薬剤師の平均年収|病院・ドラッグストア・製薬会社で差はある?


【2025年】 薬剤師の平均年収はいくら?
薬剤師の年収は、勤務先や勤務形態、男性や女性によっても大きく差が出ます。 また、製薬会社に勤務する薬剤師は、病院やドラッグストアに比べて高い水準であることが特徴です。さらに、勤続年数や年齢、地域によっても収入の差は広がります。 この記事では、薬剤師の年収を多角的に分析し、ケース別の平均額や他職種との比較、年収を上げるための具体的な方法について解説します。
- 目次
- 薬剤師の平均年収はいくら?
- 薬剤師全体の平均年収は599.3万円
- 男性薬剤師の平均年収は651.1万円・女性薬剤師の平均年収は555.8万円
- パート・派遣薬剤師の平均時給は2,639円
- ケース別の薬剤師の平均年収をチェック!
- 【初任給・5年目・10年目・15年以上】勤続年数別の平均年収は?
- 【20代・30代・40代・50代・60代】年代別の平均年収・賞与額は?
- 【製薬会社・病院・ドラッグストア】所属施設別の平均年収は?
- 都心より地方の方が年収が高い!勤務地域別の平均年収は?
- 薬剤師の平均年収は他の職種と比較して高い?低い?
- 薬剤師が年収を上げるためにはどうすればいい?
- 昇格を目指す
- 資格取得を目指す
- 給与の高い職場へ転職する
- 薬剤師を活かせる副業を行う
- まとめ・薬剤師の年収は他職種に比較して高い!
薬剤師の平均年収はいくら?

薬剤師は医療・福祉の現場から製薬会社まで幅広く活躍しており、働き方や勤務先によって年収には大きな差があります。
ここでは、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に薬剤師の平均年収を解説します。
薬剤師全体の平均年収は599.3万円

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師全体の平均年収は5,993,200円。これは全職種平均の約526万円を大きく上回る数字です。
薬剤師は専門職のため、比較的高い給与水準が安定して保証されていますが、その内訳をみると以下のように分かれます。
基本給の平均額は40.7万円
薬剤師の基本給(所定内給与額)は以下の通りです。
薬剤師の所定内給与額
- 全体:407,000円
- 男性:445,000円
- 女性:375,000円
男性の方がやや高く、特にキャリアを積んだ薬剤師では差が広がる傾向にあります。
賞与の平均額は82.3万円
賞与の平均額は以下の通りです。
薬剤師の平均賞与額
- 全体:823,600円
- 男性:841,200円
- 女性:808,800円
賞与は年収に大きく影響します。病院や製薬会社など大規模な施設に勤務する場合は支給額が安定しており、個人経営の薬局との差が出やすい部分になるでしょう。
男性薬剤師の平均年収は651.1万円・女性薬剤師の平均年収は555.8万円
薬剤師の年収は、性別によっても差が生じています。
男性薬剤師の平均年収は6,511,200円、女性薬剤師の平均年収は5,558,400円。男性と女性では約100万円の差があることがわかります。
これは、女性が結婚・出産後にパート勤務や短時間労働を選択するケースが多いことが原因と考えられます。
しかし、薬剤師資格はブランクがあっても復職しやすいメリットがあるため、長期的にキャリアを続ければ男女差は徐々に縮まる傾向も見られます。
パート・派遣薬剤師の平均時給は2,639円
薬剤師は正社員に限らず、パートや派遣としても高収入が期待できる職種です。
短時間労働者の薬剤師の平均時給は2,639円。この金額は、労働者全体の平均時給である1,476円を大きく超えています。
特に派遣薬剤師は時給が高く、勤務地や勤務日数を柔軟に選べることもあり、家庭と仕事を両立したい女性薬剤師や副収入を得たい薬剤師に人気があります。
ケース別の薬剤師の平均年収をチェック!

薬剤師の年収は「勤続年数」「年代」「勤務先」「地域」によって大きく変動します。それぞれのケースを確認してみましょう。
【初任給・5年目・10年目・15年以上】勤続年数別の平均年収は?
まずは、勤続年数によって年収がどの程度変わるのか確認してみましょう。
■勤続年数別の薬剤師の平均年収

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査を基に作成
初任給は400万円台と、他の職種に比べて比較的高水準です。ただし、そこから大幅に伸びるわけではなく、緩やかに昇給する傾向にあります。年功序列が強い病院や調剤薬局では、この上昇カーブがより緩やかになります。
【20代・30代・40代・50代・60代】年代別の平均年収・賞与額は?
では、年齢による年収の違いはどのくらいあるでしょうか?
■年代別の平均年収

※1:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査を基に作成
年代 | 基本給 | 賞与額 | 年収 |
---|---|---|---|
20〜24歳 | 332,300 | 11,400 | 3,999,000 |
25〜29歳 | 367,900 | 594,900 | 5,009,700 |
30〜34歳 | 409,100 | 734,900 | 5,644,100 |
35〜39歳 | 427,000 | 1,017,400 | 6,141,400 |
40〜44歳 | 449,100 | 1,071,900 | 6,461,100 |
45〜49歳 | 471,900 | 1,009,700 | 6,672,500 |
50〜54歳 | 525,600 | 1,140,100 | 7,447,300 |
55〜59歳 | 524,300 | 801,000 | 7,092,600 |
60〜64歳 | 500,900 | 841,900 | 6,852,700 |
65〜69歳 | 413,700 | 629,700 | 5,594,100 |
20代では400〜500万円程度ですが、40代以降は600万円台、50代では700万円台まで上がるケースもあります。
特に30代後半から40代にかけて役職に就くかどうかが、年収を分ける大きな分岐点となるようです。
【製薬会社・病院・ドラッグストア】所属施設別の平均年収は?
薬剤師の年収は勤務する施設によっても異なります。同じ資格を持っていても、職場の種類や仕事内容によって収入や待遇は変化します。ここでは主要な勤務先ごとの特徴と平均年収を見ていきましょう。
■所属施設別の薬剤師の平均年収
- 製薬会社:約720万円
- ドラッグストア(調剤併設):528万円
- ドラッグストア:500万円
- 調剤薬局:517万円
- 病院:474万円
製薬会社は薬剤師にとって最も高収入が期待できる勤務先です。ただし、採用は新卒中心で中途採用のチャンスは少ないのが実情です。
ドラッグストアは比較的高収入の傾向にあります。調剤を併設した店舗は専門スキルを活かせるため、OTC専門よりも高い年収が期待できます。
調剤薬局は薬剤師の代表的な勤務先であり、給与水準も全国平均に近い安定した水準です。患者との距離が近く、地域医療に貢献できる働き方が特徴です。
大学病院や総合病院など、病院で働く薬剤師は意外にも年収が低めです。これは、病院勤務が人気で人材確保に困らないことや、医師への人件費配分が大きいことが要因とされています。
安定を求めるなら調剤薬局や病院、収入アップを狙うなら製薬会社やドラッグストアが有力な選択肢でしょう。
都心より地方の方が年収が高い!勤務地域別の平均年収は?
薬剤師の年収は、勤務地域によっても大きく異なります。
■勤務地域別の薬剤師の平均年収
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 熊本 | 7,618,400 |
2 | 広島 | 7,157,200 |
3 | 山口 | 6,879,400 |
4 | 新潟 | 6,869,400 |
5 | 大分 | 677,200 |
6 | 栃木 | 6,677,100 |
7 | 岩手 | 6,653,500 |
8 | 静岡 | 6,652,400 |
9 | 長野 | 6,583,900 |
10 | 和歌山 | 6,468,500 |
11 | 三重 | 6,418,000 |
12 | 香川 | 6,336,900 |
13 | 千葉 | 6,318,500 |
14 | 愛知 | 6,313,800 |
15 | 秋田 | 6,292,600 |
16 | 茨城 | 6,278,400 |
17 | 佐賀 | 6,222,900 |
18 | 石川 | 6,205,700 |
19 | 愛媛 | 6,189,700 |
20 | 福井 | 6,126,100 |
21 | 岐阜 | 6,116,200 |
22 | 山梨 | 6,095,000 |
23 | 東京 | 6,092,500 |
24 | 高知 | 6,008,700 |
25 | 鳥取 | 6,004,800 |
26 | 鹿児島 | 5,981,800 |
27 | 山形 | 5,971,100 |
28 | 京都 | 5,947,700 |
29 | 奈良 | 5,945,700 |
30 | 徳島 | 5,886,100 |
31 | 富山 | 5,856,200 |
32 | 滋賀 | 5,827,600 |
33 | 青森 | 5,763,900 |
34 | 神奈川 | 5,720,300 |
35 | 宮城 | 5,717,600 |
36 | 大阪 | 5,697,800 |
37 | 福島 | 5,692,900 |
38 | 群馬 | 5,642,300 |
39 | 長崎 | 5,599,900 |
40 | 兵庫 | 5,502,300 |
41 | 沖縄 | 5,476,300 |
42 | 埼玉 | 5,467,300 |
43 | 福岡 | 5,401,200 |
44 | 島根 | 5,385,200 |
45 | 北海道 | 5,286,200 |
46 | 岡山 | 5,135,500 |
47 | 宮崎 | 5,109,900 |
1位の熊本県と47位の宮崎県では250万円以上の差が生じています。大都市である東京都は約609.2万円、大阪府は569.7万円と意外にも低く、薬剤師に限っては地方都市の方が年収が高いことがわかります。
考えられる主な要因は薬剤師不足です。地方都市は薬剤師が不足しているため採用条件が高い傾向にありますが、都市部は薬剤師の供給が多いため、必ずしも給与が高いという訳ではないようです。
薬剤師の平均年収は他の職種と比較して高い?低い?

薬剤師と聞くと、比較的高収入のイメージがある人は多いのではないでしょうか?実際に、労働者全体の平均年収と比較すると、薬剤師の年収は約72万円高いことがわかります。
労働者全体の | 薬剤師の | |
---|---|---|
全体 | 5,269,900 | 5,993,200 |
男性 | 5,908,100 | 6,511,200 |
女性 | 4,194,400 | 5,558,400 |
特に、女性の場合の差は大きく、労働者全体の平均年収約419万円に対して薬剤師の平均年収は約555万円と、約136万円の差があり、女性の中で薬剤師は高い年収であることがわかります。
また、医療職の中で薬剤師は、医師、歯科医師、獣医師に次ぐ順位で、看護師や保健師よりも高い年収となっています。
職種 | 平均年収 |
---|---|
医師 | 13,380,100 |
歯科医師 | 11,355,200 |
獣医師 | 8,847,800 |
薬剤師 | 5,993,200 |
保健師 | 5,212,400 |
助産師 | 5,805,600 |
看護師 | 5,197,000 |
准看護師 | 4,171,700 |
診療放射線技師 | 5,498,500 |
臨床検査技師 | 5,043,400 |
「長時間労働になりにくい」「夜勤が少ない」という条件を踏まえると、薬剤師は医療系職種の中でもバランスの取れた待遇だといえるでしょう。
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薬剤師が年収を上げるためにはどうすればいい?

薬剤師は高収入な職種ですが、年収800万円〜1,000万円を目指すには努力が必要です。では、薬剤師が年収アップを目指すにはどうしたらいいのでしょうか?
昇格を目指す
1つ目は、昇格を目指すことです。
昇格すれば役職手当が支給されるため、基本給に上乗せして安定的に収入を増やせます。
調剤薬局では管理薬剤師・薬局長・マネージャー職、病院では主任・薬剤部長、ドラッグストアでは店長・マネージャー、などを目指すといいでしょう。
管理薬剤師は薬局やドラッグストアにおける責任者で、医薬品の在庫・品質管理に加えて、スタッフの監督や店舗全体の運営を担います。
管理薬剤師の平均年収は500万〜800万円。さらに「資格手当」として月数万円が加算されるケースが多く、薬局長を兼任すればさらに収入が増える可能性があります。
ただし、勤務先が小規模な場合、ポスト自体が少なく昇進の機会に恵まれないこともあるため注意が必要です。
資格取得を目指す
2つ目は、資格取得を目指すことです。
薬剤師が年収を上げるためには、資格取得も有効な手段です。特に調剤薬局や病院勤務の薬剤師には、認定薬剤師や専門薬剤師の取得がおすすめです。
認定薬剤師とは、一定の技術や知識を持つことを証明する資格。幅広い分野で評価されやすく、キャリアアップや転職時のアピールにつながります。
専門薬剤師とは、臨床現場でより高度な知識や技術を発揮する上級資格。専門分野に特化しており、医療チームの中で重要な役割を担うことも可能な資格です。
資格取得を推奨している企業では、月5万円程度の資格手当が支給されるケースもあり、年間で約60万円の年収アップが期待できます。
給与の高い職場へ転職する
3つ目は、給与の高い職場へ転職することです。
薬剤師が高収入を目指すためには、転職先や勤務地の選択が大きなポイントになります。
薬剤師の転職先として最も高収入が期待できるのは製薬会社です。研究職やMRは給与・福利厚生ともに充実しています。ただし、中途採用は限られており、実質的には新卒時にしかチャンスが少ないのが現状です。
そのため、現実的に転職を考えるなら大手ドラッグストアがおすすめです。店長からエリアマネージャーへと昇進することで、大幅な給与アップが期待できます。
ドラッグストアは他職場に比べて転職しやすく、病院や調剤薬局でスキルを磨いた後でも十分チャレンジ可能です。
また、意外に見落とされがちなのが勤務地による年収差です。薬剤師は都市部よりも地方の方が給与水準が高い傾向にあります。これは地方で薬剤師不足が深刻なため、採用条件が都市部よりも高く設定されているためです。
都市部での勤務にこだわらなければ、収入アップのチャンスは広がるでしょう。
薬剤師を活かせる副業を行う
4つ目は、薬剤師を活かせる副業を行うことです。
薬剤師は本業の収入に加えて、副業でスキルを活かすことも可能です。具体的には以下のような選択肢があります。
薬剤師を活かした副業
- ドラッグストアでパート・アルバイトを行う
- メディカルライターを行う
- 薬学生を対象とした家庭教師を行う など
ドラッグストアのパート・アルバイトはシフトを調整しやすく、即戦力として働けるため収入を得やすい方法です。
メディカルライターとは、医療や薬学の知識を活かして記事やコラムを執筆する仕事。専門性が高いためライター業の中でも単価が高めなことが特徴です。
また、薬学生を対象として薬学部受験対策や国家試験対策などを教えることで、教育分野でも活躍可能です。
ただし、管理薬剤師や公務員薬剤師は法律により副業が禁止されています。副業を検討する際は、自分の勤務先の就業規則や法的な制限を必ず確認することが重要です。
まとめ・薬剤師の年収は他職種に比較して高い!
薬剤師の平均年収は約599万円と、全国平均を大きく上回ります。ただし、病院・調剤薬局・ドラッグストア・製薬会社といった勤務先や、勤続年数・年代・勤務地域によって大きな差があります。
男性と女性でも約100万円の差が見られるものの、薬剤師は復職しやすく、長期的にキャリアを積むことで安定した収入を得られることが強みです。
さらに、管理薬剤師や薬局長への昇格、認定薬剤師・専門薬剤師の資格取得、給与水準の高い職場や地方への転職、副業といった工夫によりさらに年収アップを目指すことも可能です。
薬剤師としてキャリアを考える際には、自分の働き方に合った職場を選びつつ、将来の収入アップの道筋を意識しましょう。
参考資料
この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。