老老介護・認認介護の問題点|他人事ではない現状と解決策をご紹介!
老老介護の現状とは? 共倒れにならないための解決策も!
高齢者が高齢者を介護する老老介護。共倒れの可能性や認認介護に発展する可能性も高いため、社会問題になっています。この記事では、老老介護が起こる原因や現状、問題点や解決策を解説します。
- 目次
- 老老介護の現状
- 【要介護者と介護者の続柄】多いのは同居の配偶者と子
- 【要介護者と同居している介護者の年代】大半は50〜80歳代
- 【要介護者と介護者が共に60歳以上】該当割合と年次推移
- 老老介護が起こる原因とは
- 平均寿命と健康寿命との差に開きがあるため
- 核家族が増えたため
- 経済的な余裕がないため
- 身内や他人を頼ることに抵抗をもつ人が多いため
- 社会でも話題になっている老老介護の問題点とは
- 要介護者・介護者の身体的な問題
- 生活面の問題
- メンタル面の問題
- 老老介護で共倒れにならないための解決策
- 家族に相談する
- 自治体の窓口へ相談する
- 健康寿命を伸ばす対策を行う
- 夫婦のどちらとも家事をこなせるようにしておく
- ご近所コミュニティを築いておく
- 在宅介護サービスを利用する
- 介護施設に入居する
- 認認介護にも注意が必要!
- まとめ・老老介護の問題点を把握し解決策を行おう
老老介護の現状
老老介護とは、高齢者の介護を高齢者が行うことです。「高齢の夫を高齢の妻が介護する」「90歳の親を65歳の子が介護する」など、さまざまな形で老老介護は増えています。
まずは老老介護の現状を確認してみましょう。
【要介護者と介護者の続柄】多いのは同居の配偶者と子
まずは、介護される人と介護する人の関係から見ていきましょう。以下は、厚生労働省が発表している2022年の要介護者と介護者の続柄です。(※1)
■要介護者と介護者の続柄
※1:厚生労働省|2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況を基に作成
もっとも多いのは同居の配偶者で22.9%。次いで、同居の子が16.2%、同居の子の配偶者が5.4%と、同居の親族が全体の45.8%を占めていることがわかります。
一方、介護事業者は15.7%と全体のわずか1.5割。意外と少ないと思った人も多いのではないでしょうか?
【要介護者と同居している介護者の年代】大半は50〜80歳代
では、要介護者と同居している介護者は何歳くらいの人が多いのでしょうか?以下は、要介護者と同居している介護者の主な年代です。(※2)
■要介護者と同居している介護者の年齢
要介護者の年齢 | 介護者の年齢 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
40〜64歳 | 65〜69歳 | 70〜79歳 | 80〜89歳 | 90歳以上 | ||
40歳未満 | 7.3% | 6.8% | 1.4% | 0.7% | 1.4% | |
40〜49歳 | 12.2% | 1.3% | 8.0% | 5.0% | 3.1% | |
50〜59歳 | 41.0% | 0.8% | 5.9% | 26.0% | 11.5% | |
60〜69歳 | 33.4% | 62.0% | 15.3% | 19.1% | 54.4% | |
70〜79歳 | 4.6% | 27.8% | 60.8% | 18.7% | 18.8% | |
80歳以上 | 1.5% | 1.2% | 8.7% | 30.4% | 10.7% |
※1:厚生労働省|2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況を基に作成
65歳以上の要介護者を介護する人の62%が65歳以上と、老老介護が実際に多いことがわかります。
【要介護者と介護者が共に60歳以上】該当割合と年次推移
老老介護は年々増え続けていることも問題になっています。以下は、要介護者と介護者が共に60歳以上の割合と年次推移です。(※3)
※1:厚生労働省|2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況を基に作成
2001年には全体の5割にも満たなかった65歳以上同士の割合は、2022年には63.5%にまで増加しています。同様に、2001年には全体の2割にも満たなかった75歳以上同士の割合は、2022年には35.7%と増加していることがわかります。
老老介護が起こる原因とは
年々増加している老老介護。なぜ、このような状況が起こるのでしょうか?ここでは、老老介護が起こる原因を解説します。
平均寿命と健康寿命との差に開きがあるため
1つ目の原因は、平均寿命と健康寿命の差に開きがあるためです。
平均寿命とは、0歳児があと何年生きられるかという期待値のこと。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。つまり、健康寿命から平均寿命までの期間が、要介護になる可能性が高い期間ということになります。
以下は厚生労働省が発表している、平均寿命と健康寿命の年次推移です。(※4)
■男性の平均寿命と健康寿命の年次推移
■女性の平均寿命と健康寿命の年次推移
※4:厚生労働省|健康寿命の令和元年値についてを基に作成
2019年の男性の平均寿命は81.41歳、健康寿命は72.68歳、両者の差は8.73年です。同様に女性の平均寿命は87.45歳、健康寿命は75.38歳、両者の差は12.07年です。この差が生じてしまうことが、老老介護が起こる原因の1つになります。
また、親の介護が始まった時点では50代だった子も、介護を継続するうちに自分も65歳を超え、老老介護になってしまう可能性も考えられます。
さらに、特別養護老人ホームへの入居待ちをしている間に、老老介護になってしまう可能性も考えられるのです。
核家族が増えたため
2つ目の原因は、核家族が増えたためです。核家族とは、以下のような三世代世帯ではない核のみの世帯のことです。
核家族の例
- 夫婦のみ
- 夫婦と未婚の子
- 父親もしくは母親とその未婚の子
近年は少子化により、一昔前より核家族が増えました。三世代世帯であれば、家族の中で介護できる人が確保できるかもしれませんが、核家族の場合は単純に人手が不足してしまうのです。
夫婦のみの場合はお互いが65歳以上になり要介護状態になれば、老老介護に突入します。子どもがいても遠方に住んでいる場合は、夫婦のみで介護を行わざるを得ないでしょう。
子どもが介護者になっても、いつの間にか子ども自身も65歳以上になり、老老介護になってしまう可能性も考えられます。
経済的な余裕がないため
3つ目の原因は、経済的な余裕がないためです。老老介護を防ぐためにもっとも有効的な手段は、介護サービスを利用することです。しかし、在宅介護サービスを利用したり介護施設に入居したりするためにはお金がかかります。
もちろん、介護認定を受ければ介護保険は利用できます。しかし、介護サービス費用の1〜3割を負担しなくてはならないため、無料では利用できません。
2021年度の生命保険文化センターによる調査によると、介護費用の平均月額は8.3万円、介護期間の平均は5年1ヶ月。単純計算すると「8.3万円×61ヶ月」=506.3万円の費用がかかります。この平均額は公的介護保険を利用した場合の金額です。(※5)
一方、高齢者の主な収入は公的年金になります。総務省の発表によると、65歳以上夫婦のみ世帯の1ヶ月の平均収入は244,580円、単身世帯の1ヶ月の平均収入は126,905円です。(※6)
この金額は決して余裕のある生活を送れる金額ではありません。その中で在宅介護サービスや介護施設にお金をかけることは容易でないため、自宅で老老介護生活を送る人が増えてしまうのです。
※5:生命保険文化センター|「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度
※6:総務省|家計調査報告(家計収支編)2023年
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身内や他人を頼ることに抵抗をもつ人が多いため
4つ目の原因は、身内や他人を頼ることに抵抗をもつ人が多いためです。身近に子どもや親戚がいても「できるだけ迷惑をかけたくない」と考える人は多いのではないでしょうか?
特に、介護は入浴や排泄など、普段なら介入しないデリケートな領域のケアをしてもらうため、子どもに介護してもらうことに抵抗を感じる人は少なくありません。
また、介護が必要な年代の子どもは、自分の新たな家族の子育て中という人も多いでしょう。「自分の家族の世話で忙しい子どもに頼れない」という親心から、子どもに頼らない人も多いようです。
介護事業者による在宅介護も同様で、他人を自分の家に入れることに抵抗をもつ人もいます。
これらの理由から、高齢同士の夫婦で介護せざるを得ない状況になってしまうのです。
社会でも話題になっている老老介護の問題点とは
では、老老介護によって起こる問題点にはどのようなことがあるのでしょうか?ここでは、社会的問題にもなっている老老介護の問題点を解説します。
要介護者・介護者の身体的な問題
1つ目の問題点は、要介護者と介護者の身体的な問題です。高齢になると身体能力が衰えるため、介護される側と介護する側の双方に問題が生じます。
介護者の体力不足
介護を行う際は要介護者を支えるケースも多く、介護者にはそれなりの身体的負担がかかります。しかし、老老介護の場合は介護者も高齢のため、若い世代より体にかかる負担は大きくなるでしょう。
また、夜間介護も必要なケースの場合、介護者の睡眠不足も生じます。
すると、どういうことが起こるでしょう?介護者が自身の健康を保てなくなり、やがて自分も介護が必要な状態になってしまうことが考えられます。
介護に時間がかかる
高齢者が介護を行う場合、体力不足などの理由から通常より介護にかかる時間が長くなる傾向にあります。
介護に時間がかかると、介護する人介護される人の双方に身体的負担が大きくなってしまうのです。この影響は、介護度が高くなるほど大きくなります。
共倒れになる可能性がある
老老介護生活が長くなると、介護者の身体的負担は大きくなります。身体的負担が続くと「いつまでこの生活が続くのか」と先の見えない気持ちに襲われ、精神的負担も大きくなる傾向にあります。
特に、身近に頼れる人がいない場合は孤独感を感じやすいため、さらに精神的負担が大きくなるでしょう。
すると、今まで行ってきた介護も普段通りできなくなり、共倒れになってしまう可能性が考えられます。共倒れは、老老介護でもっとも重大な問題です。
生活面の問題
2つ目の問題点は、生活面の問題です。生活面の問題は、特に家事を行っていた人が要介護になった場合に起こります。
例えば、家事全般を妻が行っていた夫婦2人世帯で妻が要介護者になった場合、夫が普段通りの生活を送れない可能性が考えられます。
今まで家事を一切してこなかった高齢の男性が、「掃除・洗濯・食事の準備・お金の管理」を行うのは、想像以上に大変なこと。
さらに妻の介護が加わるため、夫の身体的精神的負担は大きくなり、今まで通りの生活ができない可能性が考えられるでしょう。
メンタル面の問題
3つ目の問題点は、メンタル面の問題です。「体の健康は心の健康」という言葉がある通り、体が健康でなくなると精神面にも悪い影響を及ぼします。特に老老介護の場合、メンタル面の問題はかなり深刻です。
老老介護のストレスから起こり得る現象の例
- 自宅での引きこもり
- 認知症やうつ病など精神疾患になる
- 要介護者への虐待行為
老老介護で身体面や精神面に悪影響がでると、社会から見放され孤独な気持ちが強くなりがちです。その結果、自宅へ引きこもってしまったり、精神疾患になってしまったり、要介護者への虐待行為を引き起こしてしまったりする可能性まで考えられるのです。
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老老介護で共倒れにならないための解決策
先ほどご紹介した通り、老老介護で起こる問題を放置していると、やがて取り返しのつかない問題に発展してしまう恐れがあります。共倒れにならないためには、今できる解決策を早めに行う必要があります。
ただし、残念ながら、現在は老老介護に特化した行政支援はありません。そのため、介護保険を活用したり家族と相談したり、可能な限りでの対策を行いましょう。
重要なのは、介護者が1人で問題を抱え込まないようにすることです。
家族に相談する
1つ目の解決策は、家族に相談することです。老老介護の問題は家族は無関係ではいられません。
「子供や親戚に頼りたくない」という気持ちはわかりますが、それより先に、「老老介護を続け共倒れになってから子供や親戚に迷惑をかける方が影響が大きい」ことを理解しましょう。
まずは、家族に相談し、介護を分担したり費用面でサポートしてもらったり、老老介護で共倒れにならないような解決策をたてることが重要です。
健康なうちに家族で相談をしておく
可能であれば、介護が必要な状態になる前に話し合いをしておくことをおすすめします。
話し合う内容
- 自分が介護が必要な状態になった場合、誰にケアしてもらいたいか
- 介護施設に入居する費用はどれくらいあるのか
- 家族が介護に費やせる時間はどれくらいあるのか
- 介護費用は誰が負担するのか など
これらの内容をあらかじめ相談しておけば、介護生活が始まってから誰か1人が大きな負担を背負うことを防げるはずです。
介護に関する知識を得ておく
また、あらかじめ介護に関する知識を得ておくことも大切です。日本国民は40歳を過ぎると自動的に介護保険の被保険者になります。しかし、毎月介護保険料を納めているにも関わらず、介護保険に関してあまり詳しく知らない人も多いのではないでしょうか?
介護保険とは、介護サービスを受ける費用を国が一部負担してくれる制度のこと。介護保険適用の介護サービスを受けた場合、自己負担額は原則1割になります。
40歳以上の日本国民は介護保険の被保険者ですが、すべての被保険者が1割で介護サービスを受けられる訳ではありません。介護保険を利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
また、介護施設には公的施設と民間施設があり、入居費用や特徴などに大きな違いがあります。
実際に介護が必要になってから介護に関する情報を調べて行動に移すまでには、時間と労力が必要です。また、その時点での要介護者は自分の希望をうまく伝えられない可能性もあるでしょう。
あらかじめ介護に関する知識を得ておけば、自分の希望を伝えながら、具体的な介護計画がたてられます。また、実際に介護が必要な状態になった場合にも、何から行うべきかが明確になるでしょう。
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自治体の窓口へ相談する
2つ目の解決策は、自治体の窓口へ相談することです。少子高齢化が進む中、介護は大きな社会問題となっているため、各自治体では、介護に関する相談を受け付ける窓口を設けています。
地域包括支援センターも介護相談窓口の1つ。地域包括支援センターとは、介護や医療、保健や福祉の観点から高齢者を手助けする、総合相談窓口のようなものです。
全国に5,000ヶ所以上設置され、行政から委託された法人が運営しています。
地域包括支援センターには、ケアマネージャーや保健師など介護のプロが在籍しているため、介護に関する具体的な相談が可能。もちろん、無料で相談可能です。
地域包括支援センターに相談すれば、現在の状況から要介護認定の申請方法、自宅で行える対策や介護サービスと家族のケアを組み合わせた介護プランの例など、具体的な解決策を提案してくれます。
介護が必要な状態になった場合は、介護に関する情報を得るためにも、まず地域包括支援センターに相談してみましょう。自治体によって名称が異なる場合もあるため、詳細は自治体のホームページや窓口で確認してみてください。
地域包括支援センター以外にも、ボランティアによる高齢者の見守りサービスを提供している自治体などもあります。
健康寿命を伸ばす対策を行う
3つ目の解決策は、健康寿命を伸ばす対策を行うことです。老老介護になる原因の1つに、平均寿命と健康寿命の差が生じることがあります。
内閣府が発表しているデータでも、介護が必要になった主な原因は病気やケガなどが原因であることがわかっています。(※7)
■介護が必要になった主な原因
※7:内閣府|令和4年版高齢社会白書を基に作成
つまり、健康寿命を伸ばせばこれらの病気やケガは起こりにくくなり、ひいては老老介護を防ぐことにもつながるのです。
健康寿命を伸ばすためには、以下の内容が効果的です。
健康寿命を伸ばすための効果的なこと
- 日常生活に10分の運動をプラスする
- 1日350gの野菜を摂取する
- 禁煙
- 定期的な健康診断の受診
- ストレスのない生活を送る
10分運動のおすすめは、ウォーキング。日常生活+10分の早歩きを行うだけで、生活習慣病の予防に効果があるとされています。
10分ウォーキング
- 1駅分歩く
- 近所の買い物は徒歩で行く
- 好きな音楽を3曲聞きながら歩く
上記のように少しの工夫をすれば、あっという間に10分は過ぎていきます。
大切なのは長く続けることです。できる範囲で問題ないので、少しの運動量を長期間続けることを意識してみましょう。万一、介護が必要な状態になっても健康寿命を伸ばす対策を行っていれば、寝たきりなどの重度の介護状態になることは防げるかもしれません。
また、頭を使うクイズや脳トレ、読書や絵画などは、認知症の予防にも効果的です。
そして、少しでも違和感があったら早めに医療機関を受診し、病気やケガを未然に防ぐことを心がけましょう。
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夫婦のどちらとも家事をこなせるようにしておく
4つ目の解決策は、夫婦のどちらとも家事をこなせるようにしておくことです。夫か妻、どちらかが介護が必要な状態になっても、生活が滞りなくできるように準備しておけば、万一のとき今まで通りの生活が送れるためです。
家事をどちらかに任せている場合、「洗濯機を使ったことがない」「ATMを使ったことがない」という人は意外といます。
この機会に、夫婦のどちらともが家事をこなせる準備をしてみてはいかがでしょうか?
ご近所コミュニティを築いておく
5つ目の解決策は、ご近所コミュニティを築いておくことです。介護が必要な状態になったとき、頼れるのは家族や介護事業者だけでなありません。実は、ご近所の人も頼れる存在なのです。
直接的な介護をしてくれなくても、ご近所の人は見守りができます。例えば、毎日挨拶を交わす近所の人の顔を数日間見なかった場合、心配して様子を見にきたり、自治体に連絡してくれることもあるでしょう。
そういった自然な見守りが、老老介護の問題を防ぐことにもつながります。
ご挨拶以上のお付き合いがある近所の人には、自分に何かあったときの連絡先を伝えておくこともおすすめです。
在宅介護サービスを利用する
6つ目の解決策は、在宅介護サービスを利用することです。在宅介護サービスとは、介護スタッフが自宅に来て、身体的介助や家事の手助けをしてくれるサービスのこと。具体的には、以下のようなサービスが受けられます。
■在宅介護サービスの種類
名称 | 内容 |
---|---|
デイサービス (通所介護) | 施設に出向き、日帰りで食事・入浴・ |
デイケア (通所リハビリテーション) | 施設に出向き、日帰りで |
ショートステイ | 短期間、介護施設に入所し食事・入浴の介護・ |
訪問介護 (ホームヘルパー) | 介護職員が自宅を訪問し、入浴・食事・排泄などの |
訪問入浴介護 | 介護職員が自宅に浴槽を持ち込み、 |
訪問看護 | 看護師が自宅に訪問し、健康チェックや |
訪問リハビリテーション | 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが |
居宅療養管理指導 | 医師や歯科医師・管理栄養士や薬剤師が自宅に訪問し、 |
在宅介護サービスは介護保険が利用できるため、介護サービス費用の原則1割で利用可能。在宅介護サービスと家族による介護を組み合わせれば、介護者の精神的身体的負担は大きく軽減されます。
在宅介護サービスを利用する際は、介護認定を受けた後にケアマネージャーと相談し、介護プランを立てることが一般的です。
この際に、家族が介護できる時間帯や日程などを相談すれば、ケアマネージャーが介護保険適用の範囲内で介護プランを立ててくれます。また、車椅子や寝具などのレンタルも可能です。
生命保険文化センターによる調査では、在宅介護の平均費用は月額4.8万円。(※8)在宅介護は施設に入居するより費用負担は低く、必要なサービスのみ依頼できることがメリットです。
家族で負担を抱え込む前に、ぜひ一度、在宅介護サービスを検討してみてください。
※8:生命保険文化センター|「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度
介護にかかる費用はどれくらい?在宅・施設・介護度別の平均額を紹介
介護施設に入居する
7つ目の解決策は、介護施設に入居することです。介護度が重く、在宅介護サービスを利用しても介護者への負担が大きい場合には、介護施設に入居することを検討してみましょう。
■介護施設の種類
名称 | 内容 | |
---|---|---|
公的施設 | 特別養護 | 「特養」とも呼ばれる |
介護老人 | 「老健」とも呼ばれる | |
介護医療院 | 医療ケアと看護ケアの両方が | |
グループホーム | 認知症の人が少人数で | |
民間施設 | 介護付き | 施設スタッフが24時間体制で、 |
住宅型 | 自立〜軽度の要介護者が | |
サービス付き | 自立〜軽度の要介護者が安否確認を受けながら |
介護施設への入居することの最大のメリットは、介護者の負担が大幅に軽減されることです。他の解決策に比べ費用はかかりますが、その分、精神的身体的負担は軽減されます。要介護者も家族ではなく、プロにケアしてもらう方が気兼ねない人もいるでしょう。
施設によっては、夫婦2人が同室で生活できる施設もあります。
ただし、介護施設に入居する場合、住み慣れた自宅から離れて生活することになります。そのため、要介護者の希望や費用負担をどうするかなど、家族で熟考することが重要です。
有料老人ホームの種類と特徴を徹底解説!特養やサ高住との違いも紹介
要介護認定を受けるには?申請の流れや基準・介護保険のメリットも紹介
認認介護にも注意が必要!
「認認介護」という言葉をご存じでしょうか?「老老介護」と考え方は同じで、認知症の要介護者を認知症の人が介護することを意味します。
認知症は、記憶障害や判断力や認識能力が低下する症状。介護者自身が食事や排せつなどのケアをしたかどうかもわからなくなってしまう一面があるため、老老介護と同様、もしくは老老介護以上に深刻な問題とされています。
認認介護の問題点
- 食事管理ができない
- 体調管理ができない
- 服薬管理ができない
- お金の管理ができない
- 緊急時の対応ができない など
認認介護の大きな問題点として、食事管理や体調管理、服薬管理ができないことが挙げられます。記憶障害の症状が原因で、健康な人がなにげなく行える日常生活の管理ができなくなってしまうのです。
さらに、お金の管理にも不安が生じます。家賃や水道光熱費などの支払いが滞ると、今までの生活環境を維持できなくなる可能性が考えられます。また、ATMが利用できずにお金がおろせなかったり、詐欺にあうリスクも高くなるでしょう。
地震や台風などの自然災害が起こった場合にも、適切な対応が行えず、避難し遅れてしまう可能性が考えられます。
これらのことを考慮すると、認認介護は放置してよい問題ではありません。認認介護になりそうな場合は、早めに家族や自治体に相談する必要があることを忘れないようにしましょう。
まとめ・老老介護の問題点を把握し解決策を行おう
今後ますます長寿高齢化が進むであろう日本では、老老介護は他人事ではない問題です。今現在健康な人は、運動や食事に気をつけ健康寿命を伸ばす対策を行いましょう。
また、今のうちに、介護になった場合にどうするかを家族と相談しておくことも大切です。
すでに自分や家族が老老介護の状態にある人は、家族や自治体に相談し、少しでも精神的身体的負担を軽減する方法を探しましょう。家族の手助けや介護サービスや施設の利用など、老老介護を手助けする方法はあります。
高齢になれば身体能力が衰えるのは仕方のないことです。自分だけでなんとかしようとせずに、周囲の人に頼ることが老老介護で共倒れにならない解決策です。
任意後見制度を徹底解説!後見人に頼める内容・手続き方法・費用など
参考資料
厚生労働省|2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
厚生労働省|健康寿命の令和元年値について
生命保険文化センター|「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度
総務省|家計調査報告(家計収支編)2023年
内閣府|令和4年版高齢社会白書
この記事の監修者
多田眞理子 【介護福祉士】
15年以上介護職に携わる介護福祉士。 特別養護老人ホーム・デイサービス・訪問介護などさまざまな介護施設に従事してきた経験から、介護の現状や問題点を痛感している。現在は子育てをしながら介護職を継続中。