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血圧を下げる飲み物と高血圧の人向けの簡単飲み物レシピ【健康管理士監修コラム】

高橋正美 【健康管理士一般指導員】

「血圧を下げる食べ物」の解説に引き続き、血圧を下げる飲み物と簡単レシピを紹介します。気になるアルコールと高血圧との関係についても詳しく説明します。

目次

血圧を下げる飲み物は?

前回の「血圧を下げる食べ物編」では、血圧を下げる効果がある「食べ物」について解説してきましたが、気軽に摂れる「飲み物」の中にも、血圧を下げるのに有望なものはたくさんあります。
それでは血圧を下げる効果がある飲み物を紹介していきましょう。

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血圧を下げる飲み物1:野菜のスムージー

「血圧を下げる食べ物編」で紹介したDASH食(高血圧を防ぐ食事方法)の項目では、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質が豊富な野菜や果物を摂ることの重要性について解説しました。
血圧を下げる栄養素を多く含む野菜を効率よく摂るには、温野菜にしてかさを減らして摂る方法もありますが、スムージーにして摂る方法もおすすめです。

小松菜、ほうれん草、にんじんなどは安価で手に入りやすく、スムージーにするのに適しています。粉末の青汁に、バナナや柑橘類、甘酒などをブレンドしても美味しくいただけるでしょう。

ただし、甘く味付けされた甘酒などに含まれる異性化糖(※)などは、摂りすぎると血糖値が上昇し、血圧を上げる原因でもある肥満につながる恐れがあります。
甘い清涼飲料水などと同じで、飲みすぎると体に悪影響をおよぼしますので、注意してください。

※「異性化糖」の参考資料


血圧を下げる飲み物2:GABAが入ったトマトジュース(食塩無添加)やお茶、ココアなど

GABAが入ったトマトジュース
「血圧を下げる食べ物編」でもご紹介したように、GABA(ギャバ)こと「γアミノ酪酸」には、血管を収縮させる神経伝達物質ノルアドレナリンの分泌を抑え、血圧を下げる効果があります(※)。
GABAが摂りやすい飲み物ですと、トマトジュースや、GABA配合と記載された機能性表示食品のお茶、清涼飲料水、ココア、飲むヨーグルトなどがあります。
なお、塩分摂取を控えるため、トマトジュースは食塩が無添加のものを選ぶといいでしょう。

スムージーと同様に糖分の過剰摂取を控えるため、お茶や清涼飲料水は糖分が入っていないものを選び、ココアは砂糖や脱脂粉乳などが足されていない純ココア(ピュアココア)などがおすすめです。飲むヨーグルトも糖分が多いため、飲みすぎにはご注意ください。

自然発症高血圧ラットにおける全身投与されたGABAの降圧効果におけるγ-アミノ酪酸(GABA)B受容体の関与(Involvement of γ-Aminobutyric Acid (GABA) B Receptors in the Hypotensive Effect of Systemically Administered GABA in Spontaneously Hypertensive Rats)
γ-アミノ酪酸(GABA)含有緑茶飲料の正常高値血圧者および軽症高血圧者に対する長期摂取時の血圧降下作用と安全性および正常高値血圧者、軽症高血圧者および正常血圧者に対する過剰摂取時の安全性など

血圧を下げる飲み物3:ノンアルコール赤ワインや、アサイー・ザクロ・ブルーベリーのジュース

赤ワインが血圧を下げるのに役立つと注目されたきっかけは「フレンチパラドックス」と呼ばれる現象でした。
「フレンチパラドックス」とは、欧米諸国では肉類を多く食べるため、心臓病による死亡率が非常に高いものの、なぜかフランスだけは心臓病死亡率が低い、という状態を指したものです。
この逆転現象の原因は「フランス人の赤ワインの消費量にある」という学説が発表され、当時世界中で赤ワインブームが巻き起こったそうです。

赤ワインには、アントシアニンやタンニン、カテキンなどのポリフェノールが豊富に含まれているため、血圧を下げ、動脈硬化を予防する効果が期待できます(※1)。
とはいえ、赤ワインには当然アルコールも含まれますので、摂取する量には注意しなければなりません。少量のアルコールは血圧を一時的に下げますが、長期間の飲酒は血圧上昇を招き、高血圧の原因にもなり得るからです。

1日に摂取していいワインの量は、男性なら2杯まで、女性なら1杯までです(※2)。
ほかのアルコールについては、後述の「血圧を上げてしまう飲み物」の中で解説しますので、参考にしてください。

アルコールを控えたい人や、アルコールアレルギーの人には、ノンアルコールの赤ワインや、ワインと同様にアントシアニンを多く含む、アサイー、ザクロ、ブルーベリーなどのジュースがおすすめです。
ただしジュースには果糖が多く含まれ、摂りすぎると肥満の原因になりますので、お気をつけください。

※1:赤ワインのポリフェノールで血管が柔らかく 糖尿病の動脈硬化も改善 | ニュース | 保健指導リソースガイド
※2:高血圧治療ガイドライン2019より

血圧を下げる飲み物4:ポリフェノールをもっとも効率よく摂取できる「コーヒー」

血圧とコーヒーに含まれるカフェイン、ポリフェノールとの関係
コーヒーがもたらす健康効果については、これまでさまざまな研究がされてきました。
パーキンソン病や糖尿病、肝炎、肝臓がんの予防になるという報告もあります。

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また、国立循環器病研究センターの調査によれば、コーヒーと緑茶の摂取が多い人は、脳卒中の発症リスクも低いのだそうです(※1)。

コーヒーと血圧の関係も、各種の研究でわかってきています。
コーヒーに含まれるカフェインには、血圧を一時的に上げる作用がありますが、継続的な飲用が高血圧につながるとは考えられていません。
一方で、カフェインには血管内皮の機能を改善する効果があるとされています。

また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸(ポリフェノールの一種)は、血糖値を改善し、血圧を調整する効果や、抗炎症作用があるのだそうです(※2)。

ネスレ日本の調査(※3)によれば、飲料一杯あたりの摂取でもっともポリフェノールを多く摂れるのは、コーヒー(一杯150mlでポリフェノール300mg)だったそうです。

<飲料一杯あたりのポリフェノール量ランキング>

  1. コーヒー(150ml):300mg
  2. 赤ワイン(120ml):276mg
  3. 抹茶(70ml):150mg
  4. 紅茶(150ml):144mg
  5. 緑茶(80ml):92mg
  6. ウーロン茶(200ml):78mg
  7. ココア(120ml):74mg
  8. 麦茶(200ml):62mg


ここまで紹介した内容だけを見ますと、コーヒーはいいことずくめのようにも思えますが、糖分とカフェインの過剰摂取には気をつけなければなりません。
糖分は肥満の原因にもなりますので、なるべく糖分を入れずに飲むようにしてください。

カフェインは過剰に摂取すると、中枢神経系の刺激によるめまいや、心拍数の増加、興奮、不眠症、下痢、吐き気などの健康被害を引き起こす可能性があります(※4)。血圧を下げたいからといって、多量にコーヒーを飲むのはおすすめできません。

世界保健機関(WHO)や世界各国の保険関係の省庁では、妊婦や授乳中の女性のカフェイン摂取に関する注意喚起はしていますが、一般の人々のガイドラインはほとんど存在しません。ただし、カナダ保健省では、「健康な成人のカフェイン節酒は、最大400mg/日(コーヒーマグカップ(237ml入り)で約3杯)までとする」といった注意喚起をしていますので、コーヒーの摂取量の参考にしてください。

1日3杯以上のコーヒーをどうしても飲みたい人は、ノンカフェインやデカフェ、カフェインレスコーヒーなどに切り替えてみましょう。

※1:緑茶とコーヒーの摂取が多い群では脳卒中の発症リスクが低い|プレスリリース|広報活動|国立循環器病研究センター
※2:コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
※3:ポリフェノールはどうやってカラダに取り入れるの?~目安とギャップ~|コーヒーポリフェノール効果
※4:食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~(厚生労働省)

血圧を下げる飲み物5:抹茶・紅茶・緑茶・ウーロン茶・麦茶・ココアもおすすめ

コーヒーのポリフェノールに関する解説でも触れましたが、お茶にも各種のポリフェノールが含まれています。

抹茶や緑茶にはポリフェノールの一種であるタンニン(カテキン)のほか、血圧降下作用があるテアニンや、抗酸化作用があるサポニン(※1)、紅茶やウーロン茶にはカテキン類のほか、テアフラビン類、テアルビジンなどが含まれます(※2、3)。

麦茶のポリフェノールは、ほかのお茶と比べると少ない量ですが、カテコールやゲンチジン酸(※4、5)などが含まれています。
なお、麦茶以外のお茶にはカフェインが含まれていますので、飲みすぎには注意してください。
たくさん飲みたい場合は、低カフェインやカフェインレスのものを選びましょう。

ココアを飲む場合は、ノンシュガーの純ココア(ピュアココア)や、調整ココアの中でも低脂質で糖質オフのものがおすすめです。

※1:抹茶の成分 - 辻利 片岡物産
※2:寒い季節に 紅茶ポリフェノール|日東紅茶
※3:中国茶(烏龍茶)、紅茶の成分と効果・効能|お茶の成分と健康性|お茶百科(伊藤園)
※4:からだにいいこといっぱい、麦茶のススメ|食べるからだメンテナンス|おいしい大麦研究所(はくばく)
※5:麦茶の抗酸化性と抗酸化成分(J-STAGE 日本食品科学工学会誌/46 巻 (1999) 2 号)

コンビニで買える、血圧を下げる飲み物

これまで紹介してきた飲み物の中から、コンビニでも手に入りやすいものを紹介します。

牛乳・野菜スムージー

コンビニでも手に入れやすい牛乳
DASH食でもある牛乳は、シリアルと組み合わせれば、健康的な朝ごはんにもなります。
野菜スムージーも牛乳と同じく紙パックの飲料が並ぶ「冷蔵品コーナー」にあるでしょう。

GABA配合のトマトジュース・お茶・清涼飲料水

飲み物コーナーには「GABA」の表示がされたペットボトルのお茶や、機能性表示食品の缶の清涼飲料水があるはずです。トマトジュースの場合、ペットボトル、缶、紙パックなどさまざまな形態で売られていますので、それぞれの飲み物コーナーで探してみてください。

コーヒー(ブラック)・紅茶

ポリフェノールが豊富な、挽きたてコーヒーの機器は、レジ付近やイートインコーナーなどにあります。
コンビニの店舗によっては、高級なコーヒー豆を使用したスペシャルティコーヒーや、コーヒーフラッペなど、豊富な種類のコーヒーが楽しめるうえに、淹れたての紅茶を飲むこともできます。

反対に血圧を上げてしまう飲み物を知っておこう

続いては、血圧を上げてしまう飲み物を紹介します。なるべく控えたいものですが、どうしても飲みたい場合は、飲む回数を減らすか、脂質、糖質、カフェイン、アルコール分をカットした商品に替えてみてください。

ジュースや炭酸飲料を水代わりに飲むのは控えよう

果糖ブドウ糖液糖などの異性化糖が多く含まれるジュースや炭酸飲料、清涼飲料水などを、水の代わりにゴクゴク飲むのは控えましょう。体脂肪が増え、肥満になりやすくなるからです。
血圧を上げないためにも、水分補給には、お水か、ポリフェノールを多く含んだお茶などがおすすめです。
なお、熱中症対策として水分補給をする場合は、利尿作用があって体外に排出されやすいお茶よりも、お水のほうが向いています。

お酒は節酒、禁酒を心がけ、おつまみの塩分にも注意する

適度な飲酒量(厚生労働省「健康日本21」より)
赤ワインの解説でもお伝えしたように、少量のアルコール摂取は血圧を一時的に下げますが、長期間飲むと血圧は上昇するため、高血圧の原因になることもあります。
高血圧治療ガイドラインでは、適切なお酒の量を下記のように設定しています。アルコール摂取の参考にしてください。

<適切なお酒の量>

  • アルコール量で男性20~30mL/日以下、 女性10~20mL/日以下
  • 男性:日本酒の場合は1合、ビール中瓶なら1本、焼酎なら半合、ウィスキー・ブランデーならダブルで1杯、ワインなら2杯
  • 女性:上記の半量から3分の1の量


また、お酒のおつまみとして、ソーセージやビーフジャーキーなどの加工肉や、さつま揚げや板わさなどの練り物が人気ですが、血圧を下げる食べ物編の加工肉と練り物の項目でもお伝えしたように、おつまみによる塩分の摂りすぎにも注意しなければなりません。
どうしても口さみしいときは、野菜サラダや薄味の煮物、塩気をおさえた枝豆などに切り替えてみてください。

血圧を下げる飲み物の簡単レシピ

それでは「血圧を下げる飲み物の簡単レシピ」をご紹介します。

美味しく飲める甘酒青汁レシピ

簡単!バナナと甘酒をブレンドした美味しい青汁レシピ
青汁にはβカロテンやビタミンC、ビタミンDのほか、DASH食でもご紹介したカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維が豊富です。
粉末の青汁を、飲む点滴とも称される甘酒で割ると、濃厚でまろやかな食感になり、美味しく飲むことができます。

市販の粉末青汁と甘酒があれば、いつでも手軽に飲めますので、とっても簡単です。
甘酒に含まれるオリゴ糖には、悪玉コレステロールを減らす効果が認められるため、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの予防にも期待できるでしょう。
使用する甘酒は、異性化糖が含まれていない、米麹を原料としたものがおすすめです。

参考:難消化性αオリゴ糖(α-シクロデキストリン)による酸化コレステロールの人工腸液における溶解性低減作用 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンターなど

<使用する材料(1人分)>

  • 甘酒1杯(缶、瓶、紙パックなど)
  • 粉末青汁1袋


<作り方>

  • 粉末青汁を少量の水で溶いておきます
  • 溶いた青汁に甘酒を注ぎ、よく混ぜたら完成です。お好みで、バナナやヨーグルトと合わせるのもおすすめです。


まとめ:血圧を下げるには食べ物や飲み物だけでなく運動も重要

「血圧を下げる食べ物編」に続いて、飲み物についても解説してきましたが、高血圧治療ガイドラインには、食事制限や肥満予防、飲酒や喫煙の制限、ストレスの軽減とともに、運動習慣が重要だと説かれています。
推奨されているのは、毎日30分以上または週180分以上の運動です。適度な運動は、脂肪の燃焼だけでなく、ストレスの軽減にも役立ちます。
食事や飲み物を見直すだけでなく、運動習慣も同時に見直して、高血圧の予防に励んでください。

この記事の監修者

高橋正美 【健康管理士一般指導員】

日本FP協会所属のファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)として相談業務にあたる中、お客様の急死や、若い仲間の大病による入院などを目の当たりにして、生活習慣病予防の大切さを痛感。医療費等の支出削減を図るためにも、健康管理が重要であることに気づき、健康管理士一般指導員の資格を取得。お客様相談の中で、必要に応じて健康寿命延伸のための情報も提供している。

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