シニア税理士はこんな会計事務所を選ぼう!失敗しない再就職先選び
シニア税理士・会計人材の会計事務所選びは間違いだらけ!失敗しない会計事務所・税理士法人の再就職先の選び方を教えます。
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シニアの転職・再就職先として人気の職場の一つが、会計事務所・税理士事務所。
年齢制限のない国家資格である税理士や公認会計士の資格を持ったシニアはもちろん、税理士試験の合格科目はあるものの資格を持たないシニアや、企業の経理業務経験者などが税理士補助として活躍するなどしています。
しかし、会計事務所・税理士事務所もさまざまです。
例えば、「〇〇税理士事務所」という名前の事務所は、税理士の先生個人が「個人事業主」として運営しており、「〇〇税理士法人」という名前の事務所は、2人以上の税理士が運営する「法人」といった違いがありますし、職員の数の大小といった規模の違いもあります。
さらに、税務相談や税務署類の作成、税務代理といった税理士が独占的に行う業務以外にも、コンサルティング業務などのサービスを提供しているケースが増えており、会計事務所ごとに特色があることも多く、会計業界の中にも様々な働き先がある状況です。
そこで、シニア税理士や会計人材の方が転職先・再就職先としてどんな会計事務所を選ぶべきか、そのポイントを解説していきます。
税理士の平均年収や、給与アップのための転職の秘訣については、下記の記事を参考にしてください。
税理士の平均年収・給料とシニア税理士が給料UPする転職方法をキャリアアドバイザーが解説
シニアに合うのは大きい会計事務所?小さい会計事務所?
ではまず、規模の大きい(職員の多い)事務所・法人と、規模の小さい(職員の少ない)事務所・法人ではどちらがシニア税理士・シニア会計人材におすすめなのか、見ていきましょう。
小さい会計事務所を希望するシニアは多いけれど・・・
実はシニア税理士やシニア会計人材の方からは、「小さい事務所に就職したい(大きい事務所には行きたくない)」という希望が出されることが多くあります。
理由は、大きい会計事務所や税理士法人の場合、「高い能力を求められそうだから」といものです。
しかし、実際のところ、大規模の事務所・法人と小規模の事務所・法人で求められる能力に、大きな違いはありません。
確かに規模の大きい会計事務所や税理士法人ほど、顧客・顧問先に大企業がいる割合が高く、大企業の顧客・顧問先によっては高い能力が求められる場合もありますが、日本の企業の99%以上は中小企業であるため、どのような規模の会計事務所に勤めても、求められる能力や主な業務には大きな違いがないのです。
会計事務所の規模で求める能力は変わらないが特徴は変わる
選考や就業時に求められる能力には違いがないと言っても、規模の大きい会計事務所や税理士法人と小さな事務所・法人では、その特徴がそれぞれ違います。
次は会計事務所の規模の違いでそれぞれどのような特徴があるのかをご紹介するので、シニア税理士の方・シニア会計人材の方は、自身に合った事務所選びの参考にしてください。
大規模な会計事務所の特徴と適したシニア
まず、大規模の会計事務所や税理士法人には、どのような特徴があるのでしょうか。
規模が大きい、つまり、職員の数が多いと、それだけ顧客・顧問先の数が多くなり、様々な業種の顧客企業を抱えていることが多くなります。
すると、様々な企業の税務を担当するため、知見を広げることができ、所属する税理士にも幅広い知識を持った人が多くなります。
また、職員が多いことで専門担当者を配置する余裕ができたり、事務所・法人自体が組織体制を整えたりすることで、比較的役割分担がはっきりした環境で働くことができます。
こうした大規模会計事務所の環境は、既に専門知識を持っており、それを活かした仕事をしたいシニア税理士の方や、これから専門知識をさらに伸ばしたい方には、とても良い環境と言えるでしょう。
小規模な会計事務所の特徴と適したシニア
一方、規模の小さな会計事務所や税理士法人には、どんな特徴があるのでしょうか。
小規模の事務所・法人では、大規模のところが役割分担するのとは反対に、一人で様々な顧客や仕事を受け持つ場合が多くなりますし、その分、責任や裁量を持って仕事をすることも多くなります。
一人で最初から最後まで仕事をやり切りたい方や、仕事のキャパシティを拡げたいといったスキルアップを目指す方にとっては、とても適した環境です。
また、法人よりも個人事業主、家族経営の会計事務所・税理士事務所の割合も、小規模のところの場合は多くなります。
そのため、アットホームな環境の職場が多く、所長と良好な関係が築けた場合には、とても安定した働きやすい環境が得られやすくなるという特徴もあります。
会計事務所の場合、こうしたそれぞれの特徴はあるものの、規模(職員数)の大小で求められる能力やシニア求職者の有利不利は変わらないため、転職・再就職を目指す場合は、自身の先入観で応募先を絞らずに、自身に合った事務所・法人を選ぶようにしましょう。
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間違いだらけのシニアの会計事務所選び
さて、次はシニア税理士の方・シニア会計人材の方が失敗しやすい、「会計事務所選びの間違い」を3つ、ご紹介しましょう。
それは、この3つです。
- 若い人が多い会計事務所はシニアには合わない?
- ずっと求人が出続ける会計事務所は危険?
- 一度落ちた会計事務所は再チャレンジ不可能?
シニアの方ほど、
「転職先は自分と近い年齢が多い会計事務所がいい」
「ずっと求人が出ている会計事務所は、人材が定着しないので危険だ」
「過去に落ちた会計事務所は、もう受けることができない」
と思いがちですが、これは大きな間違いです。
なぜ、これが間違いなのか、どうすれば良いのか、一つずつ詳しく見ていきましょう。
1.若い人が多い会計事務所はシニアには合わない?
シニアの求職者は、税理士や会計人材の方に限らず、「若い人とは話が合わなさそう」「若い人の多い職場ではついていけなさそう」などと考えやすく、若い人が多い職場を避け、平均年齢が高い職場を好んで応募する傾向があります。
これは一概に間違いとは言えませんが、可能性を大きく狭めているかもしれません。
実はシニア税理士やシニア会計人材を採用する会計事務所・税理士法人は、若い方が経営しているところが多いのです。
というのも、そもそもシニア層を採用する事務所は、即戦力を求めている拡大施行の事務所であるため、比較的若い人材が多く、勢いのある傾向が強いのです。
反対に、拡大志向・成長志向が強くない会計事務所の場合、年齢層が高めであっても新規求人が出る可能性が低く、求人が出ても長期の在籍を見据えて若い方を採用することが少なくありません。
シニア税理士・シニア会計人材の場合、自身の年齢に近い会計事務所だけでなく、若い方の多い勢いのある事務所を選ぶことで、採用の可能性に加えて活躍の可能性も広がることでしょう。
2.ずっと求人が出続ける会計事務所は危険?
ずっと求人が出ている会社は定着率が低くて危険、というのは、転職ノウハウとして良く聞かれるものです。
ですが、実際には優良な職場が求人を出し続けていることも多く、特に税理士・会計人材の場合は、求人が出続ける会計事務所を避けてしまうと、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。
求人には退職者の穴を埋めるものだけでなく、事業成長にともなう人員補強のものがあり、拡大成長を続け、そのために求人を出し続ける会計事務所・税理士法人もあるのです。
このように拡大成長を続ける会計事務所であれば、即戦力としてシニアも積極的に採用しており、チャンスの大きな求人であると言えます。
3.一度落ちた会計事務所は再チャレンジ不可能?
さて、あなたは以前に応募して不採用となったところに、もう一度応募しようと思いますか?
普通は再び応募しようとは思いませんよね。
気持ちの上でもあまり良い気持ちはしませんし、何より一度落ちたところは再チャレンジしても受からないだろうと思います。
しかし、シニア税理士の方、シニア会計人材の方には、5年以上前に応募して落ちた事務所・法人への再応募を強くおすすめします。
現在、会計事務所や税理士法人などの会計業界は、深刻な人材不足の時期を迎えています。
そのため、5年以上前に応募した事務所や法人であれば、現在はまったく風向きが違っていて採用に至る可能性があります。
気持ちの上では採用不可となったところというわだかまりがあるかもしれませんが、ぜひ、そうした思いを切り替え、新たなチャレンジという思いで、以前応募した会計事務所へも再チャレンジしてみてください。
既成概念やこれまでの常識の中ではありえないと感じることでも、最新の転職事情・再就職事情はどんどん変化し、効果のあるテクニックとなっている場合があります。
会計業界専門の転職エージェントなどから意外なアドバイスがあった場合も、素直に実践してみることが大切です。
シニア税理士・会計人材が会計事務所選びでやってはいけないこと
ここまで、シニア税理士の方やシニア会計人材の方が転職・再就職を考える歳の、会計事務所選びの方法について、ノウハウをご紹介してきました。
最後は、会計事務所選びの際に、シニア税理士・会計人材の方が「やってはいけないこと」を一つだけお伝えします。
使っている会計ソフトで会計事務所を選んではいけない?
シニア税理士の方・シニア会計人材の方が会計事務所選びで「やってはいけないこと」、それは、「自分が使える会計ソフトで事務所選びをすること」です。
言い換えると、「事務所選びは会計ソフトと関係なく行うべき」とも言えますし、「自分が使える会計ソフト以外も積極的に覚える姿勢が重要」とも言えます。
世間で言われているほど、シニア税理士の方やシニア会計人材の方はITやデジタルツールが苦手ではなく、ほとんどの方は問題なく様々なデバイスやソフトウェア、アプリを使いこなしています。
ところが、仕事で使う会計ソフトとなるととても謙虚になり、「自分はこのソフトしか使えない」「このソフトを使っている会計事務所で働きたい」というシニアが多くいます。
しかし、会計事務所や税理士法人には会計ソフトを限定する権限はありません。
顧客である企業が使っている会計ソフトに会計事務所・税理士法人側も合わせる必要があり、ソフトがアップデートされたり、新しいソフトを顧客企業が導入したりすれば、会計事務所の事情に関係なく、新しいソフトを覚えなければなりません。
そのため、会計事務所や税理士法人に転職・再就職を考えるシニア税理士やシニア会計人材の方は、常に新しい会計ソフトを学ぶ姿勢が必要なのです。
すぐに新しい会計ソフトが使えなくても問題ない?
「そんなことを言ったら、新しい会計ソフトに慣れるまで周りの足を引っ張ってしまうし、採用もされないのではないか?」
と心配するシニアの方もいらっしゃることでしょう。
しかし、そうした心配はいりません。
会計事務所や税理士法人の側でもすぐには新しい会計ソフトに慣れることができないことを理解しており、ソフトに慣れるための期間を想定しています。
既に勤めている職員であっても、新しい会計ソフトにアップデートされてすぐに問題なく使えるわけではないため、新たに採用したシニア職員の場合に勉強の期間を想定するのは当然とも言えます。
とは言え、新たな会計ソフトを勉強しようという意志と姿勢がなければ、覚えることもできませんし、選考を通過することも難しくなるでしょう。
また、小規模の会計事務所の場合、教えてくれる人も十分な時間を確保できない可能性があるため、自分自身で学ぼうという姿勢が特に重要となります。
いずれにしても、会計ソフトについては自分が慣れたソフトを使う事務所・法人を探すのではなく、どんなソフトでも学ぶ姿勢を持つことで、シニアでも転職・再就職の可能性が大きく広がります。
シニアの税理士、税理士試験科目合格者や経理経験者などの会計人材の方が、転職・再就職のため会計事務所探しをする際の方法についてご紹介しました。
これまでの常識を覆す、意外な情報もあったのではないでしょうか。
ご紹介した以外の給与相場や地域特性、事務所や法人ごとの特徴などについては、転職エージェントに相談し、教えてもらうことで、転職の成功がさらに近づくことでしょう。
この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。