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派遣社員とは?正社員との違いからメリットデメリットまでわかりやすく解説!

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

働く

派遣社員とは?
正社員との違いからメリット・デメリットまで!

派遣社員に「収入や雇用が安定しない」イメージをもつ人がいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか?この記事では派遣社員の種類や正社員との違い、メリットデメリットをご紹介します。

目次

派遣社員とは

派遣社員とは

まずは、派遣社員とはどのような人を指す言葉なのか確認していきましょう。

派遣社員とは雇用契約を結んだ人材派遣会社から派遣された企業で働く労働者

派遣社員とは、雇用関係を結んだ人材派遣会社から派遣された企業で働く労働者のことです。

人材派遣会社に登録する際、求職者は希望条件を派遣会社に伝えます。人材派遣会社は希望条件に沿った企業を探し、「企業・求職者・人材派遣の担当者」の三者で面談を行い、三者が労働条件に合意した後に就業が開始されます。

希望の仕事が見つけやすい求職者はもちろん、必要なときに必要な労働力を確保できる企業にもメリットのある制度です。

派遣社員と派遣先の関係

改めて、派遣社員と派遣先の関係を確認しておきましょう。

派遣社員の雇用主は派遣会社です。そのため、賃金の支払いや社会保険などの福利厚生は派遣会社の内容が適用されます。

ただし、実際に働く際の指示は派遣先企業が行います。つまり、派遣先企業は派遣社員に指揮命令を行い、派遣社員は派遣先企業に労働力を提供する関係ということになります。

派遣社員↔派遣会社は雇用契約  派遣社員→派遣会社(派遣登録)  派遣会社→派遣社員(賃金の支払い・福利厚生の提供)  派遣会社↔派遣先企業は派遣契約  派遣会社→派遣先企業(派遣社員を派遣)  派遣先企業→派遣会社(派遣料の支払い)  派遣社員→派遣先企業(就業)  派遣先企業→派遣社員(指揮命令)

一方、派遣会社と派遣先企業では派遣契約が締結され、派遣先企業は派遣会社に派遣料を支払います。そして、支払われた派遣料の一部が派遣社員に賃金として支払われる仕組みになっています。

正社員・契約社員・アルバイトとの違い

では、正社員・契約社員・アルバイトとはどのような違いがあるのでしょうか?

■派遣社員・正社員・契約社員・アルバイトの主な違い

派遣社員

正社員

契約社員

アルバイト

雇用主

派遣会社
(勤務する会社
ではない)

勤務する会社

勤務する会社

勤務する会社

雇用期間の
定め

あり(最大3年)
※無期雇用派遣
を除く

なし

あり
(更新可)

あり
(更新可)

給与形態

時給制

月給制

月給制
もしくは
時給制

時給制

福利厚生

派遣会社の内容
が適用

勤務する会社の
内容が適用

勤務する会社の
内容が適用

勤務する会社の
内容が適用

上記の他にも、正社員は福利厚生として、賞与・退職金・昇給・昇格などの制度がある事が多いです。一方で、人事異動の辞令があった場合は、転勤しなければならないケースもあります。

契約社員やアルバイトは基本的に有期雇用契約のため契約期間に定めがありますが、多くの場合、更新が可能です。

なお、2013年4月1日以降は無期転換ルールが適用されるようになったため、「同じ勤務先で通算5年を超える雇用契約がある」労働者が、無期雇用を希望する場合、期間の定めのない労働契約を結べるようになりました。

しかし、「無期雇用=正社員」という訳ではありません。あくまでの、期間の定めのない雇用契約に変わるという意味なので、勘違いしないように気をつけましょう。

※1:厚生労働省|有期契約労働者の無期転換サイト

データでわかる派遣社員

データでわかる派遣社員

「派遣社員の人はどんな職種が多い?」「派遣社員に多い年代は?」「平均時給はいくらくらい?」と、派遣社員の実態は意外と知られていないものです。

ここでは、日本人材派遣協会の「派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度」を基に、派遣社員の現実をご紹介します。

派遣社員の平均年齢は43.9歳|全体の9割が女性

まずは、派遣社員に多い年齢から確認してみましょう。

■派遣社員の年代別割合

30歳未満:10.5%  30歳以上40歳未満:21.9%  40歳以上50歳未満:33.7%  50歳以上60歳未満:30.2%  60歳以上:3.7%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

派遣社員の平均年齢は43.9歳

派遣社員として働く人の年代は30代〜50代で全体の85.8%を占めており、幅広い世代の人が派遣社員として働いていることがわかります。

では、性別ごとの割合はどうでしょうか?

■派遣社員の性別割合

男性:8.7%  女性:90.3%  その他:1%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

派遣社員で働いている人の約9割を女性が占めていることがわかります。派遣社員はワークライフバランスを重視した働き方がしやすいため、家庭との両立をする女性が多いことが原因かもしれません。

派遣社員の平均時給は1,300円〜1,600円

次に、派遣社員の収入に関して確認してみましょう。以下は、派遣社員歴3年未満で東京都・愛知県・大阪府で働く派遣社員の時給別の割合です。

■派遣社員歴3年未満の時給別割合(東京都・愛知県・大阪府)

1750円以上:34.2%  1500円以上1750円未満:45.9%  1250円以上1500円未満:18.4%  1000円以上1250円未満:1.5%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

もっとも多いのは「1,500円以上1,750円未満」で45.9%平均値は1,674円でした。大都市ということもあり、比較的高い時給で働いている人が多いことがわかります。

では、東京都・愛知県・大阪府以外の都市で時給はどの程度変わるのでしょうか?以下は、派遣社員歴3年未満で東京都・愛知県・大阪府以外で働く派遣社員の時給別の割合です。

■派遣社員歴3年未満の時給別割合(東京都・愛知県・大阪府以外)

1750円以上:3.7%  1500円以上1750円未満:16.2%  1250円以上1500円未満:45%  1000円以上1250円未満:34.8%  1000円未満:0.3%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

もっとも多いのは「1,250円以上1,500円未満」で45%平均値は1,335円でした。

東京都・愛知県・大阪府に比べると339円低く、1日8時間週5日働いた場合、1ヶ月で54,240円の差が生じます。年収にすると約65万円。派遣社員の平均時給は働く場所により大きな差が生じることがわかります。

派遣社員に多い職種は事務を中心としたオフィスワーク

次に、派遣社員として働く人に多い職種をみてみましょう。

■派遣社員として働く人の職種

OA事務:32.2%  庶務事務:9.3%  その他オフィス業務:9.1%  経理事務(財務処理):6.9%  営業事務(国内取引文書作成):6.4%  データ入力:5%  その他営業・販売・サービス業務:2.4%  倉庫内作業:2.4%  受付・案内:2.2%  PCオペレーター:1.9%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

OA・庶務・経理・営業事務など事務系のオフィスワークが、全体の68.9%と大半を占めていることがわかります。オフィスワーク未経験の人が経験を積む目的で派遣社員として働くケースもあるようです。

その他には慢性的に人手不足が続く倉庫内作業の派遣が多いです。

派遣社員が多い業界は情報・通信業や製造業

最後に、派遣社員が多い業界をみてみましょう。

■派遣社員が多い業界

情報通信業:17.9%  製造業:17.4%  卸売・小売業:9.2%  金融・保険業:8.8%  建設業:6.4%  サービス業:6.4%  不動産業:3.7%  電気・ガス・熱供給・水道業	:3.4%  運輸業	:3.4%  教育・学習支援:3.4%  官公庁	:3.3%  医療・福祉:3%  飲食店、宿泊業:0.5%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

情報通信業は主に「テレビ局・携帯電話会社・ソフトウェア開発会社・コンテンツ制作会社・出版社」などの情報の伝達・処理・提供を行う企業のこと。

情報通信業の派遣社員には事務職の他、技術職であるシステム開発やネットワークの運用を行うエンジニアが多いようです。

製造職も同様に事務職やエンジニア、さらに工場での製造スタッフが派遣社員に多いです。

派遣社員の種類

派遣社員の種類

派遣社員と聞くと、派遣会社に登録し、一定期間派遣された企業で働く「一般派遣」を思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし、派遣の種類は1つではありません。ここでは、派遣社員の種類をご紹介します。

一般派遣(登録型派遣)

1つ目は一般派遣です。

一般派遣は、派遣として働く期間のみ派遣会社と雇用契約を結ぶ派遣です。派遣会社に登録した時点では雇用契約は発生しませんが、派遣先企業が決まり、実際に働いている期間は派遣会社と雇用契約が発生します。

そのため、派遣期間が終了すると雇用契約も終了します。その後、新しい派遣先が決まった場合はまた新たに雇用契約を結ばなければなりません。

登録型派遣や有期雇用派遣と呼ばれることもあります。

無期雇用派遣

2つ目は、無期雇用派遣です。

無期雇用派遣とは、派遣会社と労働者の間で期間の定めのない雇用契約を結ぶ派遣です。働けるかどうか未確定な一般的派遣と異なり、働くことが保証されている雇用契約になります。

無期雇用派遣は派遣会社と常に雇用関係があるため、待機期間も賃金が発生する  一方、有期雇用派遣は派遣時のみ雇用関係が発生するため、待機期間は賃金は発生しない
無期雇用派遣の働き方のポイント
  • 雇用期間は無期限
  • 派遣先企業との契約が終了しても、派遣会社との雇用契約は継続する
  • 万一、働けない期間が生じても給与は発生する
  • 就業先は基本的には派遣先企業だが、派遣会社での業務が発生する可能性もある
  • 福利厚生などは派遣会社の内容が適用される

無期雇用派遣は、派遣という立場のまま長期間同じ企業で働けることがメリットです。実際に日本人材派遣協会の「派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度」でも、無期雇用派遣の69.5%の人が同じ企業で3年以上働いていると答えています。

■現在の派遣先での通算就業期間(無期雇用派遣)

1年未満:18.7%  1年以上2年未満:8%  2年以上3年未満:3.7%  3年以上5年未満:37.1%  5年以上7年未満:17%  7年以上:15.5%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

派遣として数年働き、職場の環境が良いと無期雇用派遣に転換する人が多いようです。無期雇用派遣に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

無期雇用派遣とは?メリットデメリットから正社員との違いまで徹底解説

紹介予定派遣

3つ目は、紹介予定派遣です。

紹介予定派遣とは、最長6ヶ月派遣として働いた後、労働者と派遣先企業の合意があった場合に、派遣先企業の直接雇用に切り替わる働き方です。

派遣社員にとっては職場の環境や仕事内容を把握してから直接雇用になるか判断でき、企業にとっては従業員の能力や適正を実際に把握してから直接雇用するかどうか判断ができる、双方にメリットのある働き方です。

注意したいのは「直接雇用=正社員」とは限らないこと。直接雇用とは、派遣会社との雇用契約ではなく派遣先企業との雇用契約を結ぶことを意味するため、必ずしも正社員での直接雇用になれるとは限りません

紹介予定派遣の場合は、派遣期間終了時に必ず派遣先企業と面談があるため、どんな雇用形態になるかをしっかり確認しておくことが重要です。

派遣社員で働くメリット

派遣社員で働くメリット

では、派遣社員で働くとどんなメリットが生じるのでしょうか?

未経験の職種や人気の企業で働ける可能性がある

1つ目のメリットは、未経験の職種や人気の企業で働ける可能性があることです。

中途採用の正社員の場合は、即戦力を求められる傾向が強いです。そのため、未経験の職種に応募する場合は採用へのハードルが高くなります。

その点、派遣社員は正社員に比べ、未経験でも派遣してもらえる可能性が高いです。オフィスワークの多い派遣なら「今までは接客業の経験しかないけれど、今後は事務職で働きたい」という人の希望も叶えられるかもしれません。

また、正社員ではハードルが高いとされる人気の企業で働ける可能性もあります。大手の人気企業の正社員になるためには、学歴はもちろん、面接も数段階受ける必要があります。そもそも、企業が中途採用募集をしていないと働けるチャンスもありません。

しかし、派遣社員の場合はそのハードルが下がります。派遣先企業が求めているスキルがあり条件が合えば、憧れの人気企業で働ける可能性もあるのです。

短期を含めれば、派遣社員を雇う企業はたくさんあります。事務職はもちろん、エンジニア・製造職・介護職・看護職など、さまざまな職種を経験できることもメリットです。

ワークライフバランスのとれた働き方ができる

2つ目のメリットは、ワークバランスのとれた働き方ができることです。

派遣社員は、派遣会社に自分の希望する働き方を伝えられます。勤務地や勤務時間などの希望を伝えられるため、ワークライフバランスのとれた働き方ができます。

正社員だと難しい「扶養控除の範囲内で働き、子育てと両立」や「残業のない企業で働き、家庭と両立」も可能。要望は企業に直接ではなく、派遣会社の担当者に伝えられるため、「伝えにくい」と感じる人も少ないようです。

面談時に自分で応募書類を用意する必要がない

3つ目のメリットは、面談時に自分で応募書類を用意する必要がないことです。

求職者は、派遣会社に登録する際に履歴書や職務経歴書を提出しますが、企業と面談する際には、派遣会社が書類を用意してくれます。そのため、面談に行く際に求職者が用意する必要はありません。

当然ですが、派遣以外の求人に応募する場合は、その都度自分で応募書類を準備する必要があります。履歴書や職務経歴書の作成に頭を悩ませる人は多いはず。これらの書類を自分で用紙しなくていいことはメリットの1つでしょう。

派遣会社のさまざまなサポートを受けられる

4つ目のメリットは、派遣会社のさまざまなサポートを受けられることです。

派遣会社は企業へ人材を派遣することで利益をあげています。自社でできるだけ多くの派遣社員を派遣するために、さまざまなサポートを提供しています。

派遣会社が行う主なサポート
  • 派遣社員の希望に合った仕事の紹介
  • 福利厚生の提供
  • 就業中の定期的なフォロー
  • スキルアップ研修の提供 など

派遣会社は、派遣社員の希望に合った仕事の紹介はもちろん、条件を満たせば福利厚生の提供もしてくれます。もちろん、有給休暇の取得も可能。また、就業中は定期的にフォローしてくれる派遣会社も多く、勤務する企業への悩みなどの相談にのってくれます。

スキルアップ研修も充実しており、Word・Excelなどの基本的なPCスキルの講習や、ビジネスマナー講習を提供している派遣会社も多いです。

派遣会社で働くデメリット

派遣会社で働くデメリット

逆に、デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?

一般派遣社員は同じ派遣先で長期間働けない

1つ目のデメリットは、一般派遣社員は同じ派遣先では長期間働けないことです。これには、いわゆる「派遣法3年ルール」があるためです。

派遣法3年ルールとは

派遣法3年ルールとは、「同一事業所で同一の派遣労働者が勤務できる上限は原則3年」という制限のことです。

従前は、「同じ業務で3年を超える期間の勤務はできない」ことが原則とされ、専門26業種に限って期間制限がないルールでした。しかし、2015年の派遣法改正により、すべての業種に適用されるようになりました。

つまり、同じ有期派遣社員については、「課」などの派遣先の事業所における同一の組織単位で、3年を超えて受け入れることはできません。これを「個人単位の期間制限」といいます。

総務課で3年勤務→同じ課での勤務はできないが別の課での勤務はOK

組織とは
  • 業務としての類似性や関連性がある
  • 組織の長が業務配分や労務管理上の指揮監督権限を有する

この場合の組織とは「課」や「グループ」などを意味するため、同じ事業所内であっても別の課である場合などはこれに含まれないとされています。

また、派遣法3年ルールには「個人単位の期間制限」の他に「事業所単位の期間制限」があります。

事業所単位の期間制限とは、「派遣企業先は同一の事業所において、3年を超えて派遣を受け入れられない」という制限のことです。

この場合の事業所とは、雇用保険の適用事業所に関する定義と同様になります。

事業所とは
  • 工場・事務所・店舗のように場所的に独立している
  • 経営単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立している
  • 施設として一定期間継続する

ただし、派遣先企業が派遣社員の受け入れを3年を超えて希望する場合、事業所の過半数労働組合等の意見聴取手続きを行えば、3年を限度とした派遣期間の延長が可能になります。

遣先企業が派遣社員の受け入れを3年を超えて希望する場合、事業所の過半数労働組合等の意見聴取手続きを行えば、3年を限度とした派遣期間の延長が可能

これにより、派遣会社の同じ有期派遣社員が同一の事業所内の別の課や、別の有期派遣社員が同一の事業所内の同じ課で、3年を超えて働くことが可能になります。

期間の起算日は、期間制限の対象となる派遣社員を最初に受け入れた日です。そのため、複数の派遣社員を受け入れる企業の場合、後から就業を始めた派遣社員は3年より短い期間で事業所単位の制限がおとずれることになります。

なお派遣先企業が期間を再延長する場合には、再度、過半数労働組合等の意見聴取手続きが必要になります。

このような制限があることを派遣社員のデメリットと考える人もいるでしょう。

※3:厚生労働省|派遣先の皆様へ
※4:厚生労働省|政令で定める26業務

収入が不安定になる可能性がある

2つ目のデメリットは、収入が不安定になる可能性があることです。

一般派遣社員は、雇用契約が終わるごとに更新もしくは契約終了になるかが決まります。契約期間は3〜6ヶ月のことが多く、更新できなかった場合は収入が途絶えてしまうことになります。

契約終了後もすぐに新たな派遣先が見つかるという確約はないため、将来に不安を感じる人も多いでしょう。

また、派遣社員の給与形態は時給制が一般的なため、祝祭日の多い月や夏休み・年末年始などの大型連休がある月は、通常の月より収入が少なくなってしまいます

責任のある仕事はさせてもらえないケースもある

3つ目のデメリットは、責任のある仕事をさせてもらえないケースもあることです。

派遣社員の仕事内容は、派遣会社と派遣先企業が締結する派遣契約により定められています。派遣社員は原則として、定められた内容以外の業務を行う必要はありません

これは一見メリットにも感じますが、逆に考えると、業務内容が限定的ということ。つまり、責任のある仕事はさせてもらえないケースも多いです。

実際に、日本人材派遣協会の「派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度」」内の「現在担当している業務の特徴」の上位3位には、社員の補助的な仕事や単調な仕事がランクインしています。

■現在担当している業務の特徴

社員の補助的な仕事である:57.0%  繰り返しの多い単調な仕事である:41.3%  社員の協力や指示が必要な仕事である:40.9%

※2:日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度を基に作成

責任のある仕事をしたいと考える人にとっては「派遣社員の仕事は物足りない」と感じるかもしれません。

派遣社員に関するQ&A

派遣社員に関するQ&A

最後に、派遣社員に関するよくある質問をご紹介します。

Q:派遣社員にボーナスはある?

A:派遣社員にはボーナスは支給されないことが一般的です。ただし、無期雇用派遣社員は派遣会社からボーナスが支給されるケースもあります。

Q:通勤交通費は支給される?

A:派遣会社や案件により異なります

派遣社員の交通費に関しては主に以下の4つのケースにわかれます。

派遣社員の交通費
  1. 通勤手当として全額支給
  2. 通勤手当として一定額まで支給
  3. 交通費は時給に含まれる
  4. 交通費は支給されない

一般派遣社員の場合は、3つ目の「交通費は時給に含まれる」が多いですが、近年は一定額まで通勤交通費を支給する派遣会社も増えてきました。

自宅から勤務先まで距離のある場合は、就業を決定する前に交通費がどうなっているのかしっかり確認しましょう。場合によっては、交渉することで交通費を支給してもらえるケースもあるようです。

Q:履歴書で派遣社員の職歴を書く場合は?

A:一般派遣と無期雇用派遣で書き方は異なります。

一般派遣の場合は以下のように記入します。

〇〇年◯月 △△派遣(派遣会社名)に登録
 〇〇年◯月 株式会社△△(派遣先企業名)△△部へ派遣社員として就業
 〇〇年◯月 派遣期間満了につき退職

無期雇用派遣の場合は以下のように記入します。

〇〇月〇日 △△派遣株式会社へ入社
 〇〇月〇日 株式会社△△へ無期雇用派遣社員として就業
〇〇月〇日 一身上の都合により退職

 一般派遣社員と無期雇用派遣社員で書き方が異なるため、注意してください。

Q:派遣社員は何歳まで続けられる?

A:原則として、派遣社員に年齢制限はありません

2007年10月以降は、募集・採用における年齢制限を禁止することが厚生労働省により定められたため、派遣会社からの仕事紹介も年齢による制限はできなくなりました。

しかし、1つの案件に複数の希望者がいる場合は、派遣先企業が受け入れる人材を決めるため、企業の判断に委ねられる一面もあることは現実です。

日本人材派遣協会の「派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度」では、派遣社員の平均年齢は43.9歳50歳以上60歳未満の派遣社員は全体の30.2%いますが、60歳以上の派遣社員は全体の3.7%ほどという結果がでています。

まとめ・メリットデメリットの両方を把握してから派遣社員としての就業を始めよう

派遣社員とは、雇用関係を結んだ人材派遣会社から派遣された企業で働く労働者のこと。希望の仕事が見つけやすい求職者はもちろん、必要なときに必要な労働力を確保できる企業にもメリットのある制度です。

正社員では難しい未経験の職種や人気の企業で働ける可能性もあります。

さらに、ワークバランスの良い働き方ができたり、派遣会社のさまざまなサポートを受けられたりすることもメリットですが、同じ派遣先では長期間働けなかったり収入が不安定になりやすかったりするデメリットもあります。

派遣社員としての働き方が気になる人は、メリット・デメリットの両方を把握してから就業を始めることが大切です。

人材派遣とは?メリットや給料、残業代など気になるポイントを解説!
人材紹介とは?メリットや紹介方法・その他の人材サービスとの違いを詳しく解説!

参考資料

厚生労働省|有期契約労働者の無期転換サイト
日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2023年度
厚生労働省|派遣先の皆様へ
厚生労働省|政令で定める26業務

この記事の監修者

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。

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