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一人暮らしの高齢者が抱えるリスク・見守り対策・支援を徹底解説!

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

ライフスタイル

これで安心!
高齢者の一人暮らし対策!

高齢化が進む日本。子どもの結婚後は親と別居するケースも多いため、一人暮らしの高齢者は増え続けています。この記事では、一人暮らしの高齢者が抱えるリスクと見守り対策・支援を解説します。

目次

一人暮らしの高齢者はどれくらいいる?

一人暮らしの高齢者はどれくらいいる?

まずは、一人暮らしの高齢者の現状を把握しておきましょう。

65歳以上の高齢者は総人口の29%

内閣府の発表によると、2022年の日本の65歳以上人口は3,624万人。日本全体の人口である1億2,495万人に対する割合は29%です。(※1)

■65歳以上・75歳以上人口(2022年)

年代

男性人口

女性人口

全体人口

総人口に対する
割合

65歳以上

1,573万人

2,051万人

3,624万人

29%

75歳以上

766万人

1,171万人

1,936万人

15.5

総人口

6,076万人

6,419万人

12,495万人

100%

65歳以上人口は今後も増え続ける見通しで、2025年には3,653万人、2043年には3,953万人でピークを迎えると言われています。

※1:内閣府|令和5年版高齢社会白書・高齢化の現状と将来像

一人暮らしの高齢者の割合は増加し続けている

次に、一人暮らしの高齢者の割合を確認してみましょう。以下は、65歳以上人口に対する一人暮らしの割合です。(※2)

■65歳以上人口に対する一人暮らしの割合

	男性	女性 2000年	8	17.9 2005年	9.7	19 2010年	11.1	20.3 2015年	13.3	21.1 2020年	15	22.1

2000年には男性8%・女性17.9%だった割合は、2000年には男性15%・女性22.1%にまで増えていることがわかります。

この割合は今後も増え続けるとされており、2040年には、65歳以上人口に対して男性20.8%・女性24.5%の人が一人暮らしになると予想されています。

※2:内閣府|令和5年版高齢社会白書・家族と世帯

高齢者が一人暮らしになる原因

では、なぜ一人暮らしの高齢者が増え続けているのでしょうか?65歳以上の人口の増加以外にも、以下の理由が考えられます。

高齢者が一人暮らしになる原因
  • 配偶者の死別
  • 独立した子どもの別居
  • 子どもがいない
  • 独身 など

一人暮らしと聞くと独身のイメージを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、高齢で一人暮らしになる原因は他にもあります。

例えば、既婚者でも配偶者が先に亡くなれば一人暮らしになる可能性は高いでしょう。子どもがいない夫婦・子どもがいても同居していない場合は、やはり一人暮らしになります。また、「気をつかうくらいなら一人暮らしの方がいい」と、あえて一人暮らしを選ぶ人も多いです。

つまり、高齢になってから一人暮らしになる可能性はどんな人にもあるため、決して他人事ではないのです。

一人暮らしの高齢者に考えられるリスク

一人暮らしの高齢者に考えられるリスク

決して他人事ではない高齢者の一人暮らし。そこには、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?ここでは、一人暮らしの高齢者が抱えるリスクをご紹介します。

病気や認知症の発見が遅れるリスク

1つ目は、病気や認知症の発見が遅れるリスクです。病気やケガは高齢になるほど起こりやすい傾向にあります。

以下は、内閣府が発表している介護が必要になった主な原因です。(※3)

、「認知 症」が18.1%と最も多く、次いで、「脳血管疾 患(脳卒中)」が15.0%、「高齢による衰弱」が 13.3%、「骨折・転倒」が13.0%となっている。 また、男女別に見ると、男性は「脳血管疾患(脳 卒中)」が24.5%、女性は「認知症」が19.9%

脳血管疾患は、健康に不安を抱えていなかった人でも突然発症するケースも多い疾患です。また、骨折や転倒は屋外ではなく家の中で起こるケースも少なくありません。

このようなことが起きた場合、同居人がいればすぐに気づいて対応してもらえるでしょう。しかし、一人暮らしの場合、発見が遅くなる可能性が高く、処置が遅れて症状が悪化してしまう可能性も考えられます。

また、認知症は自分自身で気付きづらい特徴のある病気です。同居人がいれば本人の異変に気づくことができますが、自分自身のことを認知症だと気づくことはなかなか難しいことかもしれません。

※3:内閣府|令和4年版高齢社会白書

孤独死のリスク

2つ目は、孤独死のリスクです。たとえ病気の発見が遅れたとしても、その後に適切な治療を受けられれば安心できるでしょう。

しかし、定期的に連絡をする人や見守る人がいない場合、症状が悪化して、最悪の場合死に至る可能性もあります。本当に身寄りがなく、定期的に外部との連絡をとっていない場合、死亡したことすら気づいてもらえず、時間が経過してしまうリスクが考えられます。

食生活が乱れるリスク

3つ目は、食生活が乱れるリスクです。健康で過ごすために、栄養バランスの良い食生活を送ることはとても重要です。しかし、一人暮らしだと栄養が偏ってしまう可能性が考えられます。

家族に食事を作るときは栄養バランスを考えても「自分自身が食べるだけ」だとつい簡単なものばかり食べてしまう、という経験はありませんか?

さらに、高齢になると頻繁に買い物するのも大変なことや、自炊する方が費用が高くなることも多いため、余計に食生活が乱れてしまう可能性が考えられます。

孤独を感じるリスク

孤独を感じるリスク

4つ目は、孤独を感じるリスクです。高齢になると身体能力の低下が進むため、外出が減る傾向にあります。

外出が減ったとしても同居の家族がいれば世帯同士のつながりもありますが、一人暮らしの場合は、外部とのつながりが途切れてしまうでしょう。

一昔前のように「近所の商店の人が御用聞きに来る」こともなく、インターネットや電話でなんでも注文できる時代のため、他人と話す機会も減ってしまいます。

その結果、孤独を感じてしまい、生きがいを見いだせなくなってしまう人が増えてしまうのです。

生活費が不足するリスク

5つ目は、生活費が不足するリスクです。特別な資産がない場合、老後の主な収入は年金です。

総務省統計局の発表によると、65歳以上単身世帯の1ヶ月の平均収入は126,905円、支出は145,430円。ひと月当たり18,525円のマイナスが生じていることがわかります。(※4)

支出の平均額は日常生活に必要最小限の金額のため、病気の治療や介護費用、旅行などの娯楽にかかる費用を考慮すると、生活費が不足するリスクが考えられます。

※4:家計調査報告家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要

65歳以上の高齢者が受け取れる給付金や支援金をまとめて紹介!

詐欺や犯罪に遭うリスク

6つ目は、詐欺や犯罪に遭うリスクです。詐欺の手口は年々巧妙化しており、依然として高齢者を狙った詐欺は後を絶ちません。

以下は、65歳以上の人が詐欺にあった件数と割合です。(※5)

内容

男性

女性

件数

割合(%)

件数

割合(%)

オレオレ詐欺

755

19.1

2973

75.2

預貯金詐欺

230

8.4

2487

90.3

架空料金
請求詐欺

1774

34.2

1074

20.7

還付金詐欺

1064

25.4

2170

51.9

キャッシュカード
詐欺盗

310

14.0

1889

85.2

上記以外

101

14.2

68

9.6

合計

4234

22.3

10661

56.1

65歳以上の人が詐欺にあった件数は14,895件。詐欺件数全体に対する割合は78.4%と、詐欺被害の約8割弱を高齢者が占めていることがわかります。

近年は、オレオレ詐欺や預貯金詐欺以外にも、架空請求や還付金詐欺の件数が増えている傾向があります。スマートフォンを利用する高齢者が増えたことや、行政手続きが電子化されたことも原因の1つかもしれません。

詐欺を行う側からみると、同居人がいる高齢者宅より「一人暮らしの高齢者宅」の方がだましやすいと考えるため、詐欺のターゲットにされやすいリスクが考えられます。

※5:警察庁|令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について

災害時の対応が難しいリスク

7つ目は、災害時の対応が難しいリスクです。日本は自然災害の多い国。地震・雷・台風・洪水などのリスクは常に隣り合わせと言っても過言ではありません。

避難をするような事態が起こった場合、一人暮らしで身体に不自由がある人は素早い対応が難しいでしょう。普段は自分を気にかけてくれるご近所さんも、非常事態が起きた場合には周囲を気にかける余裕がないかもしれません。

また、住んでいる地域によっては、災害情報が入りづらいことも考えられます。

賃貸物件を借りられないリスク

8つ目は、賃貸物件を借りられないリスクです。通常、賃貸物件を契約する際には審査が行われますが、一人暮らしの高齢者は審査に通らない可能性があります。

審査では「家賃を滞納する可能性はないか」「万一のことがあった場合、適切な対応が可能か」など、家主に迷惑がかからないような人かどうかを審査します。

しかし、高齢者の一人暮らしはさまざまなリスクが考えられることから敬遠されてしまう可能性が高いのです。

持ち家に住んでいた人でも、「配偶者や子どもが同居しなくなった家は広すぎて大変」との理由から、賃貸物件を検討する人は少なくありません。そのため、賃貸物件問題は意外と身近なリスクとして存在します。

リスクを最小限にするための対策

リスクを最小限にするための対策

意外と多い、一人暮らしの高齢者が抱えるリスク。では、リスクを最小限にするためには、どのようなことを行えばよいのでしょうか?

ここでは、リスクを最小限にするための対策をご紹介します。

家族の近くに住む

1つ目は、家族の近くに住むことです。家族の近くに住むことで、以下のリスクが軽減されます。

対応できるリスク
  • 病気・認知症の発見が遅れるリスク
  • 孤独死のリスク
  • 食生活が乱れるリスク
  • 孤独を感じるリスク
  • 詐欺・犯罪に遭うリスク
  • 災害時のリスク
  • 賃貸物件のリスク

高齢者の一人暮らしで重要なのは、いざというときに頼れる存在が近くにいることです。同居すると生活リズムや価値観の違いから険悪になってしまうことを心配される人も多いですが、近居ならその心配もありません。

同居が難しい場合でも、近くに住むことは可能な家族も多いのではないでしょうか?

近くに住むことのメリットは、お互いに「すぐに駆けつけられる・駆けつけてくれる」という精神的安心感が生まれること。気持ちが安定するだけで、一人暮らしのリスクは大幅に軽減されるはずです。

食事配達サービスを利用する

2つ目は、食事配達サービスを利用することです。食事配達サービスを利用することで、以下のリスクが軽減されます。

対応できるリスク
  • 食生活が乱れるリスク
  • 病気・認知症の発見が遅れるリスク
  • 孤独死のリスク

食事配達サービスとは、自宅にお弁当を届けてくれるサービスのこと。あらかじめ契約した頻度で調理済みのお弁当を届けてくれます。

食事配達サービスのメリット
  • 自炊の手間がない
  • 栄養バランスの良い食事が摂れる
  • 配達頻度を指定できる
  • 安否確認をしてもらえる

大きなメリットとしては、買い物や自炊の手間がないことです。食事は毎日3回も行うこと。食事の度に「何を作ろう」と考えなくて済むこともメリットでしょう。また、自分で栄養バランスを考えなくて済むことも人気のポイントです。

今は複数の食事配達サービスがあり、会社によって配達の頻度もさまざま。「毎日」や「週3回」など、届けてほしい頻度も選べるため、自炊と合わせれば食事に飽きてしまうこともないでしょう。

また、「自宅に届けてくれる=訪問者が来る」ことになるため、食事配達サービス自体が安否確認システムと似た意味合いをもつことも特徴です。

中には、安否確認の付帯サービスをつけられる会社もあるため、食事と見守りの両方のサービスが受けられるメリットもあります。

「まずは週3日から」など少ない頻度で始めてみるのはいかがでしょうか?

適度な運動を心がける

2つ目は、適度な運動を心がけることです。適度な運動をすることで病気のリスクが軽減されます。病気のリスクが軽減されるだけで、老後の生活は大きく変わるでしょう。

適度な運動をすることで、筋力の低下や肥満の防止効果があります。また、太陽を浴びながら屋外でウォーキングすることで、気持ちが前向きに明るくなる効果も期待できます。

運動といっても激しい運動をする必要はなく、自分のできる範囲で構いません。大切なのは毎日続けること。短時間のストレッチだけでも効果はあるので、毎日のルーティンに取り入れてみましょう。

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見守りサービスを利用する

見守りサービスを利用する

3つ目は、見守りサービスを利用することです。見守りサービスを利用することで、以下のリスクが軽減されます。

対応できるリスク
  • 病気・認知症の発見が遅れるリスク
  • 孤独死のリスク
  • 詐欺・犯罪のリスク

見守りサービスとは、家族に代わって高齢者の生活を見守るサービスのこと。定期的な安否確認や生活上の安全確保、緊急時の駆けつけ対応などを行ってくれます。

■見守りサービスの主な種類

名前

内容

特徴

訪問型

見守り会社のスタッフが
自宅に訪問し、
対面で安否確認を行う

・訪問頻度をあらかじめ
 決められる
・訪問時は家にいる
 必要がある
・緊急対応はできない
 ことが多い

電話型

自宅に電話をかけ、
安否確認や健康状態の
確認を行う

・会話できるため
 安心感がある
・電話の頻度は
 あらかじめ決められる

センサー型

自宅内の複数箇所に
センサー式の感知器や
家電を設置して、
安否情報を家族へ通知する

・一定時間動きが確認
 できないなどの異常が
 あった場合はスタッフが
 自宅へ駆けつける
 サービスもある
・目視できないため、
 高齢者の詳細情報が
 わかりづらい

カメラ型

自宅にカメラを設置し、
安否確認を行う

・映像で本人の様子を
 確認できる
・家族と会話ができる
・監視されているように
 感じる高齢者もいる

オート電話
オートメール

指定の時間に電話や
メールで連絡があり、
電話対応やメール返信
により安否確認を行う

会話ができないため、
最低限の安否確認しか
できない

宅配型

主に食事の宅配を
受け取る際に、
安否確認も行う

・会話できるため
 安心感がある
・宅配の頻度はあらかじめ
 決められる

緊急時
通報型

急病や転倒などの緊急時に
通報ボタンを押すと、
スタッフが自宅に
駆けつける

万一のときは
安心できるが、
定期的な見守りはできない

見守りサービスのメリットは、家族と離れて暮らしていても安否確認が行えること。上記のようにさまざまなタイプの見守りサービスがあるため、高齢者の負担にならないようなタイプを選ぶことが大切です。

また、独自の見守りサービスを行っている自治体もあるため、一度、お住まいの地域の自治体に内容を確認してみることもおすすめです。

地域のコミュニティに参加する

4つ目は、地域のコミュニティに参加することです。地域のコミュニティに参加することで、孤独を感じるリスクが軽減されます。

高齢化が進む日本では、高齢者向けのコミュニティが地域ごとに設置されています。どこに行ったらいいのかわからない人は、まず地域包括支援センターに行ってみましょう。

地域包括支援センターでは、高齢者サロンや趣味の活動、運動や物作り体験の教室などの案内をしてもらえます。年齢や環境が似ている人の参加が多いため、すぐに仲間が見つかるかもしれません。

60代から始める「お金のかからない趣味」を選ぶ5つのポイントと、おすすめの趣味10選

在宅介護サービスを利用する

5つ目は、在宅介護サービスを利用することです。在宅介護サービスを利用することで、以下のリスクが軽減されます。

対応できるリスク
  • 病気・認知症の発見が遅れるリスク
  • 孤独死のリスク
  • 食生活が乱れるリスク
  • 孤独を感じるリスク

在宅介護サービスとは、介護スタッフが自宅に来て身体的介助や家事の手助けをしてくれるサービスのこと。具体的には、以下のようなサービスが受けられます。

■在宅介護サービスの種類

名称

内容

デイサービス

(通所介護)

施設に出向き、日帰りで食事・入浴・
身体機能向上訓練・
レクリエーションなどを受ける

デイケア

(通所リハビリテーション)

施設に出向き、日帰りで
理学療法士や
作業療法士によるリハビリなどを受ける

ショートステイ

短期間、介護施設に入所し食事・入浴の介護・
機能訓練などを受けながら生活する

訪問介護

(ホームヘルパー)

介護職員が自宅を訪問し、入浴・食事・排泄などの
身体介護や掃除・洗濯・調理などの生活援助を
行ってくれる

訪問入浴介護

介護職員が自宅に浴槽を持ち込み、
入浴の介助を行ってくれる

訪問看護

看護師が自宅に訪問し、健康チェックや
療養上のケアをしてくれる

訪問リハビリテーション

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが
自宅に訪問し、リハビリを行ってくれる

居宅療養管理指導

医師や歯科医師・管理栄養士や薬剤師が自宅に訪問し、
療養上の指導や管理を行ってくれる

週の半分だけでも在宅介護サービスを利用すれば、高齢者が抱えるさまざまなリスクが軽減されます。自分にとって必要なサービスだけ受けられることもメリットです。

要介護認定を受ければ、介護サービス費用の原則1割で利用可能なため、経済的負担も軽減されます。

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任意後見制度を利用する

任意後見制度を利用する

6つ目は、任意後見制度を利用することです。任意後見制度を利用することで、以下のリスクが軽減されます。

対応できるリスク
  • 病気・認知症の発見が遅れるリスク
  • 孤独死のリスク
  • 詐欺・犯罪のリスク
  • 災害時のリスク
  • 賃貸物件のリスク

任意後見制度は、成年後見制度のうちの1つです。成年後見制度とは、認知症などにより判断能力の低下した人がさまざまな手続きを行う際に、支援する制度のこと。

成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」がありますが、自分の判断能力があるうちに後見人と依頼内容を決めて契約しておく制度が、任意後見制度です。

任意後見契約を締結した後に本人の判断能力が低下した場合には、家庭裁判所が任意後見監督人を専任し、監督人の監督を受けながら任意後見人があらかじめ契約した内容を行ってくれます。

任意後見契約を締結した後に本人の判断能力が低下した場合には、家庭裁判所が任意後見監督人を専任し、監督人の監督を受けながら任意後見人があらかじめ契約した内容を行ってくれます

任意後見人には、主に財産管理と身上保護を依頼できます。

■任意後見人に依頼できる主な内容

財産管理

身上保護

  • 自宅などの不動産の管理
  • 賃貸借契約
  • 預貯金や有価証券などの管理
  • 年金の管理
  • 現金の入出金
  • 税金や公共料金の支払い
  • 社会保障関係の手続き
  • 遺産分割協議 など
  • 医療費の支払い
  • 入退院の手続き
  • 生活費の送金
  • 要介護認定の申請
  • 介護サービスの手続き
  • 介護施設入所手続き・費用の支払い
  • 物品の購入
  • 自宅への定期訪問 など

つまり、後見人は本人の代わりに日常的なお金の管理から入院の手続きまで幅広く対応してくれるため、高齢者が抱える複数のリスクが軽減されるのです。

任意後見制度を徹底解説!後見人に頼める内容・手続き方法・費用など

資産運用を行う

7つ目は、資産運用を行うことです。資産運用を行うことで、以下のリスクが軽減されます。

対応できるリスク
  • 生活費不足のリスク
  • 賃貸物件のリスク

先ほどもお伝えした通り、老後の主な収入は年金です。年金受給額が十分にある人は問題ありませんが、将来受け取れる年金額に不安を感じている人も多いのではないでしょうか?そんな人にこそ、資産運用は必要です。

資産が増えることで生活に余裕が生まれ、賃貸物件のリスクや生活費が不足するリスクにも対応できます。

今は自助努力でお金を増やす時代。国も資産運用を勧めており、資産運用を行う場合、税金面で優遇される制度などもあります。

特に定年までまだ時間のある人は、今のうちに資産運用を始めてみましょう。

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まとめ・高齢者の一人暮らしリスクと対策を把握して家族で相談を

一人暮らしの高齢者は年々増え続けています。現在は配偶者や子どもと同居している人でも、子どもが独立して家を出たり配偶者に先立たれてしまったりすれば一人暮らしになる可能性もあるため、決して他人事ではありません。

そして、高齢者の一人暮らしにはさまざまなリスクが潜んでいます。しかし、対策を行えばリスクを軽減することが可能です。

この機会に、一人暮らしの高齢者が抱えるリスクと対策を把握し、いざというときのために家族で相談してみてはいかがでしょうか?

参考資料

内閣府|令和5年版高齢社会白書・高齢化の現状と将来像
内閣府|令和5年版高齢社会白書・家族と世帯
内閣府|令和4年版高齢社会白書
家計調査報告家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
警察庁|令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について

この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。

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