ふるさと納税の確定申告の流れ|e-taxや必要書類の書き方も!


ふるさと納税の確定申告のやり方! 必要書類から書き方まで解説
ふるさと納税とは、自分の好きな自治体に税金を寄付する制度のこと。自治体からはお礼の品物がもらえ、住民税からの控除・所得税からの還付が受けられます。 ふるさと納税を行う際にワンストップ特例制度を利用すれば確定申告の必要はありませんが、すべての人がワンストップ特例制度を利用できる訳ではありません。 ワンストップ特例制度を利用できない場合は、年末調整を行っている会社員でも確定申告を行う必要があります。 この記事では、ふるさと納税をしており確定申告の必要がある人や還付・控除される金額、 e-taxや書面での確定申告のやり方や必要書類などを解説します。
- 目次
- ふるさと納税とは?
- ふるさと納税とは自分の好きな自治体に税金を寄付する制度のこと
- 確定申告の必要がない【ワンストップ特例制度】とは?
- ふるさと納税をしており確定申告の必要がある人とは?
- ふるさと納税で還付される金額・控除される金額の内訳はそれぞれいくら?
- 所得税から還付される金額
- 住民税から控除される金額
- ふるさと納税で還付・控除される金額の例
- ふるさと納税をした場合の確定申告のやり方【e-Tax】【確定申告書】
- 必要書類を準備する
- 確定申告を行う
- 所得税の還付・住民税の控除の確認を行う
- ふるさと納税の確定申告に関するQ&A
- 確定申告の期間はいつからいつまで?
- ふるさと納税と医療費控除・住宅ローン控除は併用できる?
- 確定申告とワンストップ特例制度はどちらが得?
- 確定申告でふるさと納税の申告を忘れた場合はどうすればいい?
- 寄附金受領証明書を紛失してしまった場合はどうすればいい?
- まとめ・ふるさと納税を行った年は確定申告の必要性の有無を確認しよう
ふるさと納税とは?

まずは、ふるさと納税について改めて確認しておきましょう。
ふるさと納税とは自分の好きな自治体に税金を寄付する制度のこと
ふるさと納税とは、自分の好きな自治体に税金を寄付する制度のこと。自治体からはお礼の品物がもらえ、寄付した金額の一部は住民税からの控除・所得税からの還付が受けられます。
ふるさと納税は、住んでいる自治体に納付する税金を別の自治体に寄付することで、所得税や住民税が控除される仕組みになっています。控除される金額は、一律で「寄付金−2,000円」です。
ふるさと納税で納めた税金は地方公共団体への寄付金となるため、確定申告の際に寄付金控除の対象になります。
※:総務省|ふるさと納税のしくみ
※:国税庁|No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
確定申告の必要がない【ワンストップ特例制度】とは?
ふるさと納税の方法の1つには「ワンストップ特例制度」があります。
ワンストップ特例制度とは、確定申告なしでふるさと納税の寄付金控除が受けられる制度です。1年間に寄付した自治体が5つ以内の給与所得者は、ワンストップ特例制度の利用が可能です。
ただし、年末調整を行う給与所得者でも、医療費控除を申請する人や初めて住宅ローンを申請する人は、確定申告が必要なので注意しましょう。

ワンストップ特例制度を選択した後に確定申告を行うと、それまでにワンストップ特例制度を利用した分は無効になります。すべてのふるさと納税の寄付を確定申告しなければならないため、注意しましょう。
なお、ワンストップ特例制度を利用した場合は所得税からの還付はなく、全額住民税から控除されます。
ふるさと納税で得するのはこんな人|年金生活者でも利用できる!
ふるさと納税をしており確定申告の必要がある人とは?

本来、給与所得者は会社で年末調整を行うため確定申告の必要はありません。しかし、ふるさと納税をして寄附⾦控除の適⽤を受けるためには、給与所得者であっても確定申告をするか、ワンストップ特例制度を利用して申請する必要があります。
では、ふるさと納税をしていて、確定申告の必要があるのはどのようなケースなのでしょうか?
ふるさと納税をしており確定申告の必要がある人
- 1年間で寄付をした自治体が6つ以上ある
- 複数寄付した団体のうち、1つでもワンストップ特例の申請をしていない
- 個人事業主
- 不動産収入がある
- 給与所得以外の所得が20万円以上ある
- 医療費控除や住宅ローン控除などの申請を行いたい
- 給与所得が2,000万円を超える
- 年間400万円を超える公的年金を受け取っている
上記のいずれかに当てはまる人はワンストップ特例制度の利用はできないため、確定申告を行う必要があります。
ふるさと納税をしており、確定申告の必要がある人が確定申告を行わなかった場合は、所得税の還付や住民税の控除が受けられないため、注意しましょう。
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ふるさと納税で還付される金額・控除される金額の内訳はそれぞれいくら?

ふるさと納税を行うと、自治体からはお礼の品物がもらえ、寄付した金額の一部は住民税からの控除・所得税からの還付が受けられます。
控除される金額は、一律で「寄付金−2,000円」ですが、所得税からの還付・住民税からの控除の内訳はそれぞれいくらになるのでしょうか?
所得税から還付される金額
所得税から控除される金額は「(寄付金額−2,000円)×所得税の税率」で計算できます。
■所得税の税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 〜 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円〜 | 45% | 4,796,000円 |
住民税から控除される金額
住民税から控除される金額は、基本分と特例分の合算の金額になります。それぞれの計算式は以下の通りです。
基本分と特例分の計算式
- 基本分:「(寄付金額−2000円)×10%」
- 特例分A:「(寄付金額−2,000円)×(100%−10%− 所得税の税率)」
なお、上記の特例分で計算した金額が住民税所得割額の20%を超える場合は、以下の特例分Bの計算式で算出します。
特例分で計算した金額が住民税所得割額の20%を超える場合の計算式
- 特例分B:「住民税所得割額×20%」
ふるさと納税で還付・控除される金額の例
「年収400万円の夫婦が3万円のふるさと納税をした場合」の所得税からの還付・住民税からの控除の内訳はそれぞれいくらになるか確認してみましょう。
所得税から控除される金額は「(30,000円−2,000円)×10%」=2,800円
住民税の基本分は「(30,000円−2,000円)×10%」=2,800円
住民税の特例分Aは「(30,000円−2,000円)×(100%−10%−10%)」=22,400円
22,400円<「(住民税所得割額)×20%」のため、住民税から控除される金額は「2,800円+22,400円」=25,200円
所得税と住民税の控除額を合計すると「2,800円+25,200円」=28,000円。寄付金額から自己負担額2,000円を差し引いた28,000円と同額になります。
ふるさと納税をした場合の確定申告のやり方【e-Tax】【確定申告書】

確定申告を初めて行う人の中には「難しそう…」と感じる人も多いでしょう。しかし、初めての人でも簡単に確定申告ができるよう、国税庁は「確定申告作成コーナー」を提供しています。
確定申告書を手書きで作成する場合は、税額を自分で計算して記入する必要がありますが、確定申告作成コーナーでは質問に答えるだけで簡単に確定申告が完了。収入や所得、所得控除などを入力するだけで税金を自動で計算してくれるため、計算間違いもありません。
入力後はそのまま電子申請(e-Tax)が可能ですが、入力した内容を印刷して紙の確定申告書を郵送で提出することも可能です。
ここでは、ふるさと納税をした場合の確定申告の流れを解説します。
必要書類を準備する
まずは、必要書類を準備します。
必要書類
- 寄附金受領証明書
- 源泉徴収票
- 還付金の受取口座番号がわかるもの
- マイナンバーカード
- 確定申告書(書面で申請する場合)
必要書類を整えたら、早速申告を始めましょう。
確定申告を行う
確定申告は以下の流れで行います。
確定申告の流れ
- 各種収入を入力する
- 各種控除を入力する
- その他の項目を入力する
- データを送信する
- データを保存する
今回はふるさと納税の申告部分のみ解説します。詳しい確定申告の方法は以下の記事をご参考ください。
確定申告のやり方を一から解説!全くわからない初めての人もこれで安心
確定申告作成コーナー【e-Tax】申告内容入力までの流れ
確定申告作成コーナーは以下の流れで進めます。なお、今回はマイナポータルアプリをインストールしたスマートフォンを使い本人確認を行う方法の解説になります。
確定申告作成コーナー【e-Tax】申告内容入力までの流れ
- 「作成開始」をタップする
- 作成する申告書の種類と年度を選択する
- マイナンバーカードの有無・対応可能なスマートフォンの有無を選択する
- マイナポータルと連携するか否かを選択する
- マイナポータルアプリの利用規約の同意をする
- 「ログイン」をタップし「マイナンバーカード用利用者証明用電子証明書の暗証番号」を入力し、本人確認を行う
- スマートフォンの読み取り機能でマイナンバーカードの読み取りを行う
①「作成開始」をタップする

②作成する申告書の種類と年度を選択する

③マイナンバーカードの有無・対応可能なスマートフォンの有無を選択する

④マイナポータルと連携するか否かを選択する

自分で収入や控除を入力する場合は「連携しない」を選択します。
⑤マイナポータルアプリの利用規約の同意をする

⑥「ログイン」をタップし、「マイナンバーカード用利用者証明用電子証明書の暗証番号」を入力し、本人確認を行う

⑦スマートフォンの読み取り機能でマイナンバーカードの読み取りを行う

マイナンバーカードの読み取りが完了すると、本人情報確認の画面が表示されます。本人情報の確認後は、「収入の入力→控除の入力→その他の入力→データの入力・保存」と進みましょう。
ふるさと納税は「寄付金控除」に該当するため、各種控除を入力する際に、忘れずに入力してください。
入力する金額は「以下のいずれか少ない方の金額- 2,000円」になります。
以下のいずれか少ない方
- 寄附金の合計額
- 総所得金額等の40%相当額
確定申告書の書き方
ふるさと納税の金額は、確定申告書の第一表「寄付金控除」【28】の欄に記入します。

合わせて、第二表の寄付金控除欄、「住民税・事業税に関する事項」も記入しましょう。

所得税の還付・住民税の控除の確認を行う
確定申告が終わったら、所得税の還付と住民税の控除が以下の時期に行われるため、確認しましょう。
■所得税の還付と住民税の控除が行われる時期

ふるさと納税を行った翌年の4〜5月頃に所得税の還付が行われ、6月〜翌年の5月まで住民税の控除が行われます。
なお、ワンストップ特例制度を利用した場合は所得税の還付はなく、「ふるさと納税の金額−2,000円」全額が住民税から控除されます。
確定申告の還付金が振り込まれるのはいつ?還付金が発生するケースも!
ふるさと納税の確定申告に関するQ&A

最後に、ふるさと納税の確定申告に関するQ&Aをご紹介します。ぜひ、参考にしてください。
確定申告の期間はいつからいつまで?
確定申告の時期は、原則2月16日から3月15日です。2月16日や3月15日が土日の場合は、次の平日に期限が延長されます。
なお、確定申告により払い過ぎた税金が戻ってくる還付申告となる場合は、翌年から5年間申請可能です。
ふるさと納税と医療費控除・住宅ローン控除は併用できる?
ふるさと納税と医療費控除・住宅ローン控除は併用可能です。ただし、それぞれに注意事項があるため、詳細を把握してから併用を検討しましょう。
住宅ローン控除を併用して確定申告を行う場合は、ふるさと納税によって所得税が一部控除されるため、住宅ローン控除額が減少してしまう可能性があります。
ただし、ワンストップ特例制度を利用する場合は所得税の控除(還付)がないため、住宅ローン控除額に影響はありません。
医療費控除とふるさと納税を併用した場合、ふるさと納税の控除上限額が減少するため、注意しましょう。
ふるさと納税の控除上限額は、所得が多いほど控除上限額も高額になります。医療費控除は所得から年間医療費の一定額を差し引ける制度。つまり、医療費控除を申請すると課税所得が減少します。その結果、ふるさと納税の控除上限額も減少してしまうのです。
また、ふるさと納税のワンストップ特例制度は使えなくなります。医療費控除と併用する場合は、確定申告でふるさと納税の金額も申告する必要があるため、注意しましょう。
確定申告とワンストップ特例制度はどちらが得?
確定申告とワンストップ特例制度は控除される金額に差はないため、どちらが得ということはありません。
■確定申告とワンストップ特例制度の主な違い
確定申告 | ワンストップ | |
---|---|---|
控除対象 | 所得税と住民税 | 住民税 |
控除(還付)金額 | 寄付金額−2,000円 | |
寄付可能な | 制限なし | 5つまで |
申請期限 | 翌年の2月16日〜 | 翌年の1月10日 |
確定申告でふるさと納税の申告を忘れた場合はどうすればいい?
ふるさと納税の申告を忘れても、寄付した翌年から5年間は申告可能です。5年以内であれば、忘れたことに気づいた時点で申告しましょう。
寄附金受領証明書を紛失してしまった場合はどうすればいい?
寄附金受領証明書は寄付した自治体から発行される書類のため、まずは、寄付した自治体に問い合わせをしましょう。
まとめ・ふるさと納税を行った年は確定申告の必要性の有無を確認しよう
ふるさと納税を行うと「寄付金−2,000円」が所得税から還付、住民税から控除されますが、ワンストップ特例制度を利用していない場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
1年間に寄付した自治体が5つ以内の給与所得者など、ワンストップ特例制度を利用できる人には一定の条件があるため、すべての人がワンストップ特例制度を利用できる訳ではありません。
確定申告の必要のある人が確定申告を行わない場合は、ふるさと納税をしても住民税から控除されなくなってしまいます。
せっかく行ったふるさと納税を通常の寄付にしないためにも、ワンストップ特例制度を利用していない人は確定申告を忘れないように注意しましょう。
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参考資料
総務省|ふるさと納税のしくみ
国税庁|No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
国税庁|No.2260 所得税の税率
国税庁|No.2020 確定申告
この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。