60代の施工管理技士が知っておきたい転職事情!シニアになっても稼げるの?
施工管理技士として働いてきたが、老後の生活を考えて転職を考えている人は少なくありません。 この記事ではシニアでも施工管理技士として働いて稼いでいけるのかを解説致します。
- 目次
施工管理技士の職場とは
まずは施工管理技士が活躍している職場について理解しておきましょう。
施工管理技士は建築や建設、土木工事や電気工事などの現場において欠かせない存在です。
国家資格を持つ施工管理技士を雇用する建築会社は多いので、現場で施工管理の経験を積んで資格を取った人なら様々な職場を選ぶことができます。
典型的な職場としては建設会社や工務店、ハウスメーカーやデベロッパーなどが挙げられますが、他にもリフォーム会社や内装工事会社も候補にすることが可能です。
建築施工管理技士は建設会社を中心として建築に関わる様々な職場を候補にできます。大手ゼネコンでは特に建築施工管理技士の資格保有者が重宝されています。
土木施工管理技士なら土木工事会社が主に活躍できる職場です。
また、他の施工管理技士の資格を持っている人も総合的な建設や建築を担う会社で必要とされていますが、電気工事施工管理技士や管工事施工管理技士などは下請け会社で働いているケースも少なくありません。
他にも電気通信工事施工管理技士は情報通信系の会社やその下請け会社、造園施工管理技士は外構工事業者や造園会社などで施工管理のプロとして活躍しています。
施工管理技士の平均年収事情
施工管理技士が転職を考える上では平均年収がどのくらいなのかが気になることが多いでしょう。
老後に働く上でも稼げるのかが悩みになりがちなので、施工管理技士の平均年収事情を概説します。
施工管理技士は保有している資格によって平均年収に違いが生じることが知られています。
「建築」「土木」「電気・電気設備」「管・空調・給排水・機械」という四つの分類にするとどのようになるかを見ておきましょう。
保有資格や担当で年収は変わる
建築では628万円、土木では612万円、電気・電気設備では643万円、管・空調・給排水・機械では657万円という調査結果があります。
このような違いが生じている理由は勤め先の業種による施工管理士の平均年収の違いを見てみると理解できます。
プラント・エネルギー関連では725万円、ゼネコンでは664万円、ディベロパーで660万円です。
また、PM・CM系のコンサルティング会社では647万円、設備・電気系のサブコン関連では638万円、ハウスメーカーや工務店では635万円となっています。
建設コンサルタントでは625万円、建築や土木の工事会社では575万円といったように職場によって施工管理職で働いている人の平均年収にもかなりの差があることがわかります。
特に建築や土木の工事会社で勤めている施工管理士は年収が低めですが、人数も比較的多いので建築や土木の施工管理士の平均年収を引き下げてしまっているのが実態です。
施工管理技士の年代別平均年収は?
一方、施工管理技士の平均年収を年齢別に見ると20代では473万円、30代では584万円、40代では650万円、50代では685万円、60代では653万円となっています。
この結果からシニアになっても施工管理士として働いて稼いでいる人が多いことがわかります。
40代と同等の平均年収があることを考えるとシニアになってからも施工管理技士には活躍して高い年収を保てる可能性が十分にあると期待できます。
施工管理技士はシニアでも転職できるのか
施工管理技士としてシニアになってからも働いていけるのか、定年退職をしてから転職して魅力的な仕事を続けられるのかは大きな悩みになります。
結論から言えば、施工管理技士という専門職として現場で働けるかどうかは資格の有無によって大きく左右されます。
自分が専門としてきた分野について1級または2級の施工管理技士としての資格を取得していればシニアになっても高い需要があります。
新たに建築や土木の工事会社やディベロパーなどで働く道を切り開くことも決して難しくはありません。
中堅と大手は資格が優先される
特に中堅~大手の建設会社では個々の工事について評点を重視している傾向があります。
建設会社が公共事業に入札するときには経営事項審査が行われ、様々な項目から評価されてどの建設会社に任せるかが決定されます。
その際に1級の施工管理技士がいれば5点、2級の施工管理技士がいれば2点加算されるので有利になれるのです。
40代よりも給与を抑えて雇いやすい為、積極採用も
定年退職後の人材なら40代の人材よりも給与を抑えて雇いやすいという影響もあり、積極的な雇用や求人をしている会社も多いのが現状です。
そのため、資格を持っている施工管理技士なら転職先の候補がたくさんあって、希望する待遇に応じて選ぶことすらできるでしょう。
ただ、施工管理職として働いていただけで資格を取っていなかった場合には状況が異なります。
シニアで資格がないと求人は多くない
資格がないなら若手を採用して育てた方が良いと考える求人が多いからです。
求人がないわけではないので転職自体は可能でしょう。
ただ、待遇は40代の施工管理技士と同じような水準にはならない場合が多いということには留意する必要があります。
老後を見据えた施工管理技士のキャリアの考え方
まだ定年に達していなくてこれから老後のことを考えたキャリアプランを立てたいという人もいるでしょう。
老後を見据えて施工管理技士が働いていくにはどのような計画を立てたら良いのでしょうか。
資格取得が一番のアピール
まず、施工管理技士の資格を取得しておくのが大切です。
公共事業も担っている大手の建設会社や土木会社では特に大きな意味を持つので、資格試験の受験要件を満たしたら積極的に受験して資格を取っておきましょう。
中小企業を選択肢に入れよう
また、中程度の規模の中小企業を選んで転職しておくのも良い方法でしょう。
地元企業として地域から知られているくらいの規模の企業では定年退職後の再雇用を行っていることがよくあります。
60代の施工管理技士の年収が比較的高い水準にあるのは、再雇用でも高い待遇を得ている人が多いからです。
新しく別の職場で働こうとすると、その現場のルールや慣習を学ばなければならないのが大変になりがち。
採用してもらうのも難しい場合が多いので、十分な実績がないと転職先で困ってしまうリスクがあるでしょう。
再雇用を積極的に行っている中小企業を探して50代のうちに転職しておくとブランクを作ることなく安定して働き続けられるのもメリットです。
シニアになる前に対策を
老後を見据えて転職をするなら、資格の取得と並行して40代までに大きな成果を出してアピールできるようにしておくのが重要です。
その上で40代の後半から50代にかけて適切な区切りのポイントで転職をして老後まで働ける職場で働くというキャリアプランが合理的です。
特に40代まで大手ゼネコンなどで働いていると、中小企業ではその経験を高く評価してくれます。転職後もやりがいを持って働ける可能性が高いので魅力が大きいキャリアパスです。
老後も施工管理技士として活躍しよう
施工管理技士は定年退職後も現場からのニーズが高いので専門職として働ける可能性が十分にあります。
シニアになってからも施工管理技士として活躍していきたいと思っているなら、資格を取って人材価値を高めておきましょう。
老後を見据えて再雇用を積極的に行っている求人を選び、早めに転職しておくのも合理的な方法です。
定年退職をしてから転職するよりも現場に慣れやすいメリットもあるので、早めの転職も検討してみましょう。
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この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。