忌引き休暇はいつから何日とれる?範囲や日数・給料の有無なども解説!
忌引き休暇の日数と範囲! 親・祖父母・兄弟姉妹は何日とれる?
忌引き休暇とは親族が亡くなったときに取得できる休暇のこと。人の死はいつどこで訪れるかわからないため、平日に忌引き休暇を取得することはめずらしくありません。 この記事では、忌引き休暇の範囲や日数、会社への連絡方法やよくある質問をご紹介します。 万一のときに安心して故人を見送れるよう、あらかじめ忌引き休暇について確認しておきましょう。
- 目次
- 忌引き休暇とは?
- 忌引き休暇とは親族が亡くなった際に取得する休暇のこと
- 忌引き休暇は法定休暇ではない
- 忌引き休暇・慶弔休暇に関するデータ
- 忌引き休暇の範囲と日数の目安|いつから何日休める?
- 2〜3親等以内の親族が対象範囲になることが一般的
- 一般的には亡くなった日もしくは次の日から忌引き休暇の対象になる
- 配偶者の場合は10日間
- 【父親・母親・子】などの1親等の場合は3〜7日
- 【祖父母・兄弟姉妹】などの2親等の場合は1〜3日
- 【叔父叔母・甥姪】などの3親等の場合は0〜1日
- 国家公務員の忌引き休暇は人事院規則により定められている
- 忌引き休暇の取得方法
- できるだけ早く直属の上司へ電話連絡する
- 証明書が必要な場合は書類の準備する
- 忌引き休暇後はお礼や挨拶を忘れずに行う
- 忌引き休暇に関するQ&A
- Q:忌引き休暇中は給料は発生する?
- Q:忌引き休暇と土日祝日が重なった場合はどのように扱われる?
- Q:パート・アルバイトにも忌引き休暇はある?
- まとめ・万一のときのために就業規則で忌引き休暇の詳細を確認しておこう
忌引き休暇とは?
まずは、忌引き休暇がどのような休暇なのか、概要を確認しておきましょう。
忌引き休暇とは親族が亡くなった際に取得する休暇のこと
忌引き休暇とは、親族が亡くなった際に取得する休暇のことです。
そもそも、忌引きとは親族が亡くなった際に一定期間喪に服すことを意味します。大切な親族が亡くなった際、親族のことを想って偲んだり、心を込めて葬儀に参列したりするためにあるのが忌引き休暇です。
忌引き休暇は法定休暇ではない
忌引き休暇は一般的にも知られていますが、法定休暇ではありません。
法定休暇とは
- 年次有給休暇・介護休暇・子の看護休暇などの法律で定められている休暇のこと
- 従業員から法定休暇の取得希望があった場合、企業は従業員に法定休暇を与える義務がある
忌引き休暇は、企業が任意で定められる特別休暇の1つ。そのため、忌引き休暇の有無や日数などは企業により異なります。法定休暇ではないため、忌引き休暇を設けない企業も違法にはなりません。
しかし、「大切な親族が亡くなった場合にゆっくり見送ることもできない」という心配がある企業では、従業員は安心して働けません。従業員のプライベートを大切にしたり、勤務意欲の向上を図るためにも、大半の企業では忌引き休暇を導入しています。
年間休日の平均日数はどれくらい?大手と中小企業で違いはある?
忌引き休暇・慶弔休暇に関するデータ
では、実際に忌引き休暇を導入している企業はどのくらいあるのでしょうか?厚生労働省の「慶弔休暇について」を基に確認してみましょう。
「本社の常用労働者が30人以上の民営企業」を対象にした調査では、忌引き休暇制度がある企業は96.1%。そのうち、親が死亡した場合に忌引き休暇を取得できる企業は99.7%と、多くの企業で忌引き休暇制度を導入していることがわかります。
また、平均休暇日数は6日とのことです。
続柄別の付与割合は以下の通り、2親等以内はほぼ忌引き休暇の対象であることがわかりました。
続柄別付与割合
- 配偶者・子・父母:100%
- 配偶者の父母:97%
- 兄弟姉妹:97%
- 祖父母:95.1%
なお、勤務形態別の慶弔休暇の実施状況は以下の通りでした。
※1:厚生労働省|慶弔休暇についてを基に作成
忌引き休暇の範囲と日数の目安|いつから何日休める?
先ほどもお伝えした通り、忌引き休暇の範囲や日数は企業によって異なります。法律で定められている訳ではありませんが、一般的な忌引きの範囲や目安を知りたい人も多いでしょう。
ここでは、一般的な忌引き休暇の範囲と目安をご紹介します。
一般的な忌引き休暇の範囲と日数
- 配偶者:10日
- 父親・母親:7日
- 子ども:5日
- 祖父・祖母:3日
- 兄弟・姉妹:3日
- 孫:1日
- 叔父・叔母:0〜1日
- 甥・姪:0〜1日
- 配偶者の父親・母親:3日
- 配偶者の兄弟・姉妹 1日
- 配偶者の祖父・祖母:0〜1日
- 配偶者の叔父・叔母:0〜1日
上記の日数はあくまでも一般的な目安です。詳細を知りたい場合は、会社の就業規則で確認しておきましょう。
2〜3親等以内の親族が対象範囲になることが一般的
忌引き休暇は、2〜3親等以内の親族が対象範囲になることが一般的です。
3親等以内の親族
- 1親等:父親・母親・子ども・配偶者の父親・配偶者の母親
- 2親等:兄弟姉妹・祖父母・孫・配偶者の兄弟姉妹・配偶者の祖父母
- 3親等:曾祖父母・叔父叔母・甥姪・曾孫・配偶者の曾祖父母・配偶者の甥姪・配偶者の叔父叔母
2親等までが忌引き休暇対象の企業も多いです。
いとこは基本的に忌引き休暇の対象外
いとこは4親等のため、基本的には忌引き休暇の対象外になります。しかし、「年の近いいとこと関係が深かったので、忌引き休暇を取得したい」と思うこともあるでしょう。
就業規則でいとこは忌引き休暇の対象外と定められていたとしても、会社に相談してみると、忌引き休暇として認められる場合もあります。
確認したうえで規定通り忌引き休暇の対象外だった場合は、有給休暇などを取得することで対応しましょう。
一般的には亡くなった日もしくは次の日から忌引き休暇の対象になる
忌引き休暇を取得できるのは、親族が亡くなった日もしくは亡くなった次の日からになることが一般的です。
いつから忌引き休暇の対象になるかは企業によって異なるため、日数と合わせて確認しておきましょう。
配偶者の場合は10日間
亡くなった人が本人の配偶者の場合、忌引き休暇の日数は10日程度であることが一般的です。
忌引き休暇は本人との血縁関係が深いほど日数が多く設定されています。親族の中でも配偶者は本人との関わりがもっとも深く、亡くなった場合の精神的な負担が大きいと考えることが一般的のため、10日間と長めの休暇日数が設定されています。
なお、配偶者は法律上では親族ではあるものの本人と同じ位置づけのため、一般的には「0親等」と呼ばれます。
【父親・母親・子】などの1親等の場合は3〜7日
亡くなった人が本人の父親・母親・子どもなどの1親等の場合、忌引き休暇の日数は3〜7日程度であることが一般的です。
1親等の忌引き休暇日数の目安
- 父親・母親:7日
- 子ども:5日
- 配偶者の父親・配偶者の母親:3日
父親・母親の場合、本人の親か配偶者の親かにより日数は異なることが一般的です。1親等の親族が遠方に住んでいた場合、移動の時間を考慮して規定より長い休暇を許可してくれる企業もあるため、相談してみましょう。
【祖父母・兄弟姉妹】などの2親等の場合は1〜3日
亡くなった人が本人の祖父母や兄弟姉妹などの2親等の場合、忌引き休暇の日数は1〜3日程度であることが一般的です。
2親等の忌引き休暇日数の目安
- 兄弟姉妹:3日
- 祖父母:3日
- 孫:1日
- 配偶者の兄弟姉妹:1日
- 配偶者の祖父母:1日
祖父母も本人の親族か配偶者の親族かにより日数は異なることが一般的。つながりが深い本人の祖父母や兄弟姉妹は3日程度ですが、配偶者の祖父母や兄弟姉妹は1日と短めです。
【叔父叔母・甥姪】などの3親等の場合は0〜1日
亡くなった人が本人の叔父叔母や甥姪などの3親等の場合、忌引き休暇の日数は1日程度、もしくは対象外であることが一般的です。
3親等の親族の場合は忌引き休暇の対象外と定められている企業も多いため、あらかじめ就業規則を確認しておきましょう。
国家公務員の忌引き休暇は人事院規則により定められている
国家公務員の忌引き休暇は、人事院規則により定められています。
■国家公務員の忌引き休暇の日数
親族 | 日数 | |
---|---|---|
配偶者 | 7日 | |
父母 | 7日 | |
子 | 5日 | |
祖父母 | 3日 | 7日 |
孫 | 1日 | |
兄弟姉妹 | 3日 | |
叔父叔母 | 1日 | 7日 |
配偶者の父母 | 3日 | 7日 |
配偶者の子 | 1日 | 5日 |
配偶者の祖父母 | 1日 | 3日 |
配偶者の兄弟姉妹 | 1日 | 3日 |
叔父叔母の配偶者 | 1日 |
なお、国家公務員以外の公務員の場合、地方自治体で範囲や日数を定めることになっています。多少の違いはあるものの、国家公務員の内容に準じて定めることが多いため、範囲や日数は国家公務員の内容と大きな違いはありません。
※2:E-gov|人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)
忌引き休暇の取得方法
人の死はいつ訪れるかわかりません。万一のときのために、忌引き休暇の取得方法を確認しておきましょう。
できるだけ早く直属の上司へ電話連絡する
忌引き休暇を取得したい場合、できるだけ早く直属の上司へ電話連絡をしましょう。遅い時間帯であればメールの連絡でも問題ありませんが、電話で直接伝えることが基本です。
電話で忌引き休暇の許可を得た後は、葬儀の詳細をメールなどで連絡します。亡くなった人が近い親族の場合、上司が葬儀に参列するケースも多いため、お通夜や告別式の日程を伝えましょう。
■例文
件名:忌引き休暇取得の件
〇〇部〇〇様
おつかれさまです。
この度、父の死去に伴い、忌引き休暇の取得を希望致します。
下記に詳細を記しております。
ご確認ください。
期間:〇年〇月〇日~〇年〇月〇日(〇日間)
理由:葬儀の準備や後片付けのため
なお、忌引き期間中のご連絡は以下までお願いいたします。
電話:090-1234-5678
以上、よろしくお願い致します。
上記のように「亡くなった人との関係・通夜や告別式の日時・休暇期間・忌引き期間中の連絡先」を伝えます。
証明書が必要な場合は書類の準備する
証明書が必要な場合は、書類の準備をします。企業によっては、忌引き休暇を取得するために書類の提出を求められる場合もあります。
忌引き休暇の取得に必要な書類
- 会葬礼状
- 死亡診断書(写し)
- 火葬許可証(写し) など
安心して亡くなった人を送れるよう、忌引き休暇の取得に必要な書類を準備しておきましょう。
忌引き休暇後はお礼や挨拶を忘れずに行う
忌引き休暇後は、お礼や挨拶を忘れずに行いましょう。
忌引き休暇は突然取得するケースがほとんどです。亡くなった人との関係によっては長期間休暇を取得する可能性もあります。
忌引き休暇は従業員の権利のため、必要以上に引け目を感じることはありません。しかし、休暇中に自分の業務のフォローをしてくれた人達へ感謝の気持ちを込めて、お礼や挨拶をすることを忘れないようにしましょう。
挨拶をする際には、菓子折りなどを持参するとより丁寧な印象になります。
また、会社の人から香典をいただいた場合は、香典返しを渡すのがマナーです。香典返しは、いただいた香典の半分以下の金額の食べ物などが一般的。葬儀が無事に終わったことへのお礼の挨拶状も添えましょう。
忌引き休暇に関するQ&A
最後に、忌引き休暇に関するQ&Aをご紹介します。
Q:忌引き休暇中は給料は発生する?
A:忌引き休暇中の給料の有無は、企業により異なります。
忌引き休暇を有給にするか無給にするかは、法律で定められていません。そのため、有給休暇と同じ扱いになるか、欠勤扱いにはならないけれど無給になるかは、企業により異なります。
Q:忌引き休暇と土日祝日が重なった場合はどのように扱われる?
A:土日祝日や会社の所定休日を忌引き休暇に含めるか否かは、企業により異なります。就業規則や人事部などに確認しましょう。
Q:パート・アルバイトにも忌引き休暇はある?
A:忌引き休暇の対象者にパート・アルバイトが含まれるのか否かは、企業により異なります。パートやアルバイトの人でも忌引き休暇を取得したい場合は、念のため会社に相談してみましょう。
まとめ・万一のときのために就業規則で忌引き休暇の詳細を確認しておこう
忌引き休暇とは、親族が亡くなった際に取得する休暇のこと。忌引き休暇は法定休暇ではないため、忌引き休暇の有無や日数などは企業により異なります。
一般的には、1親等は3〜7日、2親等は1〜3日、3親等は0〜1日程度が日数の目安と、本人との血縁関係が深いほど日数が多くなります。
ただし、これはあくまでも目安です。人の死はいつ訪れるかわかりません。万一のときに安心して亡くなった人を送れるために、あらかじめ就業規則で忌引き休暇について把握しておきましょう。
参考資料
この記事の監修者
新名範久 【税理士・社会保険労務士】
「新名範久税理士・社会保険労務士事務所」所長。 建設、不動産、理美容、小売、飲食店、塾経営といった幅広い業種の法人や個人の税務・会計業務を行う。社会保険労務士として、法人の社会保険業務も担当。1人でも多くの人に、税金に対する理解を深めてもらいたいと考え、業務を行っている。 税理士、社会保険労務士、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、測量士補、CFP、FP技能検定1級、年金アドバイザー2級、証券外務員1種などの資格を保有。