葬儀費用の平均金額は減少傾向!?費用を抑えるコツやQ&Aもご紹介
「葬儀にかかる費用はどのくらい?」と疑問をもちつつ、喪主を経験した人に葬儀費用を聞ける機会は少ないでしょう。この記事では、葬儀にかかる平均費用や費用を抑えるコツをご紹介しています。
- 目次
- 葬儀費用総額の平均は110.7万円|減少傾向にある
- 葬儀にかかる費用の平均額は75.7万円
- 飲食や返礼品にかかる費用の平均額は42.7万円
- お布施費用の平均額は22.4万円
- 葬儀形式によって費用は大きく異なる
- 一般葬の平均額は約161万円
- 家族葬の平均額は約105万円
- 一日葬の平均額は約87万円
- 直葬(火葬)式の平均額は約42万円
- 葬儀プランに含まれずに追加で発生する費用とは?
- 葬儀費用を抑えるコツ5箇条
- 葬儀の規模やグレードを検討する
- 複数社から見積もりをとる
- 補助制度や扶助制度を利用する
- 葬儀費用の支払いに香典を利用する
- 寺院(僧侶)手配サービスを利用する
- 自分の葬儀費用を確実に残したい場合は終身死亡保険の検討も
- よくある疑問を解決!葬儀費用Q&A
- 儀費費用は誰が支払う?
- お布施にはいくら払うのが一般的?
- 葬儀費用を亡くなった人の預貯金から支払える?
- 葬儀費用はいつまでに支払えばいい?
- 現金以外の支払方法もある?
- まとめ・終活の第一歩として家族で葬儀費用の相談を
葬儀費用総額の平均は110.7万円|減少傾向にある
株式会社鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」によると、2024年の葬儀費用総額の平均は118.5万円です。(※1)
想像していたより少ないと感じる人も多いのではないでしょうか?実際に、2020年は184.3万円のため、65.8万円減少していることがわかります。
※1:株式会社鎌倉新書|第6回お葬式に関する全国調査(2024年)を基に作成
考えられる原因は、新型コロナウイルスの影響で家族葬などの小規模な葬儀が増えたためです。今後はどのように変化していくかはわかりませんが、減少傾向が続くことも予想されます。
なお、葬儀費用総額に含まれているものは、葬儀にかかる費用・飲食・返礼品などで、お布施は含まれていません。
葬儀にかかる費用の平均額は75.7万円
費用の内訳も確認してみましょう。2024年の葬儀そのものにかかる費用の平均額は、75.7万円です。こちらも2020年の119.2万円から43.5万円減少していることがわかります。(※1)
葬儀にかかる費用には、主に以下のものが含まれます。
これらの費用は、葬儀プランに含まれることが一般的ですが、火葬場利用料は葬儀会社により異なります。火葬料がプランに含まれていない場合は、喪主が火葬場に直接支払いを行います。
飲食や返礼品にかかる費用の平均額は42.7万円
葬儀では、参列者に食事をふるまったりお礼の品を渡したりすることが一般的です。2024年の飲食や返礼品にかかる費用の平均額は、42.7万円。
こちらも2020年の65.2万円と比較すると22.5万円減少しており、参列者の少ない葬儀が増えていることがわかります。ちなみに、内訳は、飲食費に20.7万円、返礼品に22.0万円でした。(※1)
飲食や返礼品にかかる費用には、主に以下のものが含まれます。
また、遠方から参列する人の交通費や宿泊費を負担する場合は、この項目に含まれます。
飲食費や返礼品費は参列者の人数によって費用が大きく変動します。そのため、当初の見積もりと実際の請求額に差が生じやすいことが特徴です。
お布施費用の平均額は22.4万円
葬儀では、お世話になるお寺や教会へお礼の意味を込めて「お布施」を渡すことが一般的です。2022年のお布施費用の平均額は、22.4万円。
2020年の23.7万円との差額はわずか1.3万円と、お布施代は新型コロナウイルスの影響はほぼないことがわかります。(※1)なお、お布施代は喪主から直接お寺などにお渡しするため、葬儀プランには含まれません。
※1:株式会社鎌倉新書|第5回お葬式に関する全国調査(2022年)
葬儀形式によって費用は大きく異なる
葬儀には主に「一般葬・家族葬・1日葬・直葬(火葬)」の4種類があり、それぞれの形式で費用も異なります。(※1)
※1:株式会社鎌倉新書|第6回お葬式に関する全国調査(2024年)を基に作成
上記は、葬儀を行った形式の割合です。上記の結果からも、2024年は大人数で集まる葬儀を避け、こぢんまりとした葬儀を行うことが主流になっていることがわかります。
では、葬儀形式によりどのくらい費用に差が生じるのでしょうか?
一般葬の平均額は約161万円
一般葬とは、家族や親戚はもちろん、友人・知人・仕事関係の人・近所の人など、生前に故人とつきあいのあった人に参列してもらう葬儀のこと。
通夜・葬儀・告別式・火葬と一連の儀式を執り行います。参列者の人数は30名〜300名ほどです。
一般葬の平均額は、1,613,000円。(※1)参列者の人数が予想しづらいため、請求額が見積もりより高額になりやすい傾向にあります。
- 華やかな式にしたい
- お世話になった人大勢に参列してもらいたい
- 故人らしさを演出できる式にしたい
上記のような式を希望する場合は、一般葬を検討してみましょう。
家族葬の平均額は約105万円
家族葬とは、参列者を家族や親戚、親しい友人に限定した葬儀のこと。規模は小さいながらも、通夜・葬儀・告別式・火葬と一連の儀式を執り行います。参列者の人数は10〜30名ほどです。
家族葬の平均額は、1,057,000円。(※1)一般葬より参列者の人数が把握しやすく、一通りの儀式を行いつつ費用が抑えられる傾向にあります。
- 通夜・告別式はしっかり行いたいが、費用は抑えたい
- 故人をよく知る人に参列してもらい、アットホームな式にしたい
上記のような式を希望する場合は、家族葬を検討してみましょう。
一日葬の平均額は約87万円
一日葬とは、通夜を行わず、告別式・火葬を1日で行う葬儀のこと。参列者の人数は10〜30名程度が一般的です。
一日葬の平均額は、875,000円。(※1)通夜を行わない分参列者の時間的負担は少なくなりますが、告別式や火葬は執り行うため、家族葬との費用の差はそれほど大きくありません。
- お通夜にはこだわらない
- 家族や親戚が遠方に多いため、時間的な負担を減らしたい
- 告別式はしっかりと行いたい
上記のような式を希望する場合は、一日葬を検討してみましょう。
直葬(火葬)式の平均額は約42万円
直葬とは、通夜や告別式を行わずに火葬のみを行う葬儀のこと。平均額は、428,000円です。(※1)
- 葬儀の形にはこだわらない
- 家族だけで見送りたい
- できるだけ費用を抑えたい
上記のような式を希望する場合は、直葬を検討してみましょう。
※1:株式会社鎌倉新書|第6回お葬式に関する全国調査(2024年)
葬儀プランに含まれずに追加で発生する費用とは?
葬儀を行う際には、基本的な葬儀プランに必要なオプションを追加することが一般的です。後から請求額をみて慌てないように、基本プランに含まれないオプションの項目を確認しておきましょう。
ただし、葬儀社により基本プランに含まれる内容は異なります。葬儀内容を検討する際には、基本プランに含まれる内容を確認し、必要な項目のみ追加することが重要です。
葬儀費用を抑えるコツ5箇条
葬儀にかかる費用の平均額は100万円以上。年々減少傾向にあるとはいえ、高額であることに変わりありません。
見送られる人も見送る人も、できるだけ費用を抑えて葬儀を行いないと思う人もいるでしょう。ここでは、葬儀費用を抑えるコツをご紹介します。
ただし、故人の意志を尊重することは忘れないよう心がけてください。
葬儀の規模やグレードを検討する
1つ目のコツは、葬儀の規模やグレードを検討することです。基本の葬儀プランが安くても、気がついたら予算以上になっていた、というのはよくあること。
その場合は、葬儀の形式や葬儀用品のグレードの見直しを行ってみましょう。祭壇や棺、生花や飲食費などを見直すだけで、費用は抑えられます。
もちろん、故人の意志を尊重することや参列者に失礼のない範囲で検討することを忘れないようにしましょう。
複数社から見積もりをとる
2つ目のコツは、複数社から見積もりをとることです。日用品の買い物と違い、葬儀費用の相場を把握している人は少ないでしょう。そのため、1社だけの見積もりの場合、見積もり金額が適正かどうか判断が難しいでしょう。
しかし、複数社から見積もりをとることで適正価格がどの程度かが把握でき、希望の葬儀に必要な項目がみえてくるはずです。
可能であれば、終活の一環として生前に自分の葬儀の見積もりをとっておくこともおすすめ。実際には人が亡くなってから葬儀までのスケジュールはタイトなため、ゆっくり検討する時間がとれないことが多く、疑問点があっても流してしまいがちです。
しかし、生前に葬儀プランを立てておけば、万一のとき、希望の葬儀が予算内で行えるでしょう。
補助制度や扶助制度を利用する
3つ目のコツは、補助制度や扶助制度を利用することです。葬儀を行うと、加入している健康保険から補助が受けられます。
- 社会保険や共済保険加入者→埋葬料として5万円
- 国民健康保険加入者→葬祭費として1〜7万円程度(自治体により異なる)
また、生活保護受給者は葬儀にかかる費用を補助してくれる、葬祭扶助制度が利用可能です。
補助される金額は自治体により異なりますが、目安は最大で20万円程度。葬祭扶助制度は、最低限の葬儀を行うための費用を補助する制度のため、基本的に直葬での葬儀に限定されます。
葬儀費用の支払いに香典を利用する
4つ目のコツは、葬儀費用の支払いに香典を利用することです。香典の金額は、故人と参列者との関係や参列者の人数、地域の風習などにより異なりますが、目安は葬儀費用の1/3〜1/2程度と予想されます。
ちなみに、株式会社鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、受け取った香典の合計金額の平均は2022年は47.2万円。2020年は71.1万円でした。(※1)
葬儀費用総額の平均が2022年110.7万円、2020年184.3万円であることを参考にすると、香典金額は葬儀費用の1/3〜1/2であることがおわかりいただけるでしょう。
葬儀費用の支払に香典を利用することで、喪主の経済的負担が軽減されます。香典とは、お悔やみの気持ちを込めて、線香やお花の代わりに御霊前に供えるお金のこと。故人の家族を支える意味合いもあるため、香典で葬儀費用を支払っても問題ありません。
※1:株式会社鎌倉新書|第5回お葬式に関する全国調査(2022年)
寺院(僧侶)手配サービスを利用する
5つ目のコツは、寺院(僧侶)手配サービスを利用することです。寺院手配サービスとは、お世話になっている寺がない人に、読経や戒名授与を行ってくれる僧侶を手配してくれるサービスのこと。以下のように、比較的安い金額で葬儀が行えます。
寺院手配サービス料金の目安
- 一般葬・家族葬:15〜18万円
- 1日葬:7.5〜9万円
- 直葬:4.5〜6万円
寺院手配サービスを利用した場合は、来ていただいた寺の檀家になる必要はありません。特に、菩提寺がない人にはありがたいサービスでしょう。
自分の葬儀費用を確実に残したい場合は終身死亡保険の検討も
この記事を読んでいる人の中には、自分の葬儀費用が心配な人も家族の葬儀費用が心配な人もいるでしょう。自分の葬儀費用が心配な人は、自分が亡くなってから家族に経済的負担をかけたくない、と考える人が多いのではないでしょうか?
そんな人には、終身死亡保険で葬儀費用を準備しておくことがおすすめです。終身死亡保険とは、被保険者が死亡もしくは高度障害状態になった場合に、保険金が受け取れる生命保険のこと。
終身死亡保険は保障が一生涯のため、確実に保険金が受け取れます。また、受取人をあらかじめ指定するため、「渡したい人に確実にお金を残せる」ことが特徴です。
以下は、ある保険会社で保険金200万円の終身死亡保険に加入した場合の月額保険料です。
終身死亡保険は保険料が高いと思われがちですが、こうしてみると無理のない範囲で自分の葬儀費用を残せると感じる人も多いのではないでしょうか?
よくある疑問を解決!葬儀費用Q&A
最後に、葬儀費用に関するよくある質問をQ&A形式で確認していきましょう。
儀費費用は誰が支払う?
葬儀費用は、喪主が支払うのが一般的です。ただし、誰が喪主になるかは法律などで定められていません。一般的には、配偶者や子どもが喪主になるケースが多いですが、家庭によって事情はさまざまです。
自分や親の終活について話す機会を作り、誰が喪主になるのかを相談しておくと、いざというときに慌てなくて済むでしょう。
お布施にはいくら払うのが一般的?
お布施はお寺や教会などへの感謝の気持ちを表すもののため、金額は決まっていません。そうはいっても目安は知っておきたいところ。過去に同じ寺で葬儀を行ったことがある場合は、当時喪主をしていた人に聞いてみるといいかもしれません。
また、菩提寺との交流が薄くなっている昨今では、直接、寺に尋ねてみても問題ないとされています。
葬儀費用を亡くなった人の預貯金から支払える?
葬儀費用は亡くなった人の預貯金から支払って問題ありません。ただし、亡くなったことを金融機関に知らせた段階で、故人の口座は凍結されます。
口座が凍結された場合でも、預貯金の仮払制度により、以下の2つのうち低い方の金額までは引き出し可能です。
- 死亡時の預貯金残高×1/3×お金を引き出す相続人の法定相続分
- 150万円
例えば、死亡時の預貯金が1,200万円ある夫の凍結口座から妻がお金を引き出す場合「1,200万円×1/3×1/2」=200万円。「150万円<200万円」のため、妻が引き出せる金額は150万円になります。
葬儀費用はいつまでに支払えばいい?
葬儀費用の支払い期限は葬儀会社により異なりますが、葬儀が終了してから1週間以内のことが多いです。即日支払いや前金を支払う葬儀会社もあるため、見積もり時に支払い期限をしっかり確認しておきましょう。
現金以外の支払方法もある?
支払い方法も葬儀会社により異なります。現金以外に、クレジットカードや葬儀ローン払いが可能な会社もあるため、こちらも見積もり時に確認を忘れないようにしましょう。
まとめ・終活の第一歩として家族で葬儀費用の相談を
新型コロナウイルスが流行する前と後で葬儀費用の平均額が大きく異なった結果からわかる通り、形式や参列者の人数によって葬儀費用は変わります。
葬儀は故人が主役であるにも関わらず、主役本人と相談ができないため、喪主が故人の意志を尊重した葬儀を行わなければなりません。
50代を過ぎたあたりから終活を意識し始める人は大勢います。葬儀は終活の中でも大きな項目のため、見送る人も見送られる人も費用が心配なのは当然のこと。この機会に終活の第一歩として、ご家族で自分や家族の葬儀プランを相談してみてはいかがでしょうか?
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参考資料
株式会社鎌倉新書|第6回お葬式に関する全国調査(2024年)
株式会社鎌倉新書|第5回お葬式に関する全国調査(2022年)
この記事の監修者
岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。