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2025年の年金支給日はいつ?受給者が死亡した場合の対応も!

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

お金

2025年の年金支給日一覧!
支給日が土日の場合はどうなる?

シニアの生活を支える年金。初めて年金をもらう人の中には、支給開始の手続き方法や年金の支給日がいつか把握していない人も多いのではないでしょうか? 国民年金や厚生年金は原則として65歳から受け取れますが、自動的に受給が開始される訳ではありません。年金を受け取るためには所定の手続きが必要です。 この記事では年金支給日の原則や2025年の年金支給日一覧、受給開始の手続き方法や受給者が死亡した場合の対応などを解説します。

目次

国民年金・厚生年金の支給日はいつ?

国民年金・厚生年金の支給日はいつ?

まずは、国民年金・厚生年金の支給日はいつなのか、2025年の支給日一覧と合わせて確認してみましょう。

年金支給日は偶数月の15日

年金の支給日は、原則として偶数月の15日です。「2月・4月・6月・8月・10月・12月」の15日に、前々月と前月の2ヶ月分が支給されます。

年金の受け取り方法を銀行振り込みにしている場合は、支給日に自動的に振り込まれます。ゆうちょ銀行(郵便局)の窓口受け取りにしている場合は、年金送金通知書と年金証書を持参してゆうちょ銀行(郵便局)の窓口に行けば、現金での受け取りが可能です。

※1:日本年金機構|年金はいつ支払われますか。

支給日が土日祝日の場合は直前の平日に前倒しされる

年金支給日が土日祝日の場合、直前の平日に前倒しで支給されます。

2025年の年金支給日一覧

2025年の年金支給日は以下の通りです。

■2025年の年金支給日

年金支給日

該当月

2月14日(金)

2024年の12月・1月分

4月15日(火)

2月・3月分

6月13日(金)

4月・5月分

8月15日(金)

6月・7月分

10月15日(水)

8月・9月分

12月15日(月)

10月・11月分

支給日当日に銀行口座から現金を引き出したい人は、カレンダーなどに印をしておきましょう。

国民年金と厚生年金で支給日に違いはない

日本の公的年金制度は2階建の仕組みになっており、1階部分は20歳以上60歳未満の人全てが加入する国民年金、2階部分は会社員や公務員が加入する厚生年金で構成されています。

国民年金・厚生年金共に原則的には65歳から受給開始されますが、両者の支給日に違いはありません。偶数月の15日に、国民年金と厚生年金の合計受給額が指定の口座に振り込まれます

なお、遺族年金や障害年金の支給日も国民年金・厚生年金と同じ支給日になります。

初めての年金支給日はいつになる?

初めての年金支給日はいつになる?

日本の公的年金は、原則65歳から受給が開始されますが、初めての年金支給日はいつになるのでしょうか?

初めての年金支給日は誕生月の2〜3ヶ月後になることが一般的

初めての年金支給日は、誕生月の2〜3ヶ月後になることが一般的です。

年金は年金受給権が発生した翌月から発生します。年金受給権とは、年金を受け取れる権利のこと。誕生月が1月の人は、2月分から年金が発生します。

ただし、65歳の誕生月を過ぎたからといって自動的に年金が受け取れる訳ではありません。受給開始には手続きが必要になり、手続きが完了して初回の年金が振り込まれるまでには2〜3ヶ月程度かかることが一般的です。

例外として奇数月に支給されるケースもある

年金支給日は、原則偶数月の15日ですが、例外として奇数月に支給されるケースもあります。

先ほどもお伝えした通り、初回の年金が支給されるまでにはある程度の時間がかかります。そのため、本来の支給日である偶数月の15日に間に合わない場合は、奇数月の15日に支給されるケースもあるのです。

企業年金の支給日はいつ?

企業年金の支給日はいつ?

企業年金とは、企業が福利厚生の一環として任意で設ける年金制度のこと。従業員の退職後の生活のために公的年金に上乗せして支給され、年金の3階部分に該当します。

1階部分:国民年金 2階部分:厚生年金・国民年金基金 3階部分:iDeCo・厚生年金基金・企業年金
主な企業年金
  • 確定給付企業年金
  • 確定拠出年金(企業型)
  • 厚生年金基金
  • 中小企業退職金共済制度

企業年金の支給日は、誕生月や年金額により異なります

■企業年金の支給月

年金額

誕生月

6万円未満
(年1回)

6万円以上
15万円未満
(年2回)

15万円以上
27万円未満
(年3回)

27万円以上
(年6回)

1・2月

4月

・6月

・12月

・4月

・8月

・12月

・2月

・4月

・6月

・8月

・10月

・12月

3・4月

6月

5・6月

8月

7・8月

10月

9・10月

12月

11・12月

2月

支給日は、支給月の1日。支給月の前月までの年金額が、指定口座に振り込まれます。

※2:企業年金連合会|年金の支払月

年金受給開始までの流れ

①日本年金機構から【年金請求書】が郵送される  ②年金事務所に年金請求書と必要書類を提出する  ③1~2カ月後に【年金証書・年金決定通知書】が郵送される ④1~2カ月後に【年金払込通知書】が郵送されて支給が始まる

65歳になったら、年金受給開始の手続きを行う必要があります。受給開始までの流れを確認しておきましょう。

※3:日本年金機構|老齢年金の請求手続き

日本年金機構から【年金請求書】が郵送される

65歳以降に年金受給権が発生する人には、65歳の誕生日の3ヶ月前に「年金請求書」が郵送されます

年金請求書にはこれまでの年金加入記録が記載されています。間違いがある場合は、年金事務所や年金相談センターに連絡しましょう。

郵送される封筒には、年金請求書の他に請求手続き方法の案内が同封されています。

年金事務所に年金請求書と必要書類を提出する

記載されている年金の加入記録に間違いがなかったら、年金請求書に必要事項を記入し、年金事務所に提出しましょう。

ただし、提出できる時期は、誕生日の前日以降です。書類が届いてからすぐに提出しないよう、注意してください。

提出期限を過ぎてしまっても、年金請求書を提出すれば、65歳までさかのぼって年金が受け取れます。ただし、受給開始年齢から5年過ぎると時効になってしまうため、年金請求書は忘れずに提出しましょう。

提出の際には、本人名義の銀行口座のコピーも必要になります。

なお、日本年金機構にマイナンバーを登録していない場合、もしくは、年金請求書にマイナンバーを記入しない場合は、住民票や戸籍謄本などの提出も必要になるため、注意しましょう。

※4:日本年金機構|特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
※5:日本年金機構|65歳時の年金の手続き(厚生年金加入期間が1年未満の方)

1~2カ月後に【年金証書・年金決定通知書】が郵送される

年金請求書を提出してから1〜2ヶ月ほど経つと「年金証書・年金決定通知書」が郵送されます。

年金証書とは、基礎年金番号などが記載されている重要な書類。年金受給のために必要になることが多いため、大切に保管しておきましょう。

年金決定通知書には以下の内容が記載されています。

年金決定通知書の記載内容
  • 年金額
  • 年金の計算の基礎となった加入期間の内訳(厚生年金)
  • 年金の計算の基礎となった平均標準報酬額等の内訳(厚生年金)
  • 年金の計算の基礎となった納付済期間等の内訳(国民年金)
  • 基本となる年金額等
  • 決定・変更理由

年金証書とはどんなもの?見方やいつもらえるのかを解説!

※6:日本年金機構|年金決定通知書・支給額変更通知書

1~2カ月後に【年金払込通知書】が郵送されて支給が始まる

年金証書が届いてから1~2カ月後に「年金振込通知書」が郵送され、年金の支給が始まります。

年金払込通知書とは、年金受給者に対し、毎年6月に郵送される書類のことです。支給額や受取金融機関に変更があった場合も発行されます。

年金払込通知書の記載内容
  • 年金支払額
  • 介護保険料額
  • 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
  • 所得税額および復興特別所得税額
  • 個人住民税額および森林環境税額
  • 控除後振込額
  • 振込先
  • 前回支払額

年金払込通知書には実際に払い込まれる金額が記載されているため、必ず確認しましょう。なお、年金振込通知書の内容は「ねんきんネット」でも閲覧可能です。

※7:日本年金機構|年金振込通知書

年金受給者が死亡した場合はどうすればいい?

年金受給者が死亡した場合はどうすればいい?

日本の公的年金には、受給期間の制限はありません。受給者が生存している限り支給は継続されます。逆に言うと、受給者が死亡した場合は所定の手続きを行う必要があります。

速やかに受給権者死亡の手続きを行う

年金受給者が死亡すると、受給者は受給権を失います。遺族は速やかに以下の書類を年金事務所に提出しなければなりません。

必要書類
  • 受給権者死亡届
  • 年金証書
  • 死亡の事実を明らかにできる書類
  • 未支給年金・未支払給付金請求書
  • 年金受給者と請求する人の続柄が確認できる書類
  • 未支給年金の受け取り口座情報

年金は、受給者が死亡した月まで発生します。受給者死亡の手続きが遅れ、死亡した翌月以降の分の年金を受け取った場合は不正受給とみなされ、返還する義務が発生するため、注意しましょう。

遺族が未支給年金を受け取れるケースもある

年金は、受給者が死亡した月まで発生します。年金は2ヶ月ごとに振り込まれるため、受給者が死亡したタイミングによっては「未支給年金」が発生します。

未支給年金を受け取る権利のある人は、死亡した年金受給者と生計を一にしていた遺族です。該当する遺族が複数いる場合は、以下の中で優先順位が高い人に権利があります。

優先順位
  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. 上記以外の3親等内の親族

なお、公的年金の受給要件を満たしている年金受給者が年金受給前に死亡した場合、遺族は遺族年金を受け取れる可能性があります。詳しくは、以下の記事をご参考ください。

遺族年金は誰がもらえる?受給資格や対象者や金額を徹底解説!

※8:日本年金機構|年金を受けている方が亡くなったとき

年金支給開始日を前倒しできる【繰り上げ受給】とは?

年金支給開始日を前倒しできる【繰り上げ受給】とは?

年金の受給開始年齢は、原則65歳です。ただし、希望する場合は65歳になるより前に受給を開始することも可能。これを「繰り上げ受給」といいます。

年金の繰り上げ受給とは、60歳を過ぎた段階から64歳までの間で、老齢年金の受給を開始することです。早く受給を開始できる分、受給率は1ヶ月早めるごとに0.4%ずつ下がります

■繰り上げ受給の減額率

60歳

61歳

62歳

63歳

64歳

0ヶ月

24.0%

19.2%

14.4%

9.6%

4.8%

1ヶ月

23.6%

18.8%

14.0%

9.2%

4.4%

2ヶ月

23.2%

18.4%

13.6%

8.8%

4.0%

3ヶ月

22.8%

18.0%

13.2%

8.4%

3.6%

4ヶ月

22.4%

17.6%

12.8%

8.0%

3.2%

5ヶ月

22.0%

17.2%

12.4%

7.6%

2.8%

6ヶ月

21.6%

16.8%

12.0%

7.2%

2.4%

7ヶ月

21.2%

16.4%

11.6%

6.8%

2.0%

8ヶ月

20.8%

16.0%

11.2%

6.4%

1.6%

9ヶ月

20.4%

15.6%

10.8%

6.0%

1.2%

10ヶ月

20.0%

15.2%

10.4%

5.6%

0.8%

11ヶ月

19.6%

14.8%

10.0%

5.2%

0.4%

減額された受給率は生涯変わらないため、始める前に十分に検討することが大切です。

逆に、受給開始年齢を66歳〜75歳までの間に遅らせる「繰下げ受給」制度もあります。繰り下げ受給の場合は、1ヶ月遅らせるごとに受給率が0.7%ずつ上がります。繰り上げ受給と同様に、受給率は生存している限り変更されることはありません。

年金受給額を増やす方法7箇条!国民年金や厚生年金の仕組みも
年金の繰下げ受給とは|計算方法や損益分岐点は?手続き方法も解説

※9:日本年金機構|年金の繰上げ受給
※10:日本年金機構|年金の繰下げ受給

まとめ・年金支給日は偶数月の15日!

年金の支給日は、原則として偶数月の15日です。「2月・4月・6月・8月・10月・12月」の15日に、前々月と前月の2ヶ月分が支給されます。

年金は年金受給権が発生した翌月から発生します。ただし、年金開始の手続きは時間がかかるため、初めての年金支給日は、誕生月の2〜3ヶ月後になることが一般的です。

年金は老後の生活を支える重要な収入源です。事前に年金支給日を確認し、無理のない生活設計を行いましょう。

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参考資料

日本年金機構|年金はいつ支払われますか。
企業年金連合会|年金の支払月
日本年金機構|老齢年金の請求手続き
日本年金機構|特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
日本年金機構|65歳時の年金の手続き(厚生年金加入期間が1年未満の方)
日本年金機構|年金決定通知書・支給額変更通知書
日本年金機構|年金振込通知書
日本年金機構|年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構|年金の繰上げ受給
日本年金機構|年金の繰下げ受給

この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。

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