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退職証明書とは?いつもらえる?必要な場面や記載事項など徹底解説!

新名範久 【税理士・社会保険労務士】

働く

退職証明書が必要なケース!
いつもらえる?もらえない場合はどうすればいい?

退職証明書は従業員が退職したことを証明する書類。退職後に必要になる年金や保険の手続きに使える場合があります。この記事では退職証明書のテンプレートや記載事項、必要な場面を解説します。

目次

退職証明書とは?

退職証明書とは?

まずは、退職証明書がどのような書類なのかを確認しておきましょう。

退職証明書とは従業員が退職したことを証明する書類

退職証明書とは、従業員が退職したことを証明する書類のことです。すべての退職者に発行する企業は少なく、退職者から希望があった場合のみ企業から発行されるケースがほとんどです。

では、退職証明書にはどのような内容が記載されているのでしょうか?

退職証明書の記載事項は主に5項目

退職証明書の記載事項は主に以下の5項目です。

退職証明書の記載事項
  • タイトル(退職証明書)
  • 証明年月日 
  • 退職した従業員の氏名
  • 証明内容
  • 事業所名・事業所住所・事業主名

証明年月日には退職証明書が発行された日付が記載されています。証明内容には「貴殿は当社を退職したことを証明します」など、退職した事実が記載されているので、確認してみましょう。

記載する項目は退職者が指定できる

退職証明書には以下の項目が記載されます。

退職証明書に記載される項目
  • 使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金
  • 退職の理由(退職理由が解雇の場合も含む)

なお、退職者がこれらの項目を請求しない場合は、企業は記載してはならないこととされています。

厚生労働省によるテンプレートもある

退職証明書には定められた様式はありません。どのような形式で記載しても問題ありませんが、厚生労働省では退職証明書のテンプレートを提供しています。

厚生労働省による退職証明書のテンプレート

※1:出典:厚生労働省|退職証明書
https://jsite.mhlw.go.jp/nara-roudoukyoku/library/nara-roudoukyoku/03roudou/image/yousiki0401.pdf

ただし、退職証明書は退職者自身で作成することはできません。厚生労働省の退職証明書を使う場合は、印刷した用紙を企業の担当者に渡して記入してもらいましょう。

退職証明書が必要な場合とは?

退職証明書が必要な場合とは?

では、どのような場合に退職証明書が必要になるのでしょうか?ここでは、退職証明書が必要になる3つのケースをご紹介します。

転職先の企業から提出を求められた場合

1つ目は、転職先の企業から提出を求められた場合です。

すべての企業ではありませんが、入社予定になっている応募者の退職証明書の提出を求める企業もあります。

退職証明書の内容から、前職の業務内容や在籍期間、役職や賃金などを確認し、本人が申告した内容との相違がないかを確認することが主な目的です。

国民年金や国民健康保険の加入手続きをする場合

2つ目は、国民年金や国民健康保険の加入手続きをする場合です。

退職後すぐに転職しない場合や個人事業主として働く場合は、退職した日の翌日から14日以内に国民年金と国民健康保険の加入手続きを行う必要があります。

手続きには本来「社会保険資格喪失証明書」が必要ですが、資格喪失証明書は発行までに多少時間がかかることがあります。その場合、資格喪失証明書の代わりに退職証明書で手続きが可能です。

家族の加入する健康保険の被扶養者になる場合

3つ目は、家族の加入する健康保険の被扶養者になる場合です。

退職後、家族の加入する健康保険の被扶養者になる場合、一般的には離職票の写しが必要になります。しかし、離職票も手元に届くまで数週間かかることが多いため、退職証明書で代用できる場合があります。

ただし、退職証明書で可能であるかどうかは加入している健康保険組合によって異なるため、あらかじめ確認するよう注意しましょう。

失業保険の手続き時に退職証明書は必要ない?

失業保険の手続き時に退職証明書は必要ない?

失業保険とは、失業状態の人が安定した生活を送りながら就職活動が進められるように、雇用保険から給付されるお金のこと。正式名称は「雇用保険の基本手当」ですが、通称として「失業保険」と呼ばれることも多いです。

失業保険の手続きを行う際は離職票が必要なため、基本的には退職証明書は必要ありません。ただし、企業が離職票の発行を遅延した場合など、特別な理由のある場合は退職証明書をもとに手続きを進めるケースもあります。

退職証明書はいつもらえる?退職前に受け取れる?

退職証明書はいつもらえる?退職前に受け取れる?

離職票や資格喪失証明書の代わりに使われることもある退職証明書。申請すればすぐに受け取れるのでしょうか?

退職者から退職証明書を希望された企業は「遅滞なく交付しなければならない」とされています。ただし、具体的に「〇日以内」と決められている訳ではないため、いつ受け取れるのかは企業により異なります。

退職証明書は私文書のため、発行までにそれほど時間はかからないことが一般的です。依頼日から1週間待っても届かない場合は、確認の連絡をいれた方がいいでしょう。

なお、退職証明書は退職したことを証明する書類のため、在籍中は発行してもらえません

企業は、退職証明書を希望する退職者にだけ発行手続きを行うため、必要な場合は早めに連絡しておくことをおすすめします。

退職後に発行依頼の連絡をする場合は、以下の例文をご参考ください。

■退職証明書希望の例文

【件名】 退職証明書の発行依頼  【本文】 総務部 人事課 ○○様  お世話になっております。 〇〇年〇月末で御社を退職しました〇〇です。  転職先から退職証明書の提出を求められておりますので、書類の発行をお願いしたくご連絡しました。  退職証明書の記載事項としては、以下の項目でお願いします。  ・退職年月日 ・使用期間 ・業務の種類 ・その事業における地位 ・賃金 ・退職の事由  お忙しいところ大変恐縮ですが、よ

退職証明書と離職票の違いとは?

退職証明書と離職票の違いとは?

ここまでの解説にも何度かでてきた「離職票」。退職証明書と離職票にはどのような違いがあるのでしょうか?

退職証明書

離職票

発行元

退職した企業

ハローワーク

用途

退職したことを
証明するため

失業保険の受給手続きなど
に必要

公文書
or
私文書

私文書

公文書

退職証明書は退職者から申請があった場合に企業が発行します。書類を希望する退職者のみに発行する点は離職票も同じですが、発行元が異なります

離職票は

企業がハローワークに離職証明書を提出して申請
     ↓
ハローワークが離職票を発行
     ↓
発行した離職票を企業に郵送
     ↓
企業から退職者に渡されます。

また、離職日の段階で59歳以上の人には本人が希望しなくても離職票が発行されるようになっています。なお、離職票は失業保険の受給手続きに必要な書類のため、退職後すぐに転職する人は必要ありません。

退職証明書をもらえない場合はどうすればいい?

退職証明書をもらえない場合はどうすればいい?

「退職証明書を依頼したのにもらえない…」という場合はどうしたらよいのでしょうか?

労働基準法では、退職者から退職証明書の希望があった場合、企業には発行の義務があることを定めています。(労働基準法|第二章第二十二条)

第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

※2:引用元:e-gov|労働基準法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

つまり、退職証明書を発行しないことは違法行為に当たります。

退職した企業へ発行の義務があることを伝え、繰り返し請求しても対応してくれない場合は、管轄の労働基準監督署に相談して退職証明書の発行をうながしてもらいましょう。

退職証明書に関するよくある質問

退職証明書に関するよくある質問

最後に、退職証明書に関するよくある質問を「Q&A」形式でご紹介します。

Q:退職証明書はハローワークで発行できる?

A:退職証明書は、退職した企業で発行してもらえます。ちなみに、似たような書類でハローワークが発行するのは離職票です。

詳しくは「退職証明書と離職票の違い」をご確認ください。

Q:退職証明書はいつまで申請できる?

A:退職後2年以内であれば、退職した企業へ申請が可能です。なお、2年以内なら複数回申請しても問題ありません。

Q:退職証明書で国民健康保険の加入手続きはできる?

A:資格喪失証明書の発行に時間がかかる場合は、退職証明書で代用可能です。詳しくは「退職証明書が必要な場合とは?」をご確認ください。

Q:パート・アルバイトでも退職証明書はもらえる?

A:企業は、退職証明書を希望するパート・アルバイト従業員に対しても発行義務があります。そのため、パート・アルバイトでも退職証明書はもらえます

Q:退職証明書を自分で作成しても問題ない?

A:いいえ。退職証明書は企業が作成するため、退職者が作成することはできません

Q:公務員でも退職証明書は発行可能?

A:一般的には、退職する際に受け取る「免職の辞令書面」が退職証明書と同様の役割を果たしてくれます。

Q:英語の退職証明書の例文を教えてください

A:以下のテンプレートをご参考ください。

英語の退職証明書テンプレート

Certificate of Resignation To We certify that you have resigned this company on      ,20 , for the Following reason.  Date of certificate:       , 20  Company’s Name  Employer’s Name ①  Personal Reason (except ②)  ② Early Retirement at the suggestion of the Company  ③ Mandatory Retirement  ④ Expiration of contract period  ⑤ Transfer or Loan  ⑥ Others: Due to (           ) ⑦ Dismissal(Reason is on the attached sheet.) ※ Put a circle on the applicable number.  ※ If a worker who has been dismissed does not request the reason for dismissal, delete “(due to the reason for the attached sheet)” in  ⑦ with a double line and do not issue the attached sheet.

まとめ・退職後すぐに転職しない場合は退職証明書を準備して

退職証明書は、従業員が退職したことを証明する書類です。退職後、すぐに転職しない場合は国民年金や国民健康保険の加入手続きをする際に必要になるため、準備しておきましょう。

転職先が決まっている場合でも転職先の企業から求められる場合もあるため、必要か否かを確認しておくと安心です。

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参考資料

厚生労働省|退職証明書
e-gov|労働基準法

この記事の監修者

新名範久 【税理士・社会保険労務士】

「新名範久税理士・社会保険労務士事務所」所長。 建設、不動産、理美容、小売、飲食店、塾経営といった幅広い業種の法人や個人の税務・会計業務を行う。社会保険労務士として、法人の社会保険業務も担当。1人でも多くの人に、税金に対する理解を深めてもらいたいと考え、業務を行っている。 税理士、社会保険労務士、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、測量士補、CFP、FP技能検定1級、年金アドバイザー2級、証券外務員1種などの資格を保有。

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