60歳の平均年収から見えてくるもの。転職を成功させるポイントとは?
高年齢者雇用安定法の改正はシニアの活躍の場を広げてくれましたが、年収は大幅にダウンする傾向にあります。 今回は60歳の年収について再雇用後の変化、業種別・職業別にまとめてみました。
- 目次
- 再雇用後の仕事と年収
- 再雇用後の仕事内容
- 同じ仕事内容でも平均年収は減少
- 大企業ほど年収減
- 60歳の平均年収
- 60歳の平均年収は687万円
- 年収は60歳前後でどう変化するのか
- 50代男性の平均年収の変化
- 女性の平均年収の変化
- 60歳は分岐点
- 全世代給与所得者の年収分布と比較
- モチベーションを保てる年収
- 業種別
- 最も平均年収が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」
- 最も平均年収が低いのは「宿泊業、飲食サービス業」
- 50代→60代の減少幅が大きいのは「情報通信業」
- 「製造業」も60代での減少幅が大きい
- 給与所得者全体の平均年収の変化
- 年収維持か、体に無理が少なく働ける条件か
- 年収維持のための転職
- 体に負担を少なくして長く働く
- まとめ:60代以降に備えるためにもシニア専門転職エージェントに相談を
再雇用後の仕事と年収
65歳までの雇用機会の確保を目指した、高年齢者雇用確保措置というルールがあります。
65歳未満を定年としている会社は、
「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」
のいずれかをする必要があります。
こうした制度のもと、定年後も再雇用され、働く高齢者が増加しています。
再雇用により、年収はどうなるのでしょうか。
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再雇用後の仕事内容
高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)によると、
60代前半の継続雇用者の仕事内容は、40.5%が責任の重さは変わるけれど
定年前と同じ仕事、39.5%が定年前とまったく同じ仕事でした。
つまり仕事内容はほぼ変わらないのです。
同じ仕事内容でも平均年収は減少
2014年の調査では、継続雇用者が定年になった時点での年間給与(年金は含まず)に対する継続雇用後の給与水準を企業に訪ねたところ、回答の平均は68.3%。
つまり、再雇用後の給与は、同じ仕事をしていても定年前より平均約3割減ということです。
大企業ほど年収減
企業規模別ですと、規模が大きい企業になればなるほど、定年後の給与水準は定年前の50%以下と回答する割合が高くなります。
逆に、小さな企業ほど定年後の給与水準は定年前の81%以上と答える割合が高くなっています。
つまり、大企業ほど年収の減少幅が大きく、小さな企業は減少幅が小さいということです。
場合によっては年収の逆転もありえます。
大企業にお勤めでこの点に不安があるのなら、高齢者専門の転職エージェントで中小企業の情報を聞いてみるといいでしょう。
60歳の平均年収
60歳の平均年収をズバリみていきましょう。
60歳の平均年収は687万円
60歳の平均年収は下記の通りです。
- 60歳全体の平均年収は687万円
- 60歳男性の平均年収は700万円
- 60歳女性の平均年収は525万円
男女間での差が大きいことがわかります。
年収は60歳前後でどう変化するのか
では、60歳の前後で年収はどう変化するのでしょうか。
まず全体の数字をみてみましょう。
- 50歳は平均年収570万円
- 55歳は645万円
- 59歳は740万円
50代の間は上昇を続けます。
しかし60歳では大きく変わってきます
- 60歳は690万円
- 61歳で555万円
- 65歳で575万円
となり、大きく減少しております。
50代男性の平均年収の変化
男性の場合、平均年収は
- 50歳で630万円
- 55歳で695万円
- 59歳で770万円
50代はやはり増加を続けます。
しかし、61歳で570万円、65歳で590万円となり、60代に入るとそれまでより減少となります。
国税庁の調査では、勤続年数30年~34年の層が最も平均給与が高くなっています。
女性の平均年収の変化
女性の場合、50歳で425万円、55歳で430万円、59歳で440万円。
50代は小幅な増減を繰り返しつつ増加していきます。
60代に入ると、61歳で440万円、65歳で370万円とだんだんと減少していきます。
勤続年数25年~29年の層が最も給与が多くなっていますが、勤続年数による格差は男性ほどではありません。
それよりも、ライフステージの変化が大きく影響しています。
60歳は分岐点
男女とも、60歳はその後の働き方を考える分岐点と見ておいて良いでしょう。
年収減を避けたいのなら、転職を検討する必要もあるかもしれません。
何かと不安が大きい高齢となってからの転職ですが、転職エージェントを利用することで有利に進められます。
特にシニアに特化した専門の転職エージェントは、心強い存在です。
全世代給与所得者の年収分布と比較
参考に、全世代給与所得者の年収の分布もみてみましょう。
国税庁「民間給与実態統計調査結果」によると、年間を通じて勤務した5255万人の給与所得者のうち、最も多いのが年収300万円~400万円で891万人。
次が、200万円~300万円で784万人。
男性は、400万円~500万円が最も多く532万人で、次が300万円~400万円の502万人。
女性は、100万円~200万円が最も多く526万人、次が200万円~300万円の452万人でした。
モチベーションを保てる年収
こうして見ると、60歳の平均年収は十分なように思われますが、それまでの年収との比較や、キャリアに対してのモチベーションを保てる給与であるかどうかが問題です。
ご自身のキャリア・経験に対し、60代以降の年収が見合ったものなのか、別の可能性があるのか、シニア専門の転職エージェントならきっと良いアドバイスをしてくれますよ。
業種別
再び「民間給与実態統計調査結果」をもとに、今度は業種別に60歳~64歳、65歳~69歳の年収をチェックしてみましょう。
最も平均年収が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」
60歳時点での平均年収が最も高いのは、電気・ガス・熱供給・水道業です。
- 60歳~64歳 610万円6千円
- 65歳~69歳 734万円2千円
50代から60代でいったん360万円以上平均年収が下がりますが、65歳以降、再び平均年収が上がり続けます。
最も平均年収が低いのは「宿泊業、飲食サービス業」
宿泊業、飲食サービス業の60代の平均年収はこちら。
- 60歳~64歳 264万1千円
- 65歳~69歳 215万5千円
宿泊業、飲食サービス業で、最も平均年収が高いのは55歳~59歳の327万5千円。
平均年収こそ低いものの、ホテルは駅近であることや、体に負担が少なく働ける業務があったりと、シニアが末永く活躍できる職場のひとつです。
50代→60代の減少幅が大きいのは「情報通信業」
情報通信業ではなんと50代から60代で約240万円、60代前半から60代後半で約100万円も平均年収が下がります。
- 55歳~59歳 834万円
- 60歳~64歳 595万6千円
- 65歳~69歳 459万7千円
「製造業」も60代での減少幅が大きい
製造業も50代から60代で約200万円、60代前半から60代後半で約40万円も下落してしまいます。
- 55歳~59歳 630万1千円
- 60歳~64歳 438万6千円
- 65歳~69歳 397万8千円
給与所得者全体の平均年収の変化
では、給与所得者全体における、60代での平均年収の変化はどうでしょうか。
- 55歳~59歳 518万
- 60歳~64歳 410万
- 65歳~69歳 323万
わかることは、どの業種も60代で平均年収が減少しますが、その減少のし方は突然・急激ということ。
全体で見ても、50代から60代で約100万円、60代前半から後半で約90万円となり、非常に大きな減少幅になっています。
年収維持か、体に無理が少なく働ける条件か
60代以降はいきなり年収が大きく減少すること。
大企業の減少幅が大きいということ。
資格が強いということ。
60歳の年収を調べてわかったことは、このようなことでした。
年収維持のための転職
スキルやキャリアによっては、転職が年収の減少の対応策になるかもしれません。
例えば、大企業から中小企業への転職も、年収の逆転を回避する方法です。
シニア専門の転職エージェントにシニアのキャリアを売りにした転職をサポートしてもらうのも、年収維持のためのひとつの方法です。
体に負担を少なくして長く働く
転職の目的は、年収維持だけではありません。
長く働くための転職も考えられます。
無理のない仕事内容、スケジュールの融通性、短時間通勤、駅近など、シニアにとって働きやすい職場をみつければ、より長く働き続けることができます。
シニアにとって働きやすい職場の求人は、高齢者専門の転職エージェントが得意とするところです。
60代以降、長く働くためにはどんな仕事が良いかといったことも相談できます。
まとめ:60代以降に備えるためにもシニア専門転職エージェントに相談を
年収減が予想される60代以降。
貯蓄なり、節約なり、その対策はよく考えておくべきでしょう。
転職エージェントを活用しての転職も対策のひとつ。
60代以降に備えてどう動くべきか、高齢者事情に詳しいシニア専門の転職エージェントに相談することで、見えてくるものがあるでしょう。
この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。