや介護と両立した働き方を選びやすい点も栄養士の特徴です。
ケース別の管理栄養士の平均年収をチェック!

管理栄養士を含む栄養士の年収は、勤続年数や年齢、地域や勤務先によっても異なります。それぞれのケースで年収がどのように変化するのか確認していきましょう。
【初任給・5年目・10年目・15年以上】勤続年数別の平均年収は?
まずは、勤続年数別の平均年収です。
■勤続年数別の平均年収

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査 を基に作成
勤続年数別の平均年収
- 初任給:2,926,700円
- 1〜4年:3,320,400円
- 5〜9年:3,634,200円
- 10〜14年:3,902,700円
- 15年以上:4,358,600円
初任給は約292.6万円と、医療系資格職としては安定した水準からスタート。5年目以降は年収が360万円台に乗り、徐々に収入は上昇していきます。
主任などのリーダー職に就くケースも多くなるため、10年を超えると390万円前後、15年以上では約435万円と、昇給幅はさらに広がります。
【20代・30代・40代・50代・60代】年代別の平均年収・賞与額は?
管理栄養士を含む栄養士の年収は、年齢によっても大きく異なります。
■年代別の栄養士の平均年収

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査 を基に作成
若手時代は経験を積む段階として年収は低めですが、中堅期には昇給や賞与の増加により徐々に年収は伸びていきます。
その後、50代前後でピークを迎え、60代以降はやや減少傾向になることがわかります。
■年代別の栄養士の賞与額

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査 を基に作成
年代 | 基本給 | 賞与 | 年収 |
---|---|---|---|
20〜24 | 242,700 | 247,400 | 3,159,800 |
25〜29 | 257,700 | 452,200 | 3,544,600 |
30〜34 | 327,700 | 924,700 | 4,857,100 |
35〜39 | 297,900 | 519,900 | 4,094,700 |
40〜44 | 290,400 | 666,400 | 4,151,200 |
45〜49 | 427,200 | 1,148,200 | 6,274,600 |
50〜54 | 328,100 | 861,000 | 4,798,200 |
55〜59 | 345,700 | 1,046,400 | 5,194,800 |
60〜64 | 301,300 | 855,800 | 4,471,400 |
65〜69 | 264,600 | 1,041,700 | 4,216,900 |
賞与の金額は、20代では20〜40万円台と控えめですが、30代から90万円を超える水準になり、収入の底上げにつながります。
45〜49歳では100万円超えの賞与が平均となり、その後も継続して100万円前後の賞与が続くことから、ベテラン層が高く評価されていることがわかります。
【病院・給食センター・公務員】所属施設別の平均年収は?
管理栄養士を含む栄養士の年収は、勤務する施設によっても大きく変わります。
所属施設別の平均年収
- 病院:約300~440万円
- クリニック:約300~400万円
- 介護施設:約260~380万円
- 給食センター:約330~600万円
- 民間企業:約350~550万円
- 公務員:約500〜600万円
病院やクリニック、介護施設や給食センター、民間企業や公務員など、職場ごとの給与水準には明確な差があるため、キャリアプランを考えるうえで重要なポイントになります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
病院
病院に勤務する管理栄養士を含む栄養士の平均年収は、約300~440万円。病院の規模により年収に差が生じることが特徴です。
クリニック
クリニックに勤務する管理栄養士を含む栄養士の平均年収は、約300~400万円。規模や診療科目によって差が出やすいことが特徴です。
特に、糖尿病内科や腎臓内科など専門性の高い診療科を持つクリニックや自由診療を多く取り入れるクリニックでは、給与が高めに設定される傾向があります。
介護施設
介護施設に勤務する管理栄養士を含む栄養士の平均年収は、約260~380万円と、病院勤務に比べると低めです。
ただし、大規模な特別養護老人ホームは平均よりも高い給与が設定されることが多く、デイサービスなどの通所型施設よりも入所型施設の方が給与が高い傾向にあります。
給食センター
給食センターに勤務する管理栄養士を含む栄養士の平均年収は、約330~600万円と年収の幅が広いことが特徴です。
年収が高い主な要因は慢性的な人手不足。待遇を引き上げて人材確保を図っている施設が多いことが考えられます。
エームサービス・日清食品などの民間企業
エームサービスや日清食品といった食品メーカーや、民間の給食受託企業で働く管理栄養士を含む栄養士の平均年収は約350~550万円です。
特に、大手食品メーカーや外資系企業は利益を前提とした経営になるため成果が給与に直結しやすく、実力次第で高い収入を得られることが特徴です。
公務員として勤務する公立病院・公立保育園・幼稚園など
公務員枠で働く管理栄養士を含む栄養士の平均年収は約500〜600万円。勤務先は、公立病院や保健所、公立保育園や幼稚園、公立給食センターなどさまざまです。
公務員の給与体系に準じるため昇給や手当が安定しており、最も高水準かつ安定した年収が見込める勤務先でしょう。
公務員の平均年収はいくら?国家・地方公務員の職種別ランキングも!
地域別平均年収ランキング
管理栄養士を含む栄養士の年収は、地域や都道府県によっても大きな差があります。
都市部では生活費が高い分給与水準も高くなる傾向があり、地方では低めに設定されることが一般的です。ここでは、都道府県別の平均年収をランキング形式でご紹介します。
■都道府県別の栄養士の平均年収ランキング
順位 | 都道府県 | 年収 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 4,673,400 |
2 | 香川県 | 4,519,300 |
3 | 茨城県 | 4,196,400 |
4 | 奈良県 | 4,093,600 |
5 | 埼玉県 | 4,034,200 |
6 | 群馬県 | 4,020,400 |
7 | 山形県 | 4,012,600 |
8 | 神奈川県 | 4,007,200 |
9 | 北海道 | 3,968,600 |
10 | 愛知県 | 3,926,400 |
11 | 山口県 | 3,909,700 |
12 | 大阪府 | 3,898,000 |
13 | 鳥取県 | 3,891,200 |
14 | 福井県 | 3,884,400 |
15 | 京都府 | 3,879,000 |
16 | 滋賀県 | 3,832,500 |
17 | 広島県 | 3,816,500 |
18 | 福島県 | 3,795,100 |
19 | 大分県 | 3,794,000 |
20 | 富山県 | 3,783,000 |
21 | 宮城県 | 3,769,200 |
22 | 静岡県 | 3,766,400 |
23 | 愛媛県 | 3,720,100 |
24 | 長野県 | 3,687,300 |
25 | 千葉県 | 3,684,900 |
26 | 山梨県 | 3,684,200 |
27 | 岩手県 | 3,681,400 |
28 | 栃木県 | 3,680,100 |
29 | 岐阜県 | 3,669,900 |
30 | 島根県 | 3,646,500 |
31 | 和歌山県 | 3,637,000 |
32 | 長崎県 | 3,625,500 |
33 | 徳島県 | 3,608,100 |
34 | 宮崎県 | 3,587,800 |
35 | 兵庫県 | 3,564,900 |
36 | 石川県 | 3,561,100 |
37 | 三重県 | 3,551,400 |
38 | 岡山県 | 3,539,800 |
39 | 新潟県 | 3,524,500 |
40 | 佐賀県 | 3,489,300 |
41 | 高知県 | 3,478,100 |
42 | 鹿児島県 | 3,449,400 |
43 | 熊本県 | 3,429,400 |
44 | 青森県 | 3,427,800 |
45 | 秋田県 | 3,350,400 |
46 | 福岡県 | 3,247,500 |
47 | 沖縄県 | 2,999,100 |
東京都が約467万円と全国1位。2位には意外にも香川県がランクインしており、地域の医療・福祉の需要の高さが影響していることがわかります。
全体的には、東京・埼玉・神奈川などの首都圏や、愛知・北海道・大阪などの大都市圏が上位に入りやすい傾向です。
中間の11~30位には大阪・京都・奈良・滋賀などの近畿エリアが入っており、年収は比較的安定して水準も高め。下位の31位以降には九州や東北の一部地域が多く、全国平均を大きく下回る傾向にあることがわかります。
沖縄県は全国で最も低い約299万円となっており、首都圏との差は約170万円以上。地方で働く場合は、年収だけでなく生活コストや働きやすさも考慮することが大切です。
管理栄養士の平均年収は他の職種と比較して低い?
ここまでのデータを見て、「管理栄養士の年収は低いのでは?」と不安になる人も多いでしょう。実際に、管理栄養士を含む栄養士の平均年収は労働者全体よりも低めの水準になります。
労働者全体の | 栄養士の | |
---|---|---|
全体 | 5,269,900 | 3,942,600 |
男性 | 5,908,100 | 4,388,800 |
女性 | 4,194,400 | 3,906,600 |
男女別で比較すると、男性栄養士の平均年収は約438万円、男性労働者全体の平均年収は約591万円。約150万円と大きな差が生じていることがわかります。
一方、女性栄養士の平均年収と女性労働者全体の平均年収の差は約29万円。男性に比べると幅が狭く、女性にとっては比較的安定した職業であることがわかるでしょう。
【年収1,000万円は目指せる?】管理栄養士が年収を上げるための方法

管理栄養士を含む栄養士の平均年収は約394万円と、労働者全体の平均より低めです。そのため「年収1,000万円は夢物語では?」と感じる人も多いでしょう。
実際、一般的な勤務先だけで1,000万円に到達するのは難しいですが、高度な専門性を磨いたり、独立や起業をしたり、研究や企業で活躍したりというキャリアを歩めば、可能性はゼロではありません。
ここでは、栄養士が年収を上げるための具体的な方法を紹介します。
公認スポーツ栄養士や認定管理栄養士などの資格を取得する
1つ目は、公認スポーツ栄養士や認定管理栄養士などの資格を取得することです。管理栄養士の資格に加えて、さらに専門性を高める資格を取得することで、年収アップが期待できます。
キャリアアップにおすすめの資格
- 認定管理栄養士:臨床栄養・給食管理など特定の分野に精通した専門資格
- 健康運動指導士:栄養指導と運動指導を組み合わせられるため、フィットネスクラブなどで活躍可能
- 食品衛生管理者:食品メーカーなどで必須資格となることも多く、商品開発や品質管理分野で活躍可能
- 公認スポーツ栄養士:プロスポーツ選手やチームに帯同できる専門資格
- 栄養情報担当者(NR):健康食品やサプリメント開発に携われるため、研究・商品企画の分野で活躍可能
- 栄養教諭:小中学校で食育を担える教員免許
さらに、以下のような特定疾患や分野に特化した専門管理栄養士資格もおすすめです。
特定疾患や分野に特化したおすすめ資格
- 腎臓病病態栄養専門管理栄養士
- 糖尿病療養指導士
- NST専門療法士
- がん病態栄養専門管理栄養士
- 摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士
- 在宅訪問管理栄養士
- 小児栄養専門管理栄養士
専門性を高めて転職する
2つ目は、専門性を高めて転職することです。
管理栄養士は需要が高いため、希少性のあるスキルや専門知識を身につけることで、好条件での転職が可能になります。
食品メーカーなどの民間企業では、商品開発や栄養研究に携わることで高収入を狙えます。ヒット商品を生み出せば賞与に反映され、さらなる年収アップが期待できるでしょう。
病院や介護施設では管理栄養士の設置義務があるため求人が安定しています。管理職や専門性の高い部署に配属されれば、年収アップにつながります。
公認スポーツ栄養士の資格を取得し、スポーツ栄養や糖尿病療法など専門分野の知識を身につければ、スポーツ栄養士としてプロチームで活動することも可能。プロアスリートの栄養管理を担当できれば、より高い年収を目指せます。
栄養士を活かした副業を行う
2つ目は、栄養士を活かした副業を行うことです。本業だけでなく、副業を活用することで効率的に収入が増やせます。
栄養士を活かした副業の例
- 栄養コンサルタント:個人向けにオンライン栄養相談を提供
- 食品開発アドバイザー:企業と契約して商品企画を行う
- WEBライター:栄養・健康関連の記事執筆で収入を得る
- 料理教室の開催:資格を活かして料理教室を開催する
特に近年はオンライン相談やSNSを通じて個人顧客を獲得しやすいため、独立やフリーランスで活動する道も広がっています。
まとめ・管理栄養士の平均年収は全職種平均よりやや低め
管理栄養士を含む栄養士の平均年収は約394万円と、全職種平均より低い水準ですが、勤続年数や年代、勤務先や地域によって大きな差があり、年収600万円以上を得られるケースも存在します。
また、資格の取得や専門分野への特化、食品メーカーや公務員といった安定した職場でのキャリア形成、副業や独立といった働き方の工夫次第で、収入を大きく伸ばすことも可能です。
そのため、「管理栄養士は年収が低い」と一概に言うことはできません。これから管理栄養士を目指す人やすでに働いていて収入アップを考えている人は、ぜひ今回紹介したデータや方法を参考にキャリアプランを描いてみてください。
参考資料
この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。