放射線技師の平均年収のリアル!男女・年代・勤務先別に徹底比較


【2025年】 放射線技師の平均年収のリアルを解説!
放射線技師の年収は「医療職の中でも安定している」と言われますが、実際には性別や年代、勤務先によっても大きな差が生じます。 この記事では、リアルな統計データをもとに放射線技師の年収を徹底分析し、収入アップを目指す方法まで解説します。 キャリア設計や転職を考える人はぜひ参考にしてください。
- 目次
- 放射線技師の平均年収はいくら?
- 放射線技師全体の平均年収は約549.8万円
- 男性放射線技師の平均年収は約580.4万円・女性放射線技師の平均年収は約479万円
- 短時間勤務の放射線技師の平均時給は2,770円
- ケース別の放射線技師の平均年収をチェック!
- 【初任給・5年目・10年目・15年以上】勤続年数別の平均年収は?
- 【20代・30代・40代・50代・60代】年代別の平均年収・賞与額は?
- 【大学病院・国立病院・医療機器メーカー】所属施設別の平均年収は?
- 勤務地域別の平均年収ランキング
- 放射線技師の平均年収は他の職種と比較して高い?低い?
- 【年収1,000万円は目指せる?】放射線技師が年収を上げるための方法
- 資格を取得する・経験を積む
- 管理職を目指す
- 放射線技師が少ない施設で働く
- 外資系医療機器メーカーに転職する
- 放射線技師を活かせる副業をする
- まとめ・放射線技師の年収は他の職種と比較してやや高い
放射線技師の平均年収はいくら?

放射線技師は医療現場で欠かせない専門職です。放射線検査や画像診断を支える重要な役割を担うことから、収入面が気になる人も多いでしょう。
ここでは、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査を基に、放射線技師の平均年収について解説します。
放射線技師全体の平均年収は約549.8万円

放射線技師全体の平均年収は、約549.8万円(5,498,500円)。これは全職種平均である約526万円よりも高い水準となっています。
内訳は以下の通りです。
基本給の平均額
- 男性:395,100円
- 女性:330,400円
- 全体:375,600円
賞与の平均額
- 男性:1,062,800円
- 女性:825,200円
- 全体:991,300円
ただし、新卒の診療放射線技師の場合は入職直後は研修が中心になり、業務に慣れるまでは残業手当がつかないケースもあるため、実際の手取りは少なめからスタートすることも多いようです。
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男性放射線技師の平均年収は約580.4万円・女性放射線技師の平均年収は約479万円
放射線技師の年収を男女別に見ると、男性は約580.4万円、女性は約479万円と約100万円の差があることがわかります。
性別 | 基本給 | 賞与 | 年収 |
---|---|---|---|
男性 | 395,100 | 1,062,800 | 5,804,000 |
女性 | 330,400 | 825,200 | 4,790,000 |
女性の方が平均年収が低い主な原因は、働き方の違いと考えられます。例えば、年収に大きな影響を与える夜勤手当。夜勤は体力的に男性が担当する割合が高く、その分夜勤手当が加算されるため、男性の平均年収の方が高くなります。
また、女性は出産や育児で産休・育休・時短勤務を利用するケースが多く、長期勤務による昇給ペースが遅れやすいことも原因でしょう。
さらに、女性はパートや非常勤勤務を選択するケースも多いため、収入が抑えられる傾向にあるようです。
短時間勤務の放射線技師の平均時給は2,770円
パートや派遣などの短時間勤務で働く際の時給も確認してみましょう。
短時間勤務の放射線技師の平均時給は2,770円です。これは、労働者全体の平均時給である1,476円と比べると大幅に高い水準となっています。
子育てや家庭の事情でフルタイム勤務が難しい人でも、放射線技師の資格があれば効率的に収入を得られることがわかります。
ケース別の放射線技師の平均年収をチェック!

放射線技師の年収は「勤続年数」「年代」「勤務先」「地域」によって大きく変動します。それぞれのケースを確認してみましょう。
【初任給・5年目・10年目・15年以上】勤続年数別の平均年収は?
放射線技師の年収は、勤続年数が長くなるほど上昇していきます。初任給から15年以上勤務した場合まで、年収の推移をデータで確認してみましょう。
■勤続年数別の平均年収

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査を基に作成
勤続年数別の平均年収
- 初任給:3,277,000円
- 1〜4年:3,954,300円
- 5〜9年:4,726,500円
- 10〜14年:4,925,800円
- 15年以上:6,146,400円
新卒で診療放射線技師として働き始めた場合、平均年収は約327.7万円。初任給は他の医療職と同程度ですが、国家資格を持つため安定性は高く、キャリアの積み重ねによって収入アップが見込めます。
ただし数年は研修や業務に慣れる期間でもあり、年収は約395.4万円と年収はあまり増えません。しかし、勤続5年を超えると後輩の指導や検査の責任を担うことが増え、年収も400万円台後半と高くなります。
そして、勤続15年以上のベテラン技師になると平均年収は約614.6万円と労働者全体の平均年収を上回ります。
役職に就いている場合はさらに高い収入が見込め、専門分野でのスキルを活かせるキャリアアップの道も広がります。
【20代・30代・40代・50代・60代】年代別の平均年収・賞与額は?
放射線技師は年齢とともに経験やスキルが積み重なるため、それに応じて年収も変化します。ここでは20代から60代まで、年代別の「基本給・賞与・平均年収」の推移を詳しく見ていきましょう。
■年代別の放射線技師の平均年収

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査を基に作成
■年代別の放射線技師の賞与額

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査を基に作成
年齢 | 平均年収 | 賞与額 |
---|---|---|
20〜24 | 3,842,100 | 436,500 |
25〜29 | 4,550,400 | 886,800 |
30〜34 | 4,942,300 | 893,500 |
35〜39 | 5,641,000 | 1,030,600 |
40〜44 | 5,627,100 | 953,100 |
45〜49 | 6,279,700 | 1,158,100 |
50〜54 | 7,031,400 | 1,299,000 |
55〜59 | 7,619,300 | 1,651,700 |
60〜64 | 5,696,800 | 1,075,600 |
65〜69 | 6,173,500 | 645,100 |
20代前半はスキルを身につけていく時期のため、年収は控えめです。新卒の場合は査定期間の関係で夏の賞与が支給されないケースもありますが、20代後半になると賞与が満額支給されるようになり、年収は一気に上昇します。
30代からは管理的な立場や専門的な業務を任されることが増えるため、年収も徐々に上昇。50代後半で年収はピークを迎え、定年を迎える60代以降は下がる傾向にあります。
【大学病院・国立病院・医療機器メーカー】所属施設別の平均年収は?
放射線技師の年収は、勤務先の種類によっても大きく変わります。
大学病院や国立病院のような大規模な医療機関から、クリニックや健診センター、さらには医療機器メーカーに至るまで、働く場所ごとに給与水準や待遇は異なります。
所属施設別の平均年収
- 大学病院:約400~600万円
- 国立病院(公務員):約400~500万円
- 民間病院:約370~450万円
- クリニック:約350~400万円
- 検診センター:約350~450万円
- 医療機器メーカー:約400~500万円
大学病院に勤務する放射線技師の平均年収は約400~600万円。給与水準が高めに設定されているうえ、学会発表や研究活動に力を入れる施設が多く、準備や残業が発生することから、時間外手当が収入を押し上げる要因となっています。
国立病院・がんセンター・保健所・健康福祉センターなどに勤める放射線技師の年収は、約400~500万円。公務員として勤務するため、経験値が長いほど年功序列で昇給が見込まれる点が特徴です。
民間病院で働く放射線技師の平均年収は約370~450万円ですが、残業代や夜勤手当などの諸手当の有無で大きな差が出ます。特に賞与は「2~5カ月」と幅が大きく、施設によって年収が大きく変動します。
クリニック勤務の放射線技師の平均年収は約350〜400万円。夜勤手当がないため給与水準は低めですが、残業代や住宅手当などは別途支給されるケースが多いです。
健診センターで働く放射線技師の平均年収は約350~450万円。検診センターでは、マンモグラフィーや胃透視の経験が特に重視される傾向にあります。
医療機器メーカーでアプリケーションスペシャリストとして働く放射線技師の平均年収は、約400~500万円。残業代や住宅手当が別途支給されるケースも多く、出張が多い分、初年度から年収400万円以上が狙えます。
アプリケーションスペシャリストとは、超音波検査装置やCPAPなどの自社の医療機器の使用を検討している医療機関に商品説明やデモンストレーションを行う仕事のこと。
特に外資系企業のアプリケーションスペシャリストの給与水準は高く、経験を積んだ人の中には700万円以上の年収を得ているケースもあります。臨床経験を活かして企業で働きたい人にとって有力なキャリアといえるでしょう。
勤務地域別の平均年収ランキング
放射線技師の平均年収は、勤務地の地域によっても大きな差が生じます。
■放射線技師の勤務地域別の平均年収ランキング
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 6,650,200 |
2 | 秋田県 | 6,423,900 |
3 | 奈良県 | 6,119,500 |
4 | 神奈川県 | 5,995,700 |
5 | 兵庫県 | 5,789,100 |
6 | 栃木県 | 5,768,000 |
7 | 岩手県 | 5,702,700 |
8 | 岐阜県 | 5,687,800 |
9 | 青森県 | 5,599,800 |
10 | 島根県 | 5,513,100 |
11 | 新潟県 | 5,427,400 |
12 | 山口県 | 5,371,500 |
13 | 和歌山県 | 5,357,000 |
14 | 北海道 | 5,348,700 |
15 | 千葉県 | 5,344,600 |
16 | 滋賀県 | 5,344,400 |
17 | 長崎県 | 5,318,500 |
18 | 山梨県 | 5,282,100 |
19 | 高知県 | 5,259,000 |
20 | 三重県 | 5,242,200 |
21 | 大分県 | 5,206,500 |
22 | 鳥取県 | 5,195,700 |
23 | 茨城県 | 5,163,700 |
24 | 群馬県 | 5,154,100 |
25 | 広島県 | 5,150,400 |
26 | 長野県 | 5,138,700 |
27 | 沖縄県 | 5,094,600 |
28 | 徳島県 | 5,075,600 |
29 | 愛媛県 | 5,065,700 |
30 | 京都府 | 5,033,100 |
31 | 山形県 | 5,007,500 |
32 | 岡山県 | 4,979,200 |
33 | 熊本県 | 4,935,300 |
34 | 静岡県 | 4,896,800 |
35 | 宮城県 | 4,877,100 |
36 | 愛知県 | 4,832,700 |
37 | 宮崎県 | 4,802,600 |
38 | 埼玉県 | 4,711,000 |
39 | 富山県 | 4,655,700 |
40 | 大阪府 | 4,524,600 |
41 | 福岡県 | 4,413,700 |
42 | 佐賀県 | 4,399,800 |
43 | 福島県 | 4,322,500 |
44 | 石川県 | 4,278,000 |
45 | 福井県 | 4,034,100 |
46 | 香川県 | 3,414,700 |
47 | 鹿児島県 | 3,328,900 |
東京都がトップで約665万円。次いで秋田県が640万円超と高水準。大都市圏だけでなく、地方でも高い年収を得られる地域があるのが特徴です。
中間ゾーンは年収500万円前後。首都圏の千葉県や京都府などもここに含まれます。
なお、大都市である大阪府は意外にも452万円と全国40位にとどまり、鹿児島県は約333万円で最下位という結果でした。
勤務地域で年収に差が生じる理由は、医療機関の規模や数、物価の違い、需要の高さの違いなどが考えられます。
就職・転職を検討する際には、勤務先の病院規模や待遇だけでなく、地域ごとの給与水準も比較してみましょう。
放射線技師の平均年収は他の職種と比較して高い?低い?

他の職種と比べて放射線技師の年収は高いのか、それとも低いのか気になる方も多いでしょう。ここでは、労働者全体の平均や看護師・薬剤師などの医療職と比較しながら、放射線技師の収入水準を解説します。
労働者全体 | 放射線技師 | |
---|---|---|
全体 | 5,269,900 | 5,498,500 |
男性 | 5,908,100 | 5,804,000 |
女性 | 4,194,400 | 4,790,000 |
放射線技師全体の平均年収は約549.8万円 と、労働者全体の平均約526.9万円を上回っています。ただし、男性は全体平均よりやや低め、女性は全体平均より高めと、性別により他の職種との違いに差が生じることがわかります。
では、同じ医療系の職種と比較するとどうでしょうか?
主な医療系職種の平均年収
- 放射線技師:5,498,500円
- 臨床検査技師:5,043,400円
- 薬剤師:5,993,200円
- 保健師:5,212,400円
- 助産師:5,805,600円
- 看護師:5,197,000円
放射線技師の平均年収は薬剤師や助産師よりやや低いですが、臨床検査技師や看護師や保健師よりは高い水準であることがわかります。
薬剤師の平均年収|病院・ドラッグストア・製薬会社で差はある?
理学療法士の現実|年収が低いって本当?年齢別の平均年収や年収アップの方法も
【年収1,000万円は目指せる?】放射線技師が年収を上げるための方法

放射線技師の平均年収は約549.8万円。安定した職種ですが、年収1,000万円を超える人は本当に一握りのようです。
では、どのようなキャリアや働き方を選べば大幅な収入アップが可能になるのでしょうか?ここでは、放射線技師が年収を上げるための具体的な方法を解説します。
資格を取得する・経験を積む
1つ目は、資格の取得や放射線技師としてさまざまな経験を積むことです。
放射線技師は、保有する資格や専門分野の経験によって市場価値が大きく変わります。特にマンモグラフィーや胃透視、心臓カテーテルの経験がある人はさまざまな施設で重宝される傾向にあります。
取得しておくと有利な資格の例
- 検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師
- X線CT認定技師
- 第1種放射線取扱主任者
- 血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師
- 救急撮影認定技師
- 磁気共鳴(MR)専門技術者
- 肺がんCT検診認定技師
- 胃がん検診専門技師
- 医用画像情報専門技師
これらの資格は「専門性の証明」となるため、転職や昇給の際に大きな武器となります。
管理職を目指す
2つ目は、管理職を目指すことです。
経験を積み、主任や技師長などの管理職になると、年収は500~700万円に上昇します。管理職は勤続年数の長い放射線技師が務めるケースが多く、役職手当も加算されるため収入が安定的に増えるためです。
放射線技師が少ない施設で働く
3つ目は、放射線技師が少ない施設で働くことです。
療養型病院や精神科病院、クリニックの中には、放射線技師が1人しかいない施設もあります。そのような施設では1人で検査・撮影・説明などを行う必要があるため、その分、給与が高く設定されるケースが多いです。
1人で対応する分高度なスキルと責任が求められますが、高収入を狙いやすい職場といえるでしょう。
外資系医療機器メーカーに転職する
4つ目は、外資系医療機器メーカーに転職することです。
放射線技師の資格を活かし、外資系の医療機器メーカーで働くのも年収アップの近道です。特に「アプリケーションスペシャリスト職」は実力主義のため、成果を挙げれば、年収1,000万円超えも期待できます。
放射線技師を活かせる副業をする
5つ目は、放射線技師を活かせる副業をすることです。
近年は副業を認める企業が増えているため、放射線技師としてのスキルを活かした副業もおすすめです。
巡回健診での単発アルバイトやマンモグラフィー検診のスポット勤務など、放射線技師の資格があれば、短時間・単発でも高時給の仕事を受けやすく、本業にプラスして収入が増やせます。
まとめ・放射線技師の年収は他の職種と比較してやや高い
放射線技師の年収は、勤続年数や年代、勤務先や地域によって大きく異なります。平均年収は全職種平均を上回り安定した水準にありますが、性別による差や勤務形態による影響も見逃せません。
スキルや資格の取得、管理職への昇進、外資系企業や少人数施設での勤務、副業などを通じて収入アップを狙う道もあります。自分のキャリア設計に合わせて、どのような働き方を選ぶかが将来の年収を大きく左右するといえるでしょう。
参考資料
この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。