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確定申告の還付金が振り込まれるのはいつ?還付金が発生するケースも!

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

お金

確定申告の還付金はいつ入る?
還付金が発生するケースも解説!

確定申告とは、1年間の所得や控除額を計算して所得税を申告納税する手続きのこと。計算した結果、確定した所得税が予定納税額や源泉徴収額より多い場合は、還付金が発生します。 では、還付金はどのような方法でいつ受け取れるのでしょうか? この記事では、確定申告の還付金が発生するケースや計算方法、還付金を受け取れる時期や受取方法を解説します。

目次

確定申告の還付金とは?

還付金のイメージ

確定申告とは、1年間の所得や控除額を計算して所得税を申告納税する手続きのこと。計算した結果、所得税が発生する場合は納税を行う必要がありますが、多く納めすぎている税金が返金される場合もあります。

まずは、確定申告の還付金について確認しておきましょう。

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還付金とは多く納めすぎている税金から返還されるお金のこと

確定申告の還付金とは、多く納めすぎている税金から返還されるお金のことです。

確定申告により確定した所得税より納税済みの予定納税額や源泉徴収額が多い場合などに、還付金が発生する

確定申告により確定した所得税より納税済みの予定納税額や源泉徴収額が多い場合などに、還付金が発生します。

還付金を受け取るためには確定申告もしくは年末調整が必要

還付金を受け取るためには、確定申告もしくは年末調整が必要です。

一般的な会社員の場合は、勤め先の会社で年末調整を行ってくれます。年末調整とは、給与や賞与から差し引かれた源泉徴収額と実際の所得税の差額を精算する手続きのこと。

会社員の場合、昨年度の所得を基に概算した所得税を、給与や賞与から源泉徴収しています。しかし、源泉徴収した所得税は概算のため、本年度の正しい所得税を計算し納税する必要があります。その調整が年末調整です。

所得が給与所得のみで還付金が発生する場合、年末調整が終わった後の12月もしくは翌年1月の給与に還付金が含まれるケースが一般的です。

一方、個人事業主が還付金を受け取るためには自分で確定申告を行う必要があります。また、給与所得者でも確定申告することで還付金が発生するケースがあり、その場合は年末調整を行っていても自分で確定申告を行う必要があるため、注意しましょう。

なお、給与所得者で還付金が発生する場合の確定申告は、5年前までさかのぼって申告することが可能です。

給与所得とは?年末調整や確定申告で必要な給与所得控除額の確認方法も!

還付金の計算方法

還付金は【(所得税+復興特別所得税)−源泉徴収額−予定納税額】がプラスになる場合に発生します。

確定申告書の例でも確認してみましょう。

■確定申告書の例

確定申告書のイメージ 【47】:380,322円 【50】:50,000円 【52】:350,000円 【54】:19,678円

【47】は(所得税+復興特別所得税)の380,322円
【50】は源泉徴収額の50,000円
【52】は予定納税額の350,000円
【54】は還付金の「380,322円−50,000円−350,000円」=19,678円

上記のケースの場合、19,678円が還付金となります。

確定申告の還付金が発生するケースとは?

確定申告の還付金のイメージ

では、確定申告で還付金が発生するのはどのようなケースなのでしょうか?

確定申告で還付金が発生するケース
  1. 確定した所得税より予定納税額の方が多い場合
  2. 確定した所得税より源泉徴収された金額の方が多い場合
  3. 青色申告で前年へ損失の繰り戻しを行っている場合
  4. 確定申告でしか適用されない控除を申告する給与所得者
  5. 確定申告でしか適用されない控除を申告する公的年金受給者
  6. 年の途中で退職して同年中に再就職していない場合

詳細を確認していきましょう。

※1:国税庁|No.2040 予定納税
※2:国税庁|【確定申告・還付申告】

確定した所得税より予定納税額の方が多い場合

1つ目は、確定した所得税より予定納税額の方が多い場合です。

予定納税とは、所得税を前払いする制度のこと。予定納税では前年度の所得額を基に本年度の所得税が概算され、15万円以上の人が予定納税の対象になります。

対象者は6月頃に届く「予定納税額通知書」により、本年度の所得税を前払いします。

しかし、予定納税額はあくまでも概算された金額です。そのため、最終的に確定した所得税と差が生じることもあります。確定した所得税より前払いした予定納税額の方が多い場合は、差額が還付金として返金されます。

確定した所得税より源泉徴収された金額の方が多い場合

2つ目は、確定した所得税より源泉徴収された金額の方が多い場合です。

個人事業主が得る所得の中には、取引相手から源泉徴収された報酬もあります。源泉徴収とは、給与や報酬を受け取る際に、あらかじめ一定額の所得税を差し引く制度のことです。

源泉徴収の対象となる主な報酬
  • 原稿料
  • デザイン料
  • 講習料
  • 出演料 など

最終的に確定した所得税より前払いした源泉徴収額の方が多い場合は、差額が還付金として返金されます。

※3:国税庁|No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

青色申告で前年へ損失の繰り戻しを行っている場合

3つ目は、青色申告で損失の繰り戻しを行っている場合です。

青色申告では、前年へ損失の繰り戻しが可能です。損失を前年へ繰り戻して損失と利益を相殺すると、前年の所得が減少します。その結果、納税すべき所得税より実際に納めた所得税の方が多くなるため、差額が還付金として返金されます。

確定申告でしか適用されない控除を申告する給与所得者

4つ目は、確定申告でしか適用されない控除を申告する給与所得者です。

本来、給与所得者は会社で年末調整を行うため確定申告の必要はありません。しかし、住宅ローン控除やふるさと納税などの確定申告でしか適用されない控除を申告する場合は、確定申告が必要になります。

確定申告でしか申告できない主な控除
  • 医療費控除
  • 寄付金控除
  • 住宅ローン控除(初年度)
  • 雑損控除

これらの控除を申告した場合は、所得もしくは所得税から一定額が控除されます。その結果、払いすぎた所得税が還付金として返金されます。

なお、ふるさと納税は寄附金控除に含まれますが、「ワンストップ特例」を選択した場合は確定申告の必要はありません。

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確定申告でしか適用されない控除を申告する公的年金受給者

5つ目は、確定申告でしか適用されない控除を申告する公的年金受給者です。

まずは、年金受給者で確定申告が必要なケースを確認しておきましょう。

年金受給者で確定申告が必要なケース
  1. 年金収入が400万円を超える場合
  2. 年金収入が400万円以下でも、公的年金等以外の所得が20万円を超える場合

上記の人が以下に該当する確定申告でしか適用されない控除を申告する場合は、所得もしくは所得税から一定額が控除されます。。その結果、払いすぎた所得税が還付金として返金されます。

対象の控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 医療費控除
  • 寄附金控除
  • 雑損控除

確定申告が必要な人を徹底解説!年金受給者は?ふるさと納税者は?

年の途中で退職して同年中に再就職していない場合

6つ目は、年の途中で退職して同年中に再就職していない場合です。

年の途中で退職して同年中に再就職していない場合は、年末調整を受けられません。しかし、実際の所得税額より、退職した会社で源泉徴収されていた金額の方が多い可能性も考えられます

その場合は確定申告することで、払いすぎた所得税が還付金として返金されます。

確定申告の還付金はいつ振り込まれる?

確定申告の還付金はいつ振り込まれる?

確定申告の還付金が振り込まれる時期は、申告方法により若干異なります。

なお、申告内容に不備がある場合は、還付金の振り込まれる時期は一般的な期間より長くなるため、不備がないよう注意しましょう。

書面で確定申告した場合

税務署に確定申告書類を郵送もしくは持参した場合は、提出後1〜1ヶ月半程度で還付金が振り込まれます

税務署で入金の処理が完了すると「国税還付金振込通知書」というはがきが届くため、入金と合わせて確認しましょう。

電子申告【e-Tax】の場合

国税庁の確定申告作成コーナーで確定申告を行い、電子申告(e-Tax)した場合は、申告後2〜3週間程度で還付金が振り込まれます

書面で確定申告した場合のようなはがきは届きませんが、e-Taxにて還付金の処理状況を確認することが可能です。

e-Taxでの還付金の処理状況の確認方法
  1. ログインする
  2. 「通知書等」を選択する
  3. 「通知書等一覧」内の「国税還付金振込通知書」を選択する

なお、還付金の処理状況の確認ができる時期は、申告後2週間程度です。

確定申告の還付金の受け取り方法とは?

確定申告の還付金の受け取り方法

確定申告の還付金の受け取り方法は、以下の2通りです。

確定申告の還付金の受け取り方法
  1. 銀行振り込み
  2. ゆうちょ銀行・郵便局の窓口で受け取り

詳細を確認してみましょう。

※4:国税庁|【税金の還付】

銀行振り込み

銀行振り込みを希望する場合は、確定申告書の「還付される税金の受取場所」に口座情報を記入します。

確定申告書のイメージ

銀行振込で指定できる口座は、本人名義のものです。本人名義でも店名などの屋号が含まれている口座は認められない場合があるため、本人名義のみの口座を準備しましょう

ゆうちょ銀行の他、各銀行・信用金庫・労働金庫・農業協同組合・漁業協同組合など、大手の金融機関はたいてい受け取り可能ですが、インターネット専用銀行は対応できない場合があります

指定金融機関の可否に関して不安な場合は、金融機関に問い合わせしましょう。

なお、記入した口座を「公金受取口座」として登録したい場合は、「公金受取口座登録の同意」に◯をします。

すでに登録済の公金受取口座に振込してほしい場合、「公金受取口座の利用」に◯をすれば、口座情報を記入する必要はありません。公金受取口座が登録済か否かは、マイナポータルで確認できます。

ゆうちょ銀行・郵便局の窓口で受け取り

ゆうちょ銀行や郵便局の窓口での受け取りを希望する場合は、確定申告書の「還付される税金の受取場所」の「郵便局名等」に、受け取りを希望する郵便局名を記入します。

還付金の入金が完了すると「国庫金送金通知書」が届くため、「国庫金送金通知書」と本人確認書類を持参し、窓口で還付金を受け取りましょう。

還付金が振り込まれない場合はどうすればいい?

還付金が振り込まれない場合はどうすればいい?

申告後、目安である期間を過ぎても還付金が振り込まれない場合は、管轄の税務署に問い合わせをしましょう。

ただし、確定申告が集中する3月は還付金が振り込まれるまでに時間がかかる可能性もあります。申告後1ヶ月半程度待ってみて、それ以上経っても振り込まれない場合は、放置せずに問い合わせしましょう。

なお、e-Taxで確定申告した場合は、以下の方法で還付金の処理状況を確認できます。

e-Taxでの還付金の処理情報確認方法
  • e-Taxソフト(WEB版)にログインする
  • 「マイページ」を選択
  • 「本人情報設定」内の「還付・納税関係」を選択
  • 「還付先金融機関」内の「還付金処理状況を確認する」を選択

表示されるメッセージと状況は以下の通りです。

表示されるメッセージ
  • 申告書の確認:申告書内容の確認中
  • 振込先の確認:還付金の金額や振込先の金融機関情報の確認中
  • 支払手続完了:還付金の支払手続を表示の日程で行った

※4:国税庁|【税金の還付】
※5:e-Tax国税電子申告・納税システム|還付金処理状況確認について

まとめ・確定申告の還付金が振り込まれない場合は税務署に問い合わせを!

確定申告の還付金とは、多く納めすぎている税金から返還されるお金のこと。税務署に確定申告書類を郵送もしくは持参した場合は提出後1〜1ヶ月半程度、電子申告(e-Tax)した場合は申告後2〜3週間程度で還付金が振り込まれます。

確定した所得税より予定納税額の方が多い場合や確定した所得税より源泉徴収された金額の方が多い場合、青色申告で損失の繰り戻しを行っている場合や確定申告でしか適用されない控除を申告する給与所得者が還付金を受け取れる可能性があります。

還付金の振込が遅い場合は処理を見落とされている可能性もあるため、放置せずに管轄の税務署に問い合わせをしましょう。

参考資料

国税庁|No.2040 予定納税
国税庁|【確定申告・還付申告】
国税庁|No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
国税庁|【税金の還付】
e-Tax国税電子申告・納税システム|還付金処理状況確認について

この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。

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