50代以上のシニア世代が介護士の仕事することはできるのか
介護現場は常に人材不足が社会的な課題となっており、1人でも多くの介護士の力が求められています。 50代以上のシニアの方々でも働ける機会はあるのか、様々な観点から解説していきます。
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50代・60代でも介護士の仕事で活躍はできるの?
50代・60代でも介護士として活躍できる機会はあるのでしょうか?
介護の仕事に携わる構成を見ると、男性は40代が全体の28%を占めています。
次に60歳以上で28%、50代19%と50代以上の方々は半数近くを占めているのが実情です。
一方で、女性の介護職では、50代の年代が一番多く38%、60歳以上で27.0%となっています。
やはり、全体の60%以上を50代以上で占められていることになり、男女ともに50代以上の方々が介護職として活躍しているのです。
しかも、中途採用で働く人が80%を越えており、新卒ではなくても中途から介護職に就いているので、50代・60代のシニア世代が介護職を始めることができるわけです。
介護職への復職については下記の記事を参考にしてください。
介護職は復職しやすい?シニアやブランクある方でも働けるのか実態をご紹介!
資格があるとさらに有利に
介護職として働くのであれば、資格を持っていると、さらに就職が有利になってきます。
介護業界では、国家資格の「介護福祉士資格」があります。
この資格を持っている人が「介護福祉士」となるのですが、介護のプロとして働く人たちのことを指しています。
この介護福祉士の資格を持っていると、40代・50代の転職がとてもしやすいと言われています。
これが50代・60代の年代になってくると、豊富な人生経験に基づく気遣いやマナーを持ち合わせているので長年の経験を最大に活かせます。
介護の仕事は高齢者や障がいを持つ人、そして家族と接することが必要で、若い人より年齢とともに養ってきた協調性や気遣いを活かすことができるために、50代以上の方が介護福祉士の転職を有利に進めことができます。
介護士の仕事ができる職場ってどんな所?
具体的に介護士の仕事ができる職場は、どのような所があるでしょうか?
介護業界は、生活介助が必要な現場を経験して、生活相談員やケアマネージャー、施設長などの仕事に進んでいきますが、無資格でも可能な介護助手・介護補助から有資格が必要な介護職員、施設長などの職種があります。
その結果、働く場所としては、特別養護老人ホーム・老人保健施設、有料老人ホームなどが挙げられます。
また、利用者宅を訪ねて生活に関する支援を行う訪問介護では、訪問介護センターで勤務することとなります。
介護職は、就業先によってどの程度の年収になる?
介護職も介護助手から介護士として、様々な職種がありますが、それぞれどのくらいの年収になるのでしょうか?
介護福祉士の平均年収
介護福祉士は、平均年収が約310万円と言われています。
日本の平均年収から見ると低い傾向ですが、月換算で26万円、初任給で19万円程度となっています。
就職先や業務による年収の違い
では、就職先や業務によって、年収はどの程度違ってくるか見てみましょう。
介護職員
介護職員も約310万円程度ですが、利用者の身体介護を行うには介護の国家資格が必要です。
但し、未経験で働きながら取得する場合には、3年以上の実務経験を積んで国家試験に合格する必要があります。
介護助手・介護補助
介護助手・介護補助の平均年収は、約280万円前後です。
介護職員初任者研修や介護福祉士などで、介護の資格をもっている介護職の助手として働きます。未経験者の場合、最初は、パートやバイトで介護助手や介護補助として経験を積みながら、資格取得を目指していきます。
訪問介護員(ホームヘルパー)
ホームヘルパーの平均年収は約311万円となっています。
介護が必要な方の自宅を伺い、日常生活の援助を行います。
生活相談員(生活支援員)
平均年収は380万円程度で、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設で、介護を必要とする方とそのご家族の相談に応じる仕事です。
入退所に伴う事務手続きや介護サービス利用中も相談にも応じて、必要な援助に説明していいます。
ホーム長・施設長
ホーム長・施設長は、施設を運営する責任者で、マネジメントが主業務となるために、
他の業界で役職経験を持つ人が転職してホーム長を務める場合に、以前の経験を活かすことができます。
年収も500万円と介護業界の中では高くなっています。
介護支援専門員(ケアマネージャー)
ケアマネージャーの年収は382万円です。
介護保険サービスを利用する際に必要なケアプランを作成する仕事で、特別養護老人ホームや有料老人ホームや居宅介護支援事業所が主な職場となっています。
介護士の資格を活かした転職
介護福祉士の資格を持っていると、転職に有利と言われていますが、経験や関連する資格を取得していると、さらに転職に有利になってきます。
経験を積むと転職を有利に
介護職の経験を持っていると、看護助手として介護職で培った経験を活かすことができます。
看護助手は介護職にとても近い職種で、具体的な仕事としては患者さんの身の回りのお世話や看護師の補助です。
入院している患者さんとのコミュニケーションなど関わりが深くなってきますので、介護の経験が発揮できるのです。
知識を深めておくことを転職に必要
介護の転職では知識を深めておくことも大切です。
まず、介護資格の中でも取得しやすい介護職員初任者の研修を受けて、実務者研修とステップアップしていくことで、幅広い利用者の介護ができる知識と技術を習得することができます。
関連資格を取得しておくこともおすすめ
また、介護職の転職では、転職の幅を広げる資格を取っておくこともいいでしょう。
介護関連の資格を持っている人で、さらに仕事の幅を広げたいと思っている場合は、「喀痰吸引等研修」「介護予防指導士」などがおすすめです。
これらの資格は、特定資格や規定実務経験が必要なので、介護士として一定の経験を積んだ後に必要に応じて取得することです。
そのほかに「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」などの資格もあるといいでしょう。
利用者の相談に対する援助や関係機関との調整を行う相談援助業務で、地域包括支援センターの相談窓口や介護施設などで、利用者や家族からの相談を受けて必要な援助する仕事ができます。
正社員と派遣、委託、パート・アルバイトの違い
介護士にも、正社員や派遣社員、委託社員、パート・アルバイトがありますが、どのように異なるのでしょうか?
派遣の介護士は派遣会社が雇用先となりますが、パート雇用は勤務する施設が雇用先となります。
派遣介護士は、給料も派遣会社から支払われるので、勤務する実際の施設ではなく、退職をしたい時も勤務先えではなく、派遣会社に退職を伝えなければなりません。
パートの介護士は、勤務する施設との直接雇用となり、給料も雇用主の施設から支払われます。
退職もその施設に伝えることです。
介護士の転職で注意することは
介護士はステップを踏み、経験を積んだり資格を取得していくことで、転職も有利になっていきます。
しかし、転職時には、以下のようなことを注意しておきましょう。
- 事前に提示された雇用条件と実際の雇用条件が違う
- 人手不足で忙しすぎる
特に、介護業界は、慢性的な人手不足となっているために、忙しすぎる職場が少なくありません。
その結果、未経験者の場合、じっくりと教育を受ける余裕さえありません。
転職先では、施設のルールなどもまともに教えてもらえないまま、いきなり業務をこなさなければならず、戸惑いやミスをおかしてしまうことで、利用者とのトラブルになってしまう可能性があるので、転職先の状況を事前に把握しておく必要があります。
50・60代で介護士での働き方
介護士は、正社員だけでなく、契約社員、パート、派遣など、様々な雇用形態があるので、自分の希望に合った働き方を選択することが可能です。
週3日が可能な働き方もあり
50代・60代の人であれば、パートで就職したり、定年は無し・60歳以上正社員として働くことも可能でしょう。
介護職員初任者研修や介護福祉士の助手として働きながら、資格取得をめざすこともいいですが、60歳以上に人であれば、毎日勤務するのではなく、週2~3日の勤務形態を選ぶことがいいかもしれません。
まとめ:シニアの介護士は、介護助手から目指していき、ステップアップ
これまで、シニア世代の介護士としての働き方や転職について、説明してきました。
この業界は、未経験の人でも十分に働くことが可能です。
まずは介護助手や介護補助から始めて、経験を積んで行きながら、資格を取得してステップアップしていくことがいいでしょう。
この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。